第131話:パパ、神様になる。~くしゃみ一つで銀河は祝日~
「……もう、隠居も仙人も諦めたよ。でも、せめて家の中では『ただのパパ』でいさせてほしいんだ」
山から連れ戻されたリアムでしたが、事態は彼の想像を超えていました。隠居中に彼が放った「聖なる吐息」や「温泉湧出」の奇跡を目の当たりにした宇宙の住人たちが、ついにリアムを『全宇宙慈愛教・教祖パパ様』として神格化してしまったのです。
翌朝、リアムが「ハックション!」と小さなくしゃみをした瞬間、セレスの端末が爆速で通知を刻みました。
「……マスター。速報。……ただいまのくしゃみ、聖なる福音と認定。……全銀河政府、本日を『パパの吐息記念日』として国民の休日に指定。……経済効果、100京リアム突破」
「くしゃみしただけだよ!? 鼻がムズムズしただけなのに、なんで全宇宙が休みになるの!?」
さらに、リアムが朝食のパンを一口かじれば「聖なる欠食の儀」としてライブ配信され、パパがちょっと首を傾げれば「神の深淵なる思考」として全大学の哲学論文のテーマになります。
「パパ様! 信者の代表として、私たちが『パパの教え』を108の聖典にまとめましたわ!」
エルナたちママまでが、便乗してノリノリで教義を作り始めました。
• 第一聖典: パパの「おやすみ」は、全銀河の消灯の合図である。
• 第二聖典: パパの「黒歴史ポエム」は、宇宙誕生の秘密が隠された予言書である。
• 第三聖典: パパが「いや」と言えば、それは人類への試練である。
「勝手に宗教を作らないでよ! 僕は神様じゃなくて、みんなのパパなんだってば!」
リアムが必死に否定すればするほど、信者たちは「ああ、なんと謙虚な神様だ……!」「自分を神と思わない、その凡人への歩み寄りこそが神の証!」と涙を流してひれ伏す始末。
ついにリアムは、自分が座るためだけに作られた「黄金のパパ玉座(超多機能マッサージチェア付き)」に座らされ、24人の家族から「神様、今日のご予定は?」と神殿の主として拝まれることになりました。
「……これ、隠居より自由がない気がするんだけど……(涙)」




