第101話:バレなきゃセーフ? パパ、自分のファンクラブに潜入する
100話記念のパレードが終わり、宇宙は「パパへの愛」で埋め尽くされていた。聖王宮のポストには、1秒間に数億通のファンレターが届き、もはやリアムの居場所は家中どこにもない。
「……たまには、一人の『リアム』として外の空気を吸いたいなぁ」
リアムは一念発起し、セレスにお願いして「パパのオーラを99.9%遮断する魔法のメガネ」と「地味なパーカー」を用意してもらった。向かった先は、近所の惑星で開催されている『全宇宙パパ同好会・第888回集会』だ。
「よし、これならバレないはず。僕も一人のファンとして、みんなと交流してみよう」
会場に入ると、そこにはリアムの等身大パネルを拝む人、リアムの「尊い瞬間」を1フレーム単位で解析する人、そして「パパが吐いた空気」を缶詰にしようと試みる怪しい科学者たちがひしめき合っていた。
「おい、新人! お前、パパのどこが好きでここに来たんだ?」
筋肉隆々の強面な男が、リアムの肩を叩く。彼は「パパの優しさに救われた元海賊」らしい。
「え、えーと……、顔、とか? あと、たまにドジなところ……かな?」
リアムが冷や汗をかきながら答えると、周囲の会員たちが一斉にガタッと立ち上がった。
「甘い! 甘すぎるぞ新人! パパの真髄は、あの『困った時にちょっと下がる眉毛』と『慌てて光翼をバタバタさせる時の音(440Hz)』にあるんだろうが!」
「そ、そうなんだ……(僕、そんな音出してるんだ……)」
熱狂的なファンたちの熱弁に圧倒されるリアム。しかし、話が盛り上がるにつれ、リアムもついつい「あ、でもパパって実は、朝ごはんに醤油とソースを間違えることもあるらしいですよ?」と、本人しか知らない極秘情報を漏らしてしまう。
「……何だと!? そんな可愛いエピソード、公式データにはないぞ! お前、さては超エリートな隠れファンだな!?」
一気に注目を浴びてしまうリアム。さらには、興奮してつい笑った拍子に、魔法のメガネがズレて「本物のパパ・オーラ」が0.1%だけ漏れ出してしまった。
「待て……この神々しい輝き、そして嗅いだだけで寿命が1000年延びそうなこの匂い……。まさか、お前……」
会場に緊張が走る。次の瞬間、ファンたちが一斉に「本物だぁぁぁ!!」と絶叫しながら五体投地。
バレるのを恐れてリアムが光速で逃走する背後で、ファンたちは「パパが僕たちの集会に降臨されたぞ! 今日を『聖なる潜入記念日』に制定だ!」と、さらに熱狂を加速させるのであった。
「……やっぱり、普通の生活って難しいなぁ……」
聖王宮に逃げ帰ったリアムを、12人のママたちが「おかえりなさい、浮気者さん?」と怖い笑顔で出迎えるのだった。




