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光の誘惑  作者: 鼻歌大好き身長、小さいな
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後輩

秋風が吹き始めた「ラックス魔法学院」の中庭のベンチに3年生のオレンジツインテールに茶色の目で鼻も高いリズ・オズボーン子爵令嬢と紫髪ショートに黒目に鼻も高いレア・エヴルー子爵令嬢が座っておしゃべりをしていた。

今日は、長い夏休みが終わって生徒たちが魔法学院に戻って来る日で、リズとレアは、中庭から見える渡り廊下を歩いている生徒たちを見ながら噂話を楽しんでいる。

  昼少し前に、噂話に飽きたリズがレアを学食に誘おうとした時だった。リズの視界に大好きな先輩が歩いているのが見えた。リズが渡り廊下を見るとソフィアとビクトリアが並んで歩いていた。

  リズ「かわいい…」

レア「ビクトリア先輩は美人だもん!」

リズ「いや、ソフィー先輩は優しいし!」

レア「ビクトリア先輩はカリスマだよ!」

話だけ聞いていると喧嘩しているように思えるが、ソフィア派のリズとビクトリア派のレアは笑顔で楽しそうにソフィア先輩とビクトリア先輩の良いところを言い合っている。

4年生のソフィアとビクトリアには本人たちが知らないところで後輩が勝手に、「ソフィア派」と「ビクトリア派」に分かれて2人を憧れの対象として見ていた。その中でもリズはソフィアからレアはビクトリアから親しくしてもらっていた。

リズとレアが言い合いをしていたのは、ほんの1、2分だった。2人が目の端で動き回っていたのが見えたのかソフィアが2人に顔を向けて手を振ってくれた。その瞬間、リズは飛び上がって喜んだ。ビクトリア派のレアは、ソフィアに頭を下げた。ソフィアは、そんな2人に微笑みながらビクトリアと部屋に向かって行った。どうやら「貴族」の2人と違って少ない荷物を置きに行ったようだった。

リズ「マジ神…」

レア「良かったね~」

リズ「さてと、ソフィー先輩たちも行くだろうし、学食に行こうか」

レア「そうだね」

リズ「ソフィー先輩に夏休みの出来事を話さないと!」

レア「私もビクトリア先輩に話してみるよ!」

リズ「頑張って!」

2人ともソフィアとビクトリアの良さを言い合ってはいるが、2人とも傾倒する先輩ではない方もしっかりと尊敬しており、幼なじみが先輩の方へ勇気を出して行こうとする際にはちゃんと応援している。

しかし、ソフィア派とビクトリア派は、多い。ソフィアとビクトリアが学食に来るとあっという間に2人は囲まれてしまい、リズとレアはその多くの1人になってしまって、ソフィアは優しいのでみんなと話してくれたが、レアはせっかくリズが応援してくれたのに遠くからビクトリアを見ていることしかできなかった。

  3年生の茶色無造作ヘアに黄色の目で鼻は普通のカイ・ラッセル伯爵子息は、「ソフィア派」ではなく一学年上の先輩のソフィア・リドルさんのことが好きなのだ。

出会いは、「ラックス魔法学院」に入学してすぐのこと。カイが授業を部屋が分からず迷っているとソフィア先輩が声をかけてくれてカイを部屋まで案内してくれた。その授業の後に、教室から出ると前の廊下をソフィア先輩が通り過ぎた。

  ソフィア「あっ、ちゃんと受けられて良かったね~」

なんて言って素敵な笑顔を向けてくれた。

ビクトリア「それで遅れたんだ。」

ソフィア「まぁね汗」

ソフィア先輩の笑顔にボーとして立ち尽くしていると通り過ぎた先輩たちがそんなことを話していた。驚いてソフィア先輩の方を見ると彼女は気にする素振りもなく友人と楽しそうに歩いていた。そこからソフィア先輩の笑顔と優しさに彼女に惚れてしまった。


  だが、ライバルはとんでもなく多い。同じように優しくされた同級生の男子の多くがソフィアに恋をしており、多くの先輩や今では1、2年生の後輩の多くの男子がソフィア先輩に恋している。噂では、ソフィア先輩の地元でもソフィア先輩は同世代の男共から告白をされているらしい。

  それでもカイは、幸か不幸かあまり成績が良くないので助けてもらってから優しく声をかけてくれたソフィア先輩に近づいて勉強を見てもらっている。

今日も、そろそろ扉が開いているとヒンヤリする風が入ってくる学食でソフィア先輩を独り占めして勉強を教えてもらっている。

  先輩「ソフィーちゃーん泣」

ソフィア「何よ、アーサー君笑」

3年生「ソフィー先輩!汗」

後輩「先輩!汗」

ソフィア「おっ」

先輩・3年生・後輩「勉強、教えてください!」

ソフィア「は~い笑」

残念。今回は、いつもより十分ほど長くソフィア先輩を独り占めしていたカイだったが、ソフィア先輩と同級生のアーサー先輩が彼女を見つけてから、男女関係なく学食に集まって来てソフィア先輩の周りに集まって来てしまった。

そんな学食の扉の前に、「ソフィア派」と「ビクトリア派」の筆頭であるリズとレアがいた。

  レア「あー…」

学食内での様子にレアが呆れてからふと幼なじみのことを気にしてリズの方を見ると肩を落として明らかに落ち込んでいるようだった。

レア「えっと、大丈夫?汗」

リズ「夜ご飯の時にでも声をかけるよ。」

レア「そっか。うん、そうしな」

リズとレアは、落ち込むリズを気にしながらレアが一緒に歩いていると教室に残っていたのか勉強をしているビクトリア先輩を見つけたレアが一目散にビクトリア先輩のもとに行ってしまいリズは驚いて口を開いてしまった。

  カイは、分からないところを群衆に負けじとソフィア先輩に声をかけて教えてもらっていた。

  ルーカス「ソフィーちゃん僕もいい?」

ソフィア「ルーカス君もちろん!」

ソフィア先輩の後ろに立ったのは、ルーカス先輩だった。顔には、隠しもせずにカイを含めた男子たちを嫉妬していると書いてあった。どうもそういう好意には鈍感なソフィア先輩は、誰にでも見せる屈託のない笑顔でルーカス先輩を和に招き入れた。

カイにとっては、ルーカス先輩が一番のライバルであると思っている。同級生で、いつも3人組で遊んでいるのを見かけているからだ。もう1人のアラン先輩には彼女がいるので心配する必要はないのだが時たま2人きりでいるところを見かけるルーカス先輩に対しては焦ってしまう。だから、2人きりでいる時はすぐに2人の間に割って入って邪魔をする。少しでもソフィア先輩と長く過ごすために。それでもすぐに魅力的な先輩の周りには人が集まって来てしまう。

  なんて事を考えてため息をついてしまったカイだった。

  ソフィア「カイ君、解けているよ!スゴイじゃん」

そうしたら、思ってもいなかったタイミングでカイは大好きな先輩から褒められて致死量百%の笑顔を向けられたので動揺しながらお礼を言うことしかできなかったが、ルーカス先輩を含めて多くの男子から嫉妬の目で見られたので心の中でドヤ顔を決めといた。

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