第145話(最終回):パパの特製オムライス ~宇宙で一番、普通の幸せ~
「……ふぅ。ようやく、静かになったね」
銀河を揺るがした「お遊戯会」から数日。宇宙を包んでいた過剰な狂信は、リアムの放った慈愛の波動によって「穏やかな親愛」へと形を変えていました。全人類はパパを崇めるのをやめ、代わりに「自分たちの場所で、パパのように優しく生きよう」と、それぞれの日常へと戻っていったのです。
リアムは今、聖王宮のいつものキッチンに立っています。
着ているのは黄金の鎧でも、名誉園児の黄色い帽子でもありません。使い込まれた、少しだけケチャップの跡がついた、あの「愛のエプロン」です。
「……マスター。分析。……室温、最適。家族の空腹度、限界値。……冷蔵庫の卵の残数、24個。……完璧な調理開始条件を確認」
「よし、任せて。今日はとっておきのを作るからね」
リアムがフライパンを振るう音が、静かな廊下に響きます。
すると、匂いに釣られた「愛すべき騒がしい日常」が、次々とキッチンになだれ込んできました。
「リアム様、その卵の返し方……! やはり宇宙一の芸術ですわ!」(エルナ)
「パパ! 今日ね、学校で『パパみたいな人になる』って発表したんだよ!」(子供たち)
「パパ上、ケチャップで描く文字は、やはり『正義』……いや、『愛』にしましょう」(魔王)
リアムは、わちゃわちゃと自分を取り囲む24人の家族を見渡しました。
神様として玉座に座らされていた時よりも、幼稚園で全肯定されていた時よりも、今のこの「お腹を空かせた家族に急かされている瞬間」が、何よりも誇らしく、何よりも幸せだと感じています。
「はい、お待たせ! パパ特製、ふわとろオムライスの完成だよ!」
大きなテーブルを囲み、全員で「いただきます」の声を合わせる。
特別な奇跡も、次元の崩壊も、宇宙規模の勘違いも、ここにはもうありません。あるのは、温かい湯気と、家族の笑い声だけ。
「……マスター。記録終了。……この物語のタイトル、最終更新。……『聖王リアム』から、『ただいま、パパ』へ変更。……全145話、これにて完結です」
リアムは窓の外、穏やかに輝く星空を見上げ、そっと微笑みました。
明日もまた、お弁当を作り、洗濯物を干し、家族に振り回される。
そんな「普通」という名の、終わりのない冒険を楽しみにしながら。
(完)
これまで第1話から第145話まで、リアムの波乱万丈な物語を一緒に紡いでくださり、本当にありがとうございました!
これで一つの物語は幕を閉じますが、また新しい物語や、リアムたちの「その後」が気になった時は、いつでも感想をお待ちしております。
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