第26話:銀河鉄道の夜を越えて、深宇宙へ
「よし、決めたよ。まだ誰も見たことがない、星の海の果てまで行ってみよう!」
リアムがそう宣言した瞬間、月の神殿とドッキングしていた空中島が、まばゆい銀色の光に包まれました。
『古代魔法:【銀河航法・天の川】。……島の構造を亜光速航行形態へシフト。居住区の重力を再定義するね』
島を取り巻くドーム状の障壁が多層構造になり、後方には七色の魔力噴射が形成されます。もはや島ではなく、一つの「惑星級移動要塞」と化した拠点が、月面を静かに離れました。
「すごいですぅ! 星が……星が後ろに流れていくですよ!」
ミーシャが窓に張り付いて叫びます。
「リアム様、あちらに見える赤い星は……火星、でしょうか? 禍々しい戦の気配を感じますわ」
リヴィアが騎士の直感で剣の柄に手をかけました。
「ちょっと寄ってみようか。新しい野菜の種とかあるかもしれないし」
リアムが軽く指を動かすと、空中島は一瞬で火星の軌道へと到達。
しかし、そこで彼らを待ち受けていたのは、巨大な岩石を加工して作られた「宇宙海賊」の艦隊でした。
『こちら火星略奪団! 妙な形の宇宙船(島)を発見した! 直ちに停船し、積んでいる金目の物と女を差し出せ!』
「……マスター。あの鉄の塊、うるさい。……消していい?」
セレスが虚無の魔力を指先に集めますが、リアムは苦笑してそれを止めました。
「待ってセレス。せっかく宇宙に来たんだから、もっと平和的に解決しよう。……巨神くん、出番だよ」
島の守護者となった「星喰らいの巨神」が、空中島から宇宙空間へと飛び出します。
そして、襲いかかってくる海賊船を――「巨大なハエ叩き」のようにパチンとはたき落とし、そのまま海賊たちの母艦を片手で掴んで、空中島の「家畜エリア」へと運び込みました。
「な、なんなんだ貴様らはぁ! 我ら火星最強の海賊が、手も足も出ないだと!?」
引きずり出された海賊の首領は、なんと片目に眼帯をした勝気な「猫族の女海賊」でした。
「あ、ごめんね。お腹空いてる? 宇宙は長旅になりそうだし、君たちも僕たちの島で働いてみる?」
リアムが差し出したのは、月で作った「特製・宇宙イチゴのショートケーキ」。
その一口を食べた瞬間、女海賊の瞳からボロボロと涙がこぼれ落ちました。
「……負けたわ。こんな美味しいものを作る男に、勝てるわけないじゃない……。アタイの名前はカリーナ。あんたを『宇宙の王』として認めてやるわ!」
こうして、リアムのハーレム(兼・乗組員)に、8人目のヒロイン「女海賊」が加わりました。




