第41話:大陸サイズのマイホームと、魔王級の「お背中流し」
「……マスター。この新しい家、広すぎて、マスターの姿が見えないと不安。……だから、今日から全員で同じ寝室にするべき」
セレスが真顔で、新築された「聖王宮」の間取り図を書き換えた。
「それは名案ですわ! 12人でリアム様を囲めば、外敵(帝国の残党)からも守れますし、何より……その、夜のお世話も捗りますわ!」
エルナが鼻息荒く賛成し、他のヒロインたちも「「「異議なし!」」」と一斉に拳を突き上げた。
こうして、新国家の初仕事は、リアムを囲む「直径100メートルの超巨大ベッド」と、「地平線まで続く大露天風呂」の建設となった。
「ええっと……みんなで一緒に入るの? 流石に恥ずかしいような……」
リアムの困惑をよそに、先代聖王アストライアが服を脱ぎ捨てながら笑う。
「坊や、何を今さら。宇宙を救った英雄が、女の子12人とのお風呂で怖気づいてどうするのよ。さあ、私の背中を流しなさい!」
湯煙に包まれる、世界で最も贅沢な露天風呂。
そこには、聖女、女騎士、魔族、ドラゴン、人魚、月の巫女、海賊、光の王女、歌姫、騎士団長、そして先代聖王……。全銀河の至宝たちが、リアムの周囲に密集していた。
「リアム様、この『宇宙石鹸』を使ってみてくださいですぅ。肌がダイヤモンドのようにスベスベになるですよ!」(ミーシャ)
「……マスター。私、胸のあたり、汚れが落ちてない気がする。……洗って」
無表情なセレスが、リアムの手をグイと自分の胸元へ引き寄せる。
「「「「卑怯よっ!!」」」」
周囲のヒロインたちが一斉にツッコミを入れ、風呂場は一瞬にして「恋の戦場」と化した。
一方、その頃。
国境線の向こう側――旧帝国では、地獄のような光景が広がっていた。
リアムが作った楽園から漏れ出る「美味しい料理の匂い」と「楽しげな笑い声」が、飢えた帝国市民たちの心を折っていた。
「見ろ……あの壁の向こうには、病も飢えもない楽園があるんだ……」
「俺たちを捨てた王子は、今や12人の女神に囲まれて笑っている。……それに比べて、俺たちの皇帝は何をしてくれた?」
ついに、帝国の近衛騎士たちが剣を捨てた。
「陛下、もう限界です。私たちは……リアム様の国の『掃除番』でいいから、あちらに行かせていただきます!」
「ま、待て! 行くな! 私を一人にするなぁぁ!」
皇帝の叫びも虚しく、帝国からは「まともな人間」が一人残らず去り、最後には傲慢な皇帝と数人の腐敗した貴族だけが、リアムが捨てた「魔法の雑巾」を奪い合って泥沼の喧嘩を始めるのだった。




