第15話:帝国の終焉と、未知なる空へ
空を埋め尽くす帝国の空中艦隊。しかし、リアムの仲間たちにとっては、それはただの「お祝いの邪魔者」に過ぎなかった。
「リアム様から頂いたこの指輪の輝き……塵一つ触れさせはしませんわ!」
聖女エルナが指輪を掲げると、空中島全体を巨大な聖なる結界が包み込む。帝国が誇る主力砲の斉射も、水面に投げた石ころのように虚しく弾け飛んだ。
「次は私の番だ。……リアム様の指輪、その真価を見せてやる!」
リヴィアが紅蓮の剣を一振りすれば、空そのものが燃え上がり、一瞬にして艦隊の半分が灰へと変わる。
「……マスター。邪魔。……消えて」
セレスが指を鳴らすと、残りの艦船が次元の隙間に飲み込まれ、遥か彼方の荒野へと強制転送されていった。
わずか数分。帝国が総力を挙げた「反逆者討伐」は、リアムがティーカップを置くよりも早く、跡形もなく片付いてしまった。
「うわぁ……みんな、強いね。……あ、でも、これで帝国との縁も完全に切れちゃったかな」
リアムが空を見上げて呟くと、商人ミーシャが尻尾を振りながら駆け寄ってきた。
「リアム様! 帝国なんてちっぽけな場所、もうどうでもいいですよぉ! この空中島があれば、世界の果てまで行けるです! まだ見ぬ絶品食材、伝説の財宝、そして……新しい仲間! 想像するだけでワクワクするですよ!」
「世界の果て、か。……うん、面白そうだね。僕も、古代魔法の知識にある『世界の真実』を見てみたいし」
リアムが空中島の中央にある制御石板に手を触れる。
『古代魔法:【次元航法・解放】。目標:未踏の大陸。……島全体の質量を軽減。加速を開始します』
「みんな、しっかり捕まってて。……出発だ!」
ドォォォォォン! という重低音と共に、空中島は音速を超え、雲を突き抜けて上昇していく。
眼下には、自らの愚かさで魔力を失い、衰退していく帝国が豆粒のように小さくなっていく。
リアムの腕には、村の娘からもらったミサンガと、自ら作った指輪をはめたヒロインたちの手が重ねられていた。
「「「どこまでも、ついていきますわ(ぞ・よ・マスター)!」」」
追い出された無能王子は、今や世界の理を書き換える「空飛ぶ楽園の主」として、未知なる大冒険へとその翼を広げたのだった。




