第27話:ダイヤモンドの星と、銀河のマイホーム
「リアム、アンタの島は居心地がいいけど、ちょっと飾りが足りないわね! アタイがとっておきの場所に案内してやるわ!」
仲間に加わったカリーナが、空中島の舵(古代の羅針盤)を強引に操作した。
たどり着いたのは、無数の岩石が漂う「小惑星帯」。その中でも一際まばゆく輝く、直径数キロメートルの小さな星があった。
なんと、その星全体が「純度100%の巨大なダイヤモンド」でできていたのだ。
「あれが『銀河の涙』と呼ばれる星よ。地上の人間なら、これ一欠片で一生遊んで暮らせるお宝さ!」
「へぇ、綺麗だね。ちょうど、みんなの個室が少し手狭になってきたと思ってたんだ。あそこの石を使って、増築しちゃおうか」
リアムは事も無げに言うと、空中島からそのダイヤモンド星に向かって、光の糸を伸ばした。
『古代魔法:【物質変換・超硬度加工】。付与:【断熱・防放射線・快適空間】』
リアムが指をピアノのように動かすと、巨大なダイヤモンドの塊が、まるで粘土細工のように形を変えていく。
わずか数分で、空中島の横には、「総ダイヤモンド造りの超豪華別館」が連結された。
「……マスター。私の部屋、キラキラしてる。……落ち着かない。でも、マスターと一緒なら、いい」
セレスが虹色に光る壁を指でなぞる。
「これ……全部ダイヤモンドですの? 聖都の大聖堂ですら、これほどの輝きは……。リアム様、流石にやりすぎではありませんか?」
エルナが呆気にとられる中、ミーシャは算盤を弾きすぎて指から煙を出していた。
「時価総額……計算不能ですぅ……! これ一軒で、銀河が買えるですよぉ!」
さらにリアムは、余ったダイヤモンドの端材を加工して、ヒロインたちに「宇宙用耐圧ドレス」を作り上げた。
「はい、これ。これを着ていれば、宇宙空間を散歩しても寒くないし、服も汚れないよ」
「……あ、アンタ、本当にバカね(最大級の褒め言葉)! こんなの、宇宙の歴史がひっくり返るわよ!」
カリーナが顔を真っ赤にして、贈られたダイヤモンドの首飾りを握りしめる。
しかし、その宝石の輝きは、遠く離れた星系で「ある存在」のセンサーに触れてしまった。
宇宙の美しきものを全てコレクションしようとする「銀河の収集家」の魔の手が、リアムたちの島に伸びようとしていた。




