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少女黙示録  作者: 狩川藍
05『絶対に食い逃げする食い逃げ犯をどう捕まえるかを考えるよりも食券制にするという根本的解決案を出せ』
38/43

『放何故崩無はまた会った』

006

永遠の命。

聖書やファンタジー小説でしか聞いたことがない言葉であったが恐らくいい大人な女性からこんな言葉を聞く日が来るとは驚きである。

しかし、特に言うことはないので鸚鵡返しに

「永遠の命?」

と疑問系で返すしかなかった。

「そう永遠の命。アダムとイブが林檎を食べてからずっと言われて来たことー。人間の憧れの対象」

車をバックしながら言う。

恐らく瓦礫が多過ぎて通行できないと判断したからだろう。

そのバックした車を真っ直ぐにしてから再び話始めた。

「そして、我々は永遠の命があと1ヶ月とちょいくらいで完成するんよー」

……。

私の知らない所では相当技術は進んでいる様だった。現代っ子なのにもう過去に取り残された人なのかなぁと錯覚を起こしてしまうほどに。

「どうやって?」

と、反射的に質問してしまった。

返答は直様返ってくる。

「人間は膨大な情報で成り立っている。その情報を残せばいいだのよー。しかし、我々には肉体の老化と言うものがあるんだー。これが厄介でねー。肉体を生きたまま保存することは何度しても駄目だった。当たり前だねー。だから肉体ごと保存することを諦めた。別に頑張ったら肉体くらい作れるよねーってことでね。と言うことで人間の情報をバックアップ取ることで解決した。生きてる人間がいて、それと同じ情報を持つコンピュータがある。ほら、例えるなら少し違うけどパソコンってさ本体が壊れてもバックアップさえ残っていたら永遠と使えるよねー。あれと同じこと。」

あれそれってテセウスの船、ドッペルゲンガーみたいなことが本人が生きている間起こる訳だが。

どちらにせよ欠陥が大きいらしい。

しょうがない。技術の発展にそれは付きものである。

「まぁーしかしねー。作っている本来の意味は無くなった。崩無ちゃんがいることにより達成されてしまったー」

「すいません」

「いやー、謝らなくてもいいよ。寧ろいいかもしれない」

「はぁ」

よく分からないので曖昧な返事をする。

「ええっと。計画名は新永遠の命のプロジェクト通称神への反抗計画書;改。その目的は被験者を意図的に円死光被害者になってもらい発生を真近で観測してもらうことだよ」

名前は厨二病的だけど、なるほど私は企画倒しな存在ってわけね。

イレギュラーか。

研究の邪魔をした様な感覚だ。罪悪感と言う人の感情は無いけど、形だけでもそう思ってくる。

「ああー。だから罪悪感抱かないでー。別に研究は続けるつもりだし、本来の目的を失っただけなんだよー。まぁしかし、その研究を行なっていた生命研究課ってとこがあるんだけどさー元々研究開発課から別れてできた課だから再統されるかも知れないけどー。どうでもいいねー崩無ちゃんにはー」

別に罪悪感を抱いているわけでは無いと思っていたが、抱いているようにバックミラー越しに確認できたみたいだから、まだまだ私も捨てたものではないなぁと感じた。研究は続けるか…。蘇生装置なんて無限の可能性がある代物だ。

と考えているときにまたしても瓦礫に塞がれた道に行き着いたらしい。

程缶さんの

「またーーー。」

と言うテンションが降下した声が聞こえたのがその証拠である。

またしても車をバックし進行方向を整える。

「ま、ま、瓦礫だらけの街で車を走らすからこうなって当たり前ちゃー当たり前だよねー」

こんな瓦礫だらけの街に車を走らせること自体異常だと思うけど…。

…………。

2分も走っていないと思うがまた程缶さんの

「あれーーー」か、「またーーー」ではなかったがテンションが降下した声が聞こえたのである。

またも通路を瓦礫によって塞がれた様である。

本日3回目の行き止まりである。

私はここは結構瓦礫の多いエリアなのかななんて思っていたのだが

「ちょっとおかしいと思わなーい?崩無ちゃんビル一棟分、何棟分でもいいのだけれどさー。一つの災害、いいや円死光の特徴的にさー倒壊する向きが一定方向になるんだけど……これは」

……。?

私はあまり分からないが、なにかが可笑しいらしい。

そこに注意を配り窓の外を確認してみてみる。

一つ二つ…。なんだろう。ただ建物が倒壊している様にしか見えない。

強いて言うならば、私たちを取り囲む様に四方八方を塞がれているような…。

「あっ…」

それと同時期に程缶課長は「ん?」と、前方になにかを見つけた様に前のめりになる。

目を極限まで細めているのだろう。

「あーやべー」

と大分に不穏な一言を発した。それからが早かった。

自動車のロックを解除し、後部座席に飛んだ。

車のブレーキもかけずに、勿論この車に自動ブレーキの様なシステムは搭載されていないのだ。

その行動に普通の人だったのならば理解を放棄してしまう所だが私は「えっ」と軽く驚いただけだった。例えるならあらかじめ解いたことのあるテストを解くみたいにだ。

これは完全に予測できる範疇では無いのに。

「この車を出ないとダメだ」

程缶課長の喋り口調である長音が一切使われていないので大分焦っているのがわかった。

この数十分の間でそんなに仲は深まっていないと事実として思うけれどもこの違いは誰であっても分かりやすいのだ。

それも行動にも出ていて普通なら直ぐに開けれれるはずのドアを一回失敗していることからもわかる。

ドアは開いている。地面が高速に流れている。

スピードは程缶課長がハンドルを持っていた時よりも下がっているがまだまだ高速である。

それでこの高速に流れる地面に命知らずにも程缶課長は飛び出していく。

私と私に刺さっている蘇生装置を抱えて、そして自分の荷物も背負いながら飛び出す。余裕なさそうだが余裕ありげな感じである。

私は体重は結構あると思うのだが(いや、無いかもしれない)お姫様抱っこしながらに綺麗に、何か習ってましたか?と聞いてしまうレベルにバランスよく着地を果たした。

で、強引に降車した(飛び降りたとも言う)その自動車はそのまま走ってく。

そして、爆発した。

しっかりと見えた。自動車はロケットランチャーで破壊されたと。

何故そんな危険なものが私たちめがけて突っ込んできたんだ?

そこが疑問である。

「爆発しましたね」

「そうですね」

と二人はおよそ急場を凌いだとは思えないテンションである。

私は棒読みで後部座席のときのように仰向けである。仰向けで置かれたのか。

「崩無ちゃーん。もーだいぶ完了したとおもうからさー蘇生装置のチューブ抜くねー。急いでー。痛いかもしれないけどさー多少の我慢はしてほしー」

と言い終わる前にチューブを外していく。手際が最高だ。スポスポと抜かれていく。だが痛みはない。何故だろうか?『二分の一』が原因なのだろうか。

まぁいい。

人の影が見える。

あれさっきも…。

「はっはっはっははははははあ」

遠くからでも、とは言っても目視で顔が確認できるくらい。

聞き覚えた声。

「3時間ぶりくらいかなああああああ。崩無あああ。お前はゴキブリの交配で生まれてきたのかなあああああ」

ゲスい、ゲスい、顔をした少女。

私を殺害しかけた少女。

言言言言乃波(ことゆいことのは)と早すぎる二度目の再会である。


007

さぁ。私にとっての希望、(強制であるが)就職が見えたのだが一筋縄ではいかないというのが私放何故崩無の人生なのだ。

円死光被害に遭遇し、失禁し、90メートル下に落下し、友人だと思っていた人に刺され、自動車がロケランで大破した私に、いや、それ以前にも肝臓癌を患い、いじめにあったりなどかなり酷いものであったのだけど、次の災難もそれに肩を並べる。それ以上とも言っていい。

それらにいちいち絶望などしていたのなら私は私を生きていけない。

こういうとき『二分の一』は役にたつのだろう。役に立たないに越したことはないけどもこうも上手くいかなさすぎであり、私だけ人生ハードモードでプレイさせられているようだ。

したくないのに。

これがゲームなら返品したいし、出来なかったらBOOKOFFで売りたいものだと密かに思っている。

まぁこんなもの変えることなどできない戯言でしかないけどね。


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