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少女黙示録  作者: 狩川藍
01『優しいだけの非情な少女の日常は崩れる。残念なことに』
5/43

『言言言言乃波は完璧少女』

005

そうは言ったものの図書委員長だったのかは定かではない。

図書委員長だったのかも知れないし、はたまた全く違う委員会の委員長だったのかも知れない。

学級委員長は彼女ならやっていても可笑しくないと思うのだ。これはクラスメイトの誰かが言っていたような気がする。私もそう言われた時にはそう思ったものだ。まぁ正確には何処に加入していたのかは分からないのだけれど。

前に何処かで見たような気がするのだけれども本当に覚えていないのだ。

だがその委員長(なにかの委員長であることだけは確信しているのでここは委員長と呼ばせて頂こう。)の顔は良~く知っている。同じクラスの前の席の人だ。これぐらい覚えていなくてどうする。これを覚えていない程に他人に興味無いわけではないのだ。多分ね。

後は今日、言言言言乃波(ことゆいことのは)は、眼鏡を外している方が可愛いとか言う噂を斜め後ろの男子グループの会話で盗み聞きした程にも興味がある。

一理あるなとも思ってた。

実際彼女は眼鏡を外したことによって可愛らしくなった。

元々可愛らしかったけれどもより一層可愛らしくなったと思う。眼鏡属性の人には悪いが。

それによって男子からの支持はより、上々傾向だ。ファンクラブなんてものも密かにあるらしい。出まかせかも知れないけど。

碧南と大違い。いや、あいつは熱烈な支持者と熱烈な不支持者の両極端な人間関係しかなかった。ファンクラブと被害者の会が両方あったんだっけ。

まぁ碧南は支持者と不支持者の割合はなんとも酷いものである。

それに比べては、比べたら失礼に当たるかもしれないけれど(碧南はどうでもいい)言言言は殆どの人に支持されていると言っても過言でもないだろう。

そのせいで一部の女子生徒から疎まれていた。ごく少数ではあったが、同性から嫌われる女子だった。

碧南も「心が綺麗過ぎて面白くない。おまけに顔までもさぁー。」と言っている。

私もそうは言っても確かに綺麗だと思う。行動。能力。顔。全てが。恨みや妬みなしで。客観的に見て。

碧南は顔だけは良かったんだけど、言言言はそれ以上。

本当、完璧である。

貴方が見てきた人間の中で一番『完璧』に手が届きそうな人物はと聞かれたら彼女において右に出るものはいないだろう。品行方正。成績優秀。彼女によく当てはまる。

そんな彼女に私が最初、第一印象はと言うと、あれだ。

苗字が読めないただそれだけだった。彼女が凄い人間であることなど微塵も知らなかった。純粋に苗字が変と思った。私の放何故も十分に変だが読めんこともない。

大体、言うが三つなんて(名前の言乃波も含めたのなら四つも言うが含まれている。)初見さんお断りみたいな、いや実際お断りな苗字である。読めたらただただ天才という言葉を贈ろう。それくらいに読めない。

そして名簿に「言言言言乃波」なんて表記の仕方で書かれているものだから、何処からが名前で何処からが苗字かなんても少し迷ったりもした。いや、そもそもそんな苗字はないんじゃないかとも思った。

しかし「言々々言乃波」の表記のほうが分かりやすいだろう。苗字と名前の区別くらいなものが。

一般人は読めないのだからあんまし意味ない気回しと思うけど。

こんな苗字が読めない彼女であるが行動は読めるのだ。何故か。

いや、違う。なんだか彼女は優等生のテンプレみたいな行動するのだ。

困った人がいれば当然助けるし、皆が進んでやりたくない善行だって平気でする。優等生を絵にかいたようだ。なんだか恐怖すら感じてくる。

その行為は客観的に言えば「偽善」だろう。

私もそう思う。余りにも偽善的過ぎると思う。

「やらない善よりやる偽善。」

とある掲示板で(濁しても分かるだろうけど)放たれた名言だ。

彼女にはその言葉がよく似合わない。

い善を善をとして認識してはいないのだろう。

彼女にとっては「当たり前」。

だから、周りにしてみればそれは綺麗過ぎるし、模倣しように出来ない。不気味な程に完璧人間として完璧過ぎる。嫉妬もされる。

私も優等生、ではないか。(碧南が言っていたけど)よくて、いい子という部類かな。なにもしていないからか。まぁ優等生でいいか。テストの点数低いけど。(基準が緩い)

優等生で優しいとされる私だが優しいだけで非情な奴だと自分でそう思う。

彼女よりも偽善的であると言える。

今まであってきた人たちには好印象を抱かれているだろうが自分を卑下してしまう。

だって言言言を見ると自分が掠れて見える。眩しすぎる。

彼女が本当の優しさだというのなら私は偽物なのだろうと見ていて実感する。

対極に位置する私たちが話すきっかけなんてものは物語のように劇的ではない。案外何処にでもある面白味もない平凡なものだ。大体、友人の作り方はこれであると言える。

高校三年生(現役です)の始業式の際、私の友人の友人経由で少し話したら仲良くなった。

この人は誰とでも仲良くなれるタイプだった。

言言言とは友達になるにはハードルがかなり低いだろう。だから友達が沢山いる。羨ましい。


と、こんな感じだろうか。私視点での言言言言乃波の情報は。少ないかもしれないが。

言言言言乃波を端的に言うと「完璧美少女優等生」。これに尽きる。

この表現で十分だ。

その彼女を帰り際に見つけたから私は話しかける。

話しやすいしね。

愚痴も聞いて貰える。

そう放何故崩無は感じているのだが優しいだけの非情な少女と本物の優しい完璧少女が会話をするのだから滑稽千万に思える。

そんなことは分かっていながらも崩無は気にも留めずに彼女に話しかけるためにを廊下を走る。

あの教師が見たらまた注意されるなと、思いながら。



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