第123話:パパ、3歳になる。~全宇宙が揺りかご~
「……ぱぱ、ねむい。……だっこ、して?」
朝、リアムの寝室から聞こえてきたのは、いつもの包容力ある声ではなく、高く、頼りなげで、守ってあげたくなるような「究極の幼児ボイス」でした。
123(ひふみ)の数字が揃った奇跡か、あるいは透明化ポーションの副作用か。リアムは記憶と精神が「3歳」にまで若返ってしまったのです!
「……ッ!? マスター。緊急事態。……パパが、小さくて、丸くて、……尊すぎて、心臓が持たない」
無機質なはずのセレスが、真っ先に鼻血を出しながらリアム(3歳Ver.)を抱きしめました。
「パパがちっちゃくなっちゃった! 可愛い! 弟みたい!」
12人の子供たちは大喜び。一方で、12人のママたちは「母性」がビッグバンを起こし、聖王宮が瞬時に修羅場と化しました。
「どきなさいセレス! 3歳のリアム様をお風呂に入れるのは、第一夫人の私の役目ですわ!」
「いいえ! お着替えをさせるのは私です! 龍族特製のフワフワパジャマを着せるんです!」
当のリアム(3歳)は、状況が飲み込めず、大きな瞳に涙を溜めてプルプルと震えています。
「……まま? ぱぱ、おなかすいた……」
その一言で、12人のママたちが一斉に「ママ」を自称して突撃。さらに、この様子が全宇宙にライブ中継されると、全住人が「パパが……僕たちのパパが、赤ちゃんになった……!」「今すぐ哺乳瓶を捧げろ!」と暴走を開始。
全銀河の経済活動が停止し、工場はすべて「おむつ」と「ガラガラ」の製造に切り替わりました。
しかし、中身は3歳でも、魔力は「全知全能の聖王」のまま。
リアム(3歳)が「おもちゃ、ほしいのー!」と泣きじゃくると、その叫びが物理的な言霊となり、銀河の星々がキラキラ光る積み木へと変化。宇宙の法則が「3歳児のわがまま」によって再構築されていくという、史上最も平和で最も恐ろしい危機が訪れました。
「……マスター。このままでは宇宙が『パパの遊び場』になって消滅する。……至急、よしよしして寝かしつける必要がある」
セレスの指示のもと、家族24人がかりで、全力の「子守唄(合唱)」と「トントン」が始まりました。




