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少女黙示録  作者: 狩川藍
06『昨日の敵は今日の友と言うけれど昨日の友は今日の敵も成り立ってしまうことから本当は私達に友などいないのではないかと思う』
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『崩れた性格も喋ってきたら慣れてくる』

004

えっ?あれ?

可笑しかった。

何がかというとこれは人間が襲いかかるスピードではない。速過ぎる。

動きが追いつか無い。肩にナイフが突き刺さってるとかそう言う問題じゃない。

というか肩にナイフが刺さっていたことを忘れていた。だいぶの鈍感じゃないか、そらそうか感情四捨五入すればないも同然。

いや、そんなことは今はどうでもよくて、後で抜けば良いことだ。

相手が近づいてくる。こんな思考する時間はなかったのだ元々。

ただ一つだけの予測はあった。

死ぬ。

このままだと死ぬ。

そう、悟った。でも半分も諦めようとも考えは過らなかったけど。

2本目のナイフ(テレビ塔のを含めれば3本目)があと2メートルで刺さろうかとしていたその時。

高速に進む言言言と言う的を見事に蹴り上げた。

奇跡とも言えるようなくらいに正確で顔面、詳しく言うとほっぺあたりを蹴り上げた。

それはそれは鮮やかだった。蹴ったと言うより膝で殴ったの方がただしいかもしれ無い。しかも拳法でもやっていたのかと思わせる強烈な蹴りで言言言は当然の如く物理法則に従って吹っ飛んでいった。

「がはぁ……!!」と女子高生が大凡一生出すことのない言葉と言言言の綺麗な造形をしたお顔は品性下劣なギャグ漫画張りの変顔をしながら吹っ飛んでいった。

5メートル飛んだところで頭部から着地する。

着地は生温い表現だったな。正確性に欠ける。地面に衝突していったと言った方が正しい。当たり前だが出血している。

でも大量出血ではなかった。

でも、そんな言言言には目もくれず程缶課長は私に

「大丈夫?」と心配の言葉をかけた。

まぁ別に肩にナイフを刺されてできた刺し傷しか特筆するところはないので「大丈夫です」と返答しておいた。

「だけども、あと数秒とか一歩とか間違っていたなら私はこれだけの傷じゃ済まなかったでしょう。助かったから感謝するくらいしか私にすることはないですけども」

その言葉の前半部分が刺さったのか程缶課長は苦笑する。

私も適当に苦笑で返しておいた。感情が『二分の一』だからといって表情筋が死んでいるわけではないからね。

そして相槌するかの様に程缶課長は苦笑を返した。

私も返し返す。

なんだか一悶着ついたのような雰囲気を醸し出しているが全然そんなことない。

しかも返しあっているのが苦笑な上なのだから私ら両者ともスッキリしてはいない。

寧ろ警戒心全開である。言言言に。

「ブブっブブブババババ……」と謎なことを口に出しながら這ている。

私らはほぼ同時に目をやった。

顔面の右半分は程缶課長が蹴り上げたせいで深夜アニメでしか放送でき無いグロテスクな絵面である。

「あの。ちょっといいですか?」

と程缶課長の袖を引っ張って言う。

「んー?なにー?」

「言言言の顔があんな風になるってどっからそんな脚力がでてるんですか?」

純粋な質問である。聞く側が純粋のかけらもなく感情の欠けらもないけれど。

「んー?あー。若干体力とか自信はあるけどーでもー身体強化剤を服用してきたからねー。こんな何があるかわから無い円死光被災地だしねー」

所謂ドーピングか。少し違うと思うが。

だが。それにしても一蹴りで顔面をグロテスク状態にするとは。

不良品と勘違いしてしまうほどに強力だぞ。

ほら。程缶課長が蹴った部分目が潰れているように見える。

口から血を吐き出している。それでよく立ち上がる。そんなんでは私に向けた「ゴキブリ」という比喩はブーメランのだろうと思ってしまった。

「おい!!!ぶっはっ。屑、屑が…ああああああ。ゴホッゴホッゴホッ…高貴なる私が優しくして会話に応じてやったのに…。殺す殺す殺す殺してやる」

血反吐はいて聞き取りずらいが(原文だと聞き取れても全て濁点とか)多分こんなことを言っていたのだろう。

そして元々膨大であった殺意はより一層濃くなった。

面倒くなってきたなあ。

「あはあはあっはははっはははっはd」

殺意で壊れてる。

目が逝っている。瞳孔がグルングルン回ってる。全身には言言言自身の血で染まっている。その状態でこちら側に這いつくばってくるものだから恐怖心を煽られるようなシュチュエーション。正に化け物と呼ぶに相応しい様相であった。

因みに程缶課長はそれを見て引いている。

私に感想はない。

ガチャガチャ。音が聞こえる。

「あっ」

「走れー」

程缶課長は走りながらそう叫ぶ。私もそれに追従して走る。

これはさも当たり前のようにあったので気に留めてなかった。だけども一番重要視しなければならかった代物であった。

ロケットランチャーである。再会の挨拶がてらに撃ち込まれたもの。

恐ろしく強力な兵器である。それ故に衝撃波による負担も凄いのである。

見るからに骨折しているであろう腕では耐えきれ無いとわかる。冷静に考えれば。

「あはっあはっ」なんて声出して目が逝って殺意丸出しな奴が冷静なわけがない。

正気でなくで狂気である。私らを殺すことしか見えていないのである。

主に程缶課長を殺すことだろうけど最初と趣旨がずれているなと思う。

まぁどっち道殺害リストに入れらているのは確かなのだから。

「あははっははあっはあっははははははははははははっはあっはははっははははははははははははははh」

ドンッ。

と、途轍もない音を立てながらロケットランチャーが発射されたことが見なくてもわかる。

その発射された砲弾は頭上を越え目の前の崩壊寸前のビルへと着弾し、当然の如くビルはバランスを保てずに崩壊する。

「ひえ」

といつもと同じような棒読みな口調で言いながら安全地帯まで後退する。

だが後退して身を守ったからといってそれは即ち言言言との距離を詰めたことになるのだ。

後ろを振り向き確認するとロケットランチャーの弾を補充した言言言がいた。

「死ね死ね死ねえいあははははっ」

と、悪役みたいな声を発しながら(私らから見れば紛れもなく悪役だけど)ドン、と二発目が発射される。

そしてどこかに着弾する。

わから無い。着弾の影響で粉塵が舞い見えにくい。

それに紛れ、近くの瓦礫に私ら二人は隠れる。

そこから言言言をこっそりと観察する。

言言言の近くの鞄は確認できる。背負っていたのだろうか。だとしたら気づかなかったほどに私の目は節穴だったのか。大分大きいのにか。えーっと。あの鞄から砲弾が二発、三発ほど確認できる。はっきりはしていない。だがあの鞄相当に幅と深さがあるからあと数十はあるんじゃないか。数十はおかしいと思うが。だって一発7キロで十発あれば70キロだ。そんな重さのものが華奢な女子高生に持てるとは考えにくい…けど。それにどう考えてもリロードの速度が不自然に早い。言言言には不自然な所が多い。でもそんなこと気にしていたのなら私は死ぬのだろう。だから後回し。

「崩無ちゃん。崩無ちゃん」

と肩を掴む。

「聞いてる?」

「な、なんですか?」

「ちょっと貸してねー」

なんて言って刺さってるナイフを抜かれた。また忘れていたのか。

て言うかナイフは止血の役割も果たしてる場合もあるらしいので下手に抜か無い方がいいという。

「少し骨にヒビ入ってるねー。後でその蘇生装置で治療してあげるねからさー」

はぁそう言う言なのか?こう言うことも見越して蘇生装置をわざわざ持ってきたのか。大分用意周到だ。

「じゃー行ってくるよー。逃げ纏っていても拉致が開かなそうだしー。あー。崩無ちゃんはそこで大人しくしておいてー」

と私に刺さっていた。私の血が付着したナイフを持って進行方向を言言言のほうに変えて走ろうとする。

どうやら言言言と戦闘するらしい。

それがベストの判断なのかはわから無いがもう程缶課長の決めたことだ。変わりはし無いだろう。

私は走り去ろうとする程缶課長に一言。

「死なないで下さい。程缶課長が死んでしまうと本当に路頭に迷いますから。援助交際、風俗嬢になるしか方法なくなりますから」

「大丈夫ー。大丈夫ー。まぁ死亡フラグは立てないでほしいかな。そして私が死んでも会社入れるからー。それに死ぬほど自分は弱くない」

と、そう言って走りさった。

たった1時間半ほどの前に知り合ったばっかなのだが友情紛いのものが出来始めている気もする。

共通の敵を見つけてしまうと人と言うのは団結してしまう。

嗚呼。なんて悲しいことだろうか。

まあ言うてもそんな感情微塵もない。

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