第109話:猫の逆襲! 聖王宮を埋め尽くす「僕らの王を返せ」デモ
「にゃ、にゃあ……あ、違う! みんな、おはよう!」
人間に戻ったリアムでしたが、朝一番の挨拶でつい語尾が漏れてしまいます。しかし、そんな平和な朝を切り裂くように、聖王宮の周囲から地鳴りのような「鳴き声」が響いてきました。
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃ!!(王を! 我らがモフモフの王を返せ!)」
窓の外を見ると、そこには異次元、深海、果ては機械化された銀河から集結した、数兆匹の「本物の猫」たちが聖王宮を完全に包囲していました。彼らは、リアムが人間に戻ったことを聞きつけ、「あんなに完璧な猫を人間に戻すなんて、人類の横暴だ!」と抗議のデモを起こしたのです。
「リアム様、大変ですわ! 猫たちが門を爪研ぎにして、聖王宮がボロボロに削られています!」
「……マスター。猫、強硬手段。……『ちゅーる』の備蓄が底を突いた。……このままでは、モフモフの海に沈む」
セレスの報告通り、猫たちは液体のように隙間から侵入。12人のママたちも、最初は「可愛いわねぇ」と愛でていましたが、数万匹の猫に同時に「ご飯!」と鳴かれ、リビングが猫の集会所と化した光景に白目を剥いています。
「わかった、わかったから! 僕が話を聞くよ!」
リアムはバルコニーに立ち、猫語(魔法翻訳付き)で演説を始めました。
「みんな、僕は猫じゃないけど、君たちのことは大好きだ。だから、僕が『全宇宙・猫語通訳大統領』として、君たちの要望をすべて叶えるから、一旦解散してくれないかな?」
すると、猫たちの代表である巨大な三毛猫が前に出ました。
『……ならば、毎日一回、全銀河に「パパのゴロゴロ音」を放送すること。あと、全惑星の段ボール箱の関税をゼロにしろにゃ』
「……そんなことでいいの? よし、今すぐ可決だ!」
リアムが即座に法律を制定すると、猫たちは満足げに「にゃーん!」と勝ち鬨を上げ、銀河へと帰っていきました。
こうして、リアムは人間に戻ったはずなのに、毎日定時に「パパのゴロゴロ音(癒やし)」を宇宙全土に放送する、世界一忙しい「癒やし大統領」としての生活が始まったのでした。
「……大統領の仕事って、こんなに喉を鳴らすことだったっけ……?」




