輪廻
【輪廻】
人間は死んだ後生まれ変わりそれを永久に繰り返すこと。
輪廻とはいつから始まったのだろうか。
今日もそんなことを考えていた。
輪廻はこの世界において、広く古くから考えられている考え方だ。
創作物においては、輪廻の考え方は異端とされる作品が多い。
現実の状況に対する天邪鬼なのかそれとも、輪廻の考え方へのアンチテーゼなのか。
今日も授業を聞き流してしまった。
一つのことを考え始めると止められるまで考えてしまう。
どうにも、生まれたときからそうだったようだ。
おかげで授業が頭に入ってこない。
現在中学三年生、絶賛受験生であるというのに。
どこの受験生もそうであると思うが、少なからず親との反発がある。
反抗期であるというのもあるのだろうが、自分の行きたい学校と親の行かせたい学校が違い、そこで対立が発生している。
今日は特に白熱し、スマホと財布と鍵をもって家を出てきてしまった。
たまにあることだ。
そういう時は、熱を冷ますように近くの公園の芝生で横になって、星を眺める。
ぼーっと眺めているこの時間が少し、、いや、かなり好きだ。
家出の目的の半分はこれだと言っても過言ではない。
ぼーっと星を眺めていたその時、なんとも言い表せぬ存在感を放った亀裂が闇夜に生じた。
亀裂が広がると同時に魂ごと体が亀裂に吸い込まれそうに感じる。
いつの間にか、周りが液体に変わっており、体が半透明に見えた。
液体は重く体に張り付き思うように動くことが出来ない。
辺りを見渡しても闇しかなく、なぜ液体が液体であると判別できるのかも分からない。
しかし、これだけは新たな知識として蘇った。
それは、これが魂の世界であるということ。
俺、いや?、私?、僕?、わたくし?、吾輩?、、、この魂でいいだろう。
魂に名前はないのだから。
この魂はこの世界に来たことがある。
この世界は輪廻に使われる世界であるからだ。
ということは、また輪廻が終わり、輪廻が初まる
神が世界を創り、輪廻を初めるために魂の世界から取り出される。
いつの間にか、記憶がなくなり、新しい輪廻に流される。
神の目的はわからないが、輪廻は続いていく。
輪廻の初まりを告げる人間が産声を上げる。