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少女黙示録  作者: 狩川藍
01『優しいだけの非情な少女の日常は崩れる。残念なことに』
4/43

『奴張子碧南は巧妙な屑』

004

「私に言うことないですか?碧南。」

きちんと謝ってもらわないと終止符が付かないもんだと思う。

だから、謝罪は要求させてもらおうか。

が、それに対し碧南は顔色一つ変える事無くぶっきらぼうにスマホをいじる。

優しいと周りから言われる私でも許したらいけないのかもしれないと思う。こいつの為にも。碧南がもっと塵屑になってしまわぬよう。誠心誠意込めて謝罪してくれたならそれで方はつく。

それ以上は面倒だ。優しいではなくてただ面倒なだけだから適当にケリをつけようとしているだけかも。

いや、絶対にそうだ。

まぁここで碧南を許したとしても明日親も呼ばれて注意を受けるのは私なのだ。

冤罪で。

そういえば、何故碧南に対して怒りを露わにしないのかは、もうどうしよもないと思うからだ。起こってしまったら受け止める。そういう性格。怒りの感情が湧かない。

「ラーイン」と着信音がなった。急に。なんだか変なタイミングで来たな。と思いスマホを胸ポッケから取り出しLINEを直ぐに立ち上げる。

こういう大事な時でも確認したくなる。スマホ中毒だ。直さないといけない。

これ現代人の性。

LINEのメッセージの主は「へきな」。奴張子碧南。目の前にいる人物だった。

そしてメッセージには「今回は私の軽率な行動によって貴方様にご迷惑をおかけさせてしまった事については深い深い謝罪と遺憾の意を表します。誠に申し訳ございませんでした。」とつらつらと謝罪の言葉が並び立てられていた。

その文体のみ見るとやや、と言うか大分過剰過ぎると感じる。

その文章の下におまけ程度に何かしらのアニメキャラクターのスタンプが送信されている。

それによって固いのか柔らかいのか(柔らかくないか)分からない微妙な雰囲気になってしまっていたのは確かだ。

それを読み終わった直後に「バッ」と効果音が出てしまうほど瞬時に頭を上げ碧南を見るとスマホをポッケに仕舞って私の方に体を向けていた。

「ごめん。」

最もお辞儀に適した角度で礼をしながら一言だけ言い放ちまたスマホを取り出しこの場所を後にした。

ここで伝えるならLINEで送信しなくても良かったのに。

それでも矢張り碧南の気が済まなかったのだろう。にしてもあの碧南の堅苦しい表現をした文章はどう見ても似つかわしくないと言える。だが、それはそれで碧南らしさでもあった。碧南によって私が不幸な目に合ってしまうなんてことはこれが最初ではない。一度や二度なんて甘っちょろい。小さなことまで含めると星の数程にあると言っても過言ではない。そのだびにこんな碧南の屑な性格に反した堅苦しい文章を送ってきたのだ。

だが、目の前にいるのにも関わらずLINEを送信してきたのには正直驚いた。

まぁ碧南の口からそんな言葉が出てきてしまったのなら、それは奴張子碧南と言うキャラクター像が崩壊の一途を辿ることになる。

それ以前に碧南は言わないだろうが。だって恥ずかしいと思っているのだ。

謝ることが恥ずかしい。そんな雰囲気を私は碧南から感じ取っていた。

だから何が何でも自らの口から謝罪の言葉を言わないだろうと踏んでいたのだが。

意外も意外。謝罪の言葉を口にした。だいぶに珍しい出来事だ。

碧南はLINEで堅苦しい表現を使い誠心誠意あるかの様な文章で送ってくる。

それは後々怒りにくくするために思える。

策略でそうしている。矢張り屑なのだ。

だけども、私にだけには「ごめん」と口にしてくれた。

私への好感度が矢張り高い気がするのだ。

何故だろう。何かしたっけ。

もういいや。これ以上に考えても進展する機会がない。

一応謝ってくれたのだし、快く注意を受けるとしようか。

そういったらドMに聞こえてしまうが。

いやいや。違う。もういいや。いいや。済んだ済んだ。済んでいないが。

「帰ろ。結構、余計な時間を取られてしまった。」

一時間半も取られた。バイトしたならば、1500円くらいは稼げた計算だ。

そんな無駄なことを思考しながらに、生徒指導室から続いている地味に、地味に、長い廊下を気持ち早めに歩く。

その突き当りまで行って曲がったのなら下駄箱がある。

そこには一人の女子生徒がいた。

見慣れた顔。

何度聞いたか、見たか、触れたか…も覚えてもいない。

学校の有名人。

ショートカットですらっとした顔たち。最近コンタクトレンズに変えてより一層美人に見えるその人物。

図書委員長。言言言言乃波(ことゆいことのは)その人であった。





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