幹部として
6年生の「幹部」たちは、ラックス魔法学院に戻ってすぐに仕事が始まる。去年の6年生が書いていた部ノート等の引き継ぎや入学式に向けて、それぞれの活動を紹介する文の作成等、多岐に渡り、「幹部会」も開かれては意見交換が行われるため、6年生たちは入学式までの一週間ずっと走り回っている状態だった。
 
そうして何とか入学式に挑み、それぞれの活動やソフィアが委員長でアリスが副委員長の「図書委員」であれば図書室のルール等を説明したが、「普通」出身で「対抗戦」を優勝したソフィアのことは新1年生の中でも有名だったのに、そんなソフィアが「図書委員長」なことに驚いているようだった。「幹部会」の最後に「生徒会長」として「普通」出身者として2人目のビクトリアが1年生にエールを送った。
入学式後、「幹部会」は集まって、反省会とこれからの活動について確認をし、解散し、ビクトリアは、シャーロットと渡り廊下を歩いている。美人で成績優秀のビクトリアと華やかで「聖歌隊」を引っ張るシャーロットが並んで歩くと後輩の女子たちから憧れの眼差しを贈られる。レアなんかは黄色い歓声を上げてしまう。
ビクトリア「はぁー…」
シャーロット「「生徒会」?」
ビクトリア「うん。
私なんかより、ソフィーの方が人気なのに。」
シャーロット「人気は、ビクトリアもあると思うけどー…リドルは、「対抗戦」で優勝したのにね。」
ビクトリア「…それを言っても、「私は、「生徒会」なんか興味ないんだよね。」の一点張りだからねぇ。」
シャーロット「はぁー?
会長になって、ビクトリアを副会長にして補佐を頼めば良かったのに。」
ビクトリア「それをするとアリス様が…」
シャーロット「あー。
…あの、役職決めは地獄だったなぁ。」
ビクトリア「本当に。」
そんな風に、ビクトリアが愚痴を溢しているとは露知らず、ソフィアは、アリスと図書室で本の整理をしていた。
アリス「姉のことを持ち出すわけじゃないけどー」
ソフィア「うん」
アリス「何で「生徒会長」にならなかったんだ?姉と同じように「対抗戦」で優勝したのに。」
ソフィア「アリスちゃんも優勝したじゃん笑」
アリス「真面目に聞いているの。」
ソフィア「…本当に、「生徒会」に興味が無かったんだよ。
「生徒会」に入るより、「図書委員」として大好きな本に囲まれて仕事したかったからだよ」
アリス「そうか。」
ソフィア「アリスちゃんもでしょ〜」
アリス「私は…」
ソフィア「ん?
はい!手が止まっているよ〜副会長様〜笑」
アリス「はいはい!笑」
アリスは、まだ素直にソフィアに気持ちを言えないでいた。また、ソフィアも「生徒会」に入りたく無かったちゃんとした理由があったのに、それをちゃんとビクトリアに言っていなかったのが問題だった。
 
ソフィアとビクトリアは、少しずつすれ違いながら、春は過ぎていった。
 




