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光の誘惑  作者: 鼻歌大好き身長、小さいな
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ありえない魔法

  ビクトリアと会ったソフィアは、急にお腹が空いた。その様子にビクトリアが中庭にある時計台を見るともうお昼になっていた。しかし、食堂に行くのはまだ気が引ける。一緒に順位表を見た[貴族]たちがいそうだし、そうでなくとも先輩の[生徒会]のメンバーがいそうだった。そんな風に考えていると入学試験から愛想良く[普通]のビクトリアたちに笑顔を向けてくれるオリビアがサンドイッチを両手に持ってこちらに向かって来ていた。

オリビア「そんな事だろうと思いましたよ」

ビクトリア「えっ?」

オリビア「はい、どうぞ」

お腹が空いてしまいその場にしゃがんで動かなくなったソフィアにオリビアはサンドイッチの1個をソフィアに見せた。手に持つ気力がないのかオリビアにサンドイッチを手に持たせたままソフィアは、サンドイッチを食べ始めた。その様子に、オリビアは優しく微笑んだ。

ビクトリア「ありがとう」

オリビア「あなたも」

オリビアにもう1個のサンドイッチを見せられたビクトリアは、頷いてソフィアを抱き上げて一旦、食べるのをやめてもらって中庭にあるベンチにソフィアを抱っこしたまま座った。オリビアが着いてきてくれたのでソフィアは、座るとまたオリビアの手からサンドイッチを食べた。ビクトリアもオリビアからサンドイッチを貰って食べ始めた。片手が空いたオリビアはソフィアを小動物のように愛しそうに頭を撫でた。

ビクトリア「…良いんですか?」

オリビア「えっ?」

ビクトリア「あの氷魔法を使うアリス様のお友達では?」

オリビア「あー…本当にごめんなさいね」

ビクトリア「いっ」

ソフィア「いいえ。」

ビクトリアが答えようとすると急にソフィアが答えた。しかし、答え終わるとまた食べていた。

オリビア「ふふふ

まぁ、友達なのですが、私はアリスちゃんと違って[貴族]・[普通]など関係なく接したいので」

ソフィア・ビクトリア「ありがとうございます」

今度は、2人の声が重なった。

オリビア「なので、肩苦しい言葉で話さなくて大丈夫ですよ」

ビクトリア「いや汗」

ソフィア「うん!」

オリビア「ふふふ」

ビクトリアは、遠慮しようと思ったが人懐っこいソフィアはすぐに返事してしまった。まぁ、今の状況からしたら行き倒れの野良犬に餌をやったら懐いてペットになったように見えてしまう。

オリビア「しかし、ソフィアちゃんスゴいね~」

ソフィア「あー…」

ビクトリア「オリビア様は?」

オリビア「私のことは「様」などいらないよ

50位ですよ」

ソフィア「…トリちゃんは?」

ビクトリア「3位だったよ」

ソフィア「えっ⁉︎」

ビクトリア「「ラックス魔法学院」の誕生年の問題を間違えたらしい。」

ソフィア「あー。魔法学院と「将軍国」の誕生が一緒なんだよね。」

ビクトリアは、もう1問、歴史の問題を間違え、さらに簡単過ぎた魔法問題で1問だけ答えをズラして書いてしまったのだ。

ビクトリア「それはそうと、はい。」

ソフィア「あっ…」

今日、魔法学院に来たのは順位表で順位を確認するのと教師から丸をされた用紙を返してもらうためだったのだが、ソフィアはアリスから逃げ出したため用紙を貰い忘れていた。どうやらビクトリアが教師に言ってソフィア分も貰ってくれていたようだった。

オリビア「アリスちゃんは、用紙を貰ったら用紙を凍らせていたわ。」

ソフィア「…アリス様は?」

オリビア「ん?…2位だったわねぇ」

ソフィア「えっ…」

ソフィアは、嫌な予感がした。と、オリビアの前に美男美女の[貴族]が来て、赤髪ショートで黒い目に鼻も高い女の子がオリビアに声をかけた。

赤髪ショートで黒い目に鼻も高い女の子「もう、みんな舞踏会に向けて出発したわよ」

オリビア「あら汗」

赤髪ショートで黒い目に鼻も高い女の子「私たちも先に行くわね

 ご機嫌よう」

そう言うと美男美女の[貴族]2人は、仲良さそうに魔法学院の玄関に向かって行った。途中で赤髪ショートで黒い目に鼻も高い女の子とビクトリアは目が合ってしばらく見つめ合った。

オリビア「ソフィアちゃんとビクトリアさんでいいかしら?」

ビクトリア「はい」

オリビア「また4月からよろしくね」

そう笑顔で言うとソフィアを強く抱きしめてから頭を優しく撫でてから慌てて玄関に向かって行った。ビクトリアが中庭の時計台を見るともう夕方が差し迫っていた。

ビクトリア「…私たちも帰ろうか。」

ソフィア「うん」


ソフィアとビクトリアが魔法学院の玄関を出ると馬車を引いたスペンサーとレディが待っていた。

スペンサー「ね~僕の意味が分かりましたでしょう?」

ソフィア「いいえ。」

スペンサー「あら汗」

ソフィア「…スペンサー」

スペンサー「はっ汗はい!」

ソフィア「私は、[貴族]じゃない」

スペンサー「存じております」

ソフィア「だから、堅苦しい言葉遣いじゃなくて友達のように話して欲しい」

スペンサー「ほ~

では、よろしくお願いしますソフィアちゃん」

ソフィア「うん!」

もう魔法学院に入ることは避けられないので残り1ヶ月ほどでソフィアは覚悟を決めることにした。「アリス様」と呼ばれる氷魔法を使う白髪ショートに紫目に鼻も高い子とその他の[貴族]のことは恐いし、何より魔法も使えないのに1位なことに自分も納得していないがそれでもこのペガサスのスペンサーとオリビアなどと会って少しは楽しくなりそうとも思った。また、魔法や歴史の勉強をもっと出来ることはとても嬉しいので勉強の虫になるのも悪くないと思ってしまった。ビクトリアも馬車から降りたソフィアの顔が今朝とは違い少し明るくなったことに気づいてホッとしたし、何より魔法学院を1人で過ごすよりずっとマシだった。

スペンサー「じゃあ、ソフィアちゃんまた入学式の日に」

そう言ってスペンサーは、レディと共に魔法学院にマッハで飛んで帰った。

ソフィア「明日こそ釣りするぞー」

ビクトリア「ふふふ、付き合うよ」

ソフィア「あ~サンドイッチ美味しかったな♪」

ビクトリア「そうだね~」

そんな話をしてから2人はそれぞれの家に帰って行った。


この世は魔法のようなもの。ありえないことが現実となる。

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