第106話:猫パパ逃走中!お魚くわえた聖王様と、数兆人の追跡者
「にゃ、にゃあ……(もう撫でられるのは限界だにゃ!)」
24人の家族に24時間体制でモフられ続け、毛並みがテッカテカになった猫リアム。ついに本能が理性を超え、食卓にあった「銀河一新鮮な聖なるタイ」をガシッとくわえると、短い足をフル回転させて聖王宮を飛び出しました!
「ああっ!パパが逃げたわ!しかもお魚くわえてる!可愛い、可愛すぎるわ!!」
「……マスター。ターゲット、逃走。……萌え死ぬ前に確保。……全軍、追跡開始」
エルナの悲鳴を合図に、12人のママと12人の子供、そして聖王宮を警備していた全騎士団が「パパ確保」のために動き出しました。
猫リアムは、第106次元の「雲の上のアスレチック銀河」へと逃げ込みます。ピョンピョンと浮遊する島を飛び跳ね、お魚をくわえたまま「ふんす!」と鼻息を荒くして逃げるその姿。
その映像が全宇宙の街頭スクリーンに映し出されるやいなや、全住民が仕事を放り出して叫びました。
「パパが走ってる!短い足でお尻を振って走ってるぞ!全宇宙のカメラを回せぇぇ!」
逃げる猫リアム。追うのは、24人の家族と、熱狂的なファン数兆人。
リアムが曲がり角でツルッと滑って転び、「にゃんっ!?」と情けない声を上げるたびに、追跡者たちは「尊い……!」と胸を押さえてバタバタと倒れていきますが、それでも愛の力で這い上がって追いかけてきます。
「パパー!そのお魚、食べ終わったら抱っこさせてー!」
「リアム様、逃げれば逃げるほど、捕まえた時の可愛がり方が激しくなりますわよ!」
リュカが龍の姿で空を覆い、マリンが津波のような泡でリアムを優しく包囲しようとしますが、猫リアムは驚異的な反射神経(と可愛さによる敵の硬直)を利用して、スイスイと網をすり抜けていきます。
結局、行き止まりの「またたびの小惑星」まで追い詰められたリアム。
お魚をしっかり守りながら、ウルウルの瞳で「にゃあ……(もう勘弁してにゃ)」と上目遣いで鳴いた瞬間、追跡者たちは全員、あまりの破壊力に白目をむいてその場に沈没。
静かになった隙に、リアムは満足げにお魚を完食し、その場で丸くなってお昼寝を始めるのでした。




