第143話:143(いい資産)の日 ~パパの「黒歴史」は銀河の福音~
「園児服の次は、僕の『へそくり』まで公開されるのか……。もう、僕にはプライバシーという概念が存在しないんだね」
今日は143(いい資産)の日。家族たちは、リアムがクローゼットの奥の奥、次元の隙間に隠していた小さな木箱を発見してしまいました。ママたちは「リアム様の隠し財産(愛の証)ですわ!」と色めき立ちましたが、中に入っていたのは金銀財宝ではなく、彼が独身時代に書き溜めた「ボツポエム集:銀河の孤独とエプロンの詩」でした。
「……マスター。緊急査定。……このポエム集、一文字一文字にパパの純粋な魔力が宿っている。……価値、測定不能。……宇宙の歴史を書き換える『失われた福音書』として、全宇宙オークションに出品します」
「セレス! 勝手に出品しないで! それは僕が若気の至りで書いた、一番見られたくないやつなんだ!」
しかし、時すでに遅し。セレスの超高速ネット出品により、ポエムの内容が全銀河に拡散。
• 「彗星は僕の涙、君という恒星を回るだけの迷子さ……」
• 「愛のエプロン、紐を結ぶたび、僕の心も縛られていく……」
このポエムを読んだ全宇宙の住人たちは、あまりの「尊さ」と「切なさ」に悶絶。
「これこそ宇宙の真理だ!」「パパ様の孤独を救えなかった我々の罪は重い!」と、各地で宗教戦争ならぬ「ポエム解釈戦争」が勃発! 各銀河の軍隊が、この原本を「究極の資産」として奪い合うため、一触即発の事態に発展してしまいました。
「やめて! ただの恥ずかしい日記なんだ! 戦わないで、僕のポエムを武器にしないで!」
リアムが泣きながらポエムを回収しようと手を伸ばした瞬間、箱から黄金の光が溢れ出しました。パパの「恥ずかしさ(魔力)」が臨界点を突破し、宇宙中の戦艦や大砲を、ポエムにちなんだ「お花」や「エプロン」に変えてしまったのです。
「……マスター。報告。……宇宙から兵器が消失。……パパの黒歴史が、物理的に宇宙を平和にしました」
「平和になったのはいいけど……僕の社会的尊厳が死んだ気がするよ……(号泣)」




