第134話:究極の目利き! ~選ばれたい魚たちの合唱(コーラス)~
「不審者扱いされても、ジャージ姿でも構わない! 今日は『いい刺身の日』なんだ。パパとして、最高に新鮮な魚を選んで、みんなに振る舞うんだ!」
リアムは、ジャージにバンダナという「聖なる不審者」スタイルのまま、銀河最大の水産市場『ウオ・イチバ星』へと降り立ちました。セレスを伴い、今日こそは「ただの買い物客」として振る舞おうと気合を入れます。
「……マスター。不可能。……パパの体内から漏れ出る『慈愛のフォトン』が海水の塩分と反応。……生け簀の魚たちが、パパを認識した」
リアムが鮮魚コーナーの生け簀の前に立った瞬間、奇跡(という名の惨劇)が起きました。
本来、網から逃げ回るはずの魚たちが、一斉に水面へと飛び跳ね、リアムに向かってアピールを始めたのです。
「ギョギョッ!(パパ様、僕を食べて! 熟成具合は最高だよ!)」
「プシュッ!(私こそがパパ様の血肉に相応しい、トロける中トロですわ!)」
「わわっ、魚たちが自らまな板の上に並んでいく!? 待って、僕はまだ選んでないよ!」
リアムが「このマグロ、美味しそうだな」と指を差した瞬間、そのマグロが「聖なる指名」を受けた衝撃で黄金に発光。さらには、隣の生け簀のタイやヒラメまでが「選ばれなかった絶望」で真っ白に燃え尽き、市場全体が「パパに選ばれた勝ち組」と「選ばれなかった負け組」のドラマチックな戦場と化しました。
「……マスター。報告。……選ばれたマグロ、あまりの幸福感により身が締まりすぎて、ダイヤモンド並みの硬度に到達。……もはや刺身にするには、聖剣での解体が必要」
そこへ、噂を聞きつけたママたちと魔王が到着。
「リアム様! パパ様に選ばれた魚なんて、もったいなくて食べられませんわ! このマグロは剥製にして、銀河の守護神として神殿に飾りましょう!」
「魔王、了解! この魚たちのために、巨大な氷の神殿(冷凍庫)を建設する!」
「違うんだよ! 今夜の夕飯のおかずにしたいだけなんだよ!」
結局、リアムが選んだ魚はすべて「聖遺物」に認定され、リアムの手元に残ったのは、市場の出口でそっと手渡された、誰にも注目されなかった「地味なちくわ」一本だけでした。
「……今夜は、ちくわの磯辺揚げかな……(涙)」




