第140話:聖王、園児になる。~35歳からの再出発~
「……みんな眠ったね。宇宙も、ママたちも、魔王さんも。今がチャンスだ。僕は……僕は、今日から『お世話するパパ』を休職して、『お世話される園児』になるんだ!」
リアムは自作の願書を抱え、全宇宙が安眠ポエムで爆睡している隙に、無人の『聖パパ・ニコニコ幼稚園』へと忍び込みました。名札にはマジックで「りあむ(35)」と記入。彼はエプロンを脱ぎ捨て、黄色い帽子を被り、通園バッグを肩にかけました。
「ふふふ、これでいい。明日、先生が来たら僕は言うんだ。『パパがいないと何もできない、か弱い迷子の園児です』って……!」
しかし、彼が幼稚園の砂場に座り込んで「園児ごっこ」の予行練習を始めたとき、背後から無機質な声が響きました。
「……マスター。入園手続き、代行完了。……ただし、パパが『園児』になったことで、宇宙の因果律が混乱。……『宇宙で最も偉大なる存在(園児)』を教育できる保育士が、この次元には存在しない」
「セレス!? 起きてたの? ……っていうか、僕を教育できる人がいないってどういうこと?」
「……回答。……パパが『お遊戯』をすれば、それは『神の舞』となり、惑星の軌道が変わる。……パパが『粘土細工』をすれば、それは『新生命の創造』となる。……結論。パパが園児になると、幼稚園が『宇宙創造のゆりかご』にアップグレードされる」
その時、ポエムの魔力が切れたのか、12人のママたちが血眼になって幼稚園に突っ込んできました。
「リアム様! どこへ行かれたかと思えば、そんな可愛い格好をして……! 先生ならここに12人いますわよ! さあ、お昼寝の時間ですわ!」
「わー! パパが幼稚園児だ! 僕たちが『お兄ちゃん』だね!」
子供たちまで乱入し、リアムは先生たちに囲まれ、子供(本当の子供)たちに頭を撫でられるという、屈辱的かつ至福の「逆転現象」に。
「違うんだ! 僕は近所の優しい先生に『はい、よくできました』って言われたかっただけで、24人に囲まれて『聖なる園児』として崇められたいわけじゃないんだー!」
結局、リアムの入園初日は、ママたちが作った「超豪華・神の給食(時価総額100億リアム)」を無理やり食べさせられ、24人に全力で寝かしつけられるという、世界一過保護な「体験入園」で終わるのでした。




