第139話:全宇宙子守唄! ~パパが綴る、一作の「安らぎ」~
「……はぁ。数兆人のパパたちに『よしよしして』って追いかけ回されるなんて、どんな悪夢だい……。セレス、みんなを大人しくさせる方法はないかな?」
「……マスター。提案。……パパの真髄である『黒歴史ポエム』……失礼、『聖なる詩』を一作書き下ろすべき。……パパの声で読み上げれば、全宇宙の精神を強制的にリラックスさせることが可能」
リアムは覚悟を決めました。自分の過去を切り売りしてでも、このカオスを終わらせるために。
彼は黄金のペンを執り、便箋に魂の一作を綴りました。
『タイトル:銀河の揺りかご、エプロンの温もり』
ねえ、聞こえるかい? 恒星の瞬きは、僕のまばたき。
宇宙の闇は、僕が君を包むためのベルベットの毛布だよ。
ほら、ブラックホールも今日は、おやすみのキスを待っている――。
リアムがこの詩を、全宇宙放送のスピーカーを通じて優しく朗読しました。
「……みんな、お疲れ様。今日はもう、僕の腕の中で眠っていいんだよ」
その瞬間、銀河中に「聖なる睡魔」が吹き荒れました。
さっきまで「パパぁー!」と暴れていたライバルパパたちも、仕事中のサラリーマンも、戦い合っていた異星人も、全員が一斉に「……ぱぱ、おやすみ……」と呟き、その場にパタンと倒れて深い眠りにつきました。
「……マスター。大成功。……全宇宙、活動停止。……現在、稼働しているのは、パパと、機械である私と、……パパの声を録音して永久保存しようとしているママたちだけ」
ところが、あまりに詩の威力が強すぎました。
リアムがふと窓の外を見ると、銀河の星々までが眠たそうに光を弱め、宇宙全体が「完全な停電状態」に。
「わわっ! 詩一つで宇宙のエネルギー源まで寝ちゃった!? 誰か起きて! 宇宙が暗くなっちゃうよ!」
慌ててみんなを起こそうとするリアム。しかし、彼が喋れば喋るほど、その「いい声」がさらなる安眠へと誘い、結局リアムは一人で宇宙の灯りを守るために徹夜する羽目になるのでした。




