『その人は程缶言うらしい』
003
「よし」
と程缶さんは言った。整ったようだ。
「話していくよ。自分が所属する中京円研についてねー。まぁあんまり言うことないんだけどねぇー。字のままだね。中京、名古屋にある円死光を研究する株式会社。これが殆どでうーん。誇れることは円死光研究分野なら民間企業で世界一だよー。国営企業とかには流石に勝ち目ないんだけどねー。」
とのことらしい。
はぁ。民間企業で世界一とは。
凄いと思う。
それが日本企業なのだから誇らしくなるー(棒読み)
それでも国営には勝ち目ないか。そらこの円死光問題は世界を挙げて取り組むべき問題なのだから国がそう言う組織を立ち上げていてもおかしくない。日本で言えば曖昧だが、円死光調査か研究庁か省。
そう言うのが世界各国あっても不思議じゃない。
寧ろないと困る。
この問題に国家自らが資金を投じなくてどうする。
円死光で滅びかけた国があるのだ。そうした国の防衛にも繋がるし、世界を救う事にもなる。
しかし……。今回は名古屋、日本が被害を受けたのだがそれ以前まで被害を受けていない日本企業が民間で世界一とは世界は何をやっていたんだ?
まぁ考えられる仮説は国営が強すぎて民間があまり成り立たないとか?うん。一番ありうる。
資金力では勝ち目ないだろうしね。
民間企業はあくまで企業だから利益を上げ続けないといけないからね。無理難題だ。
それに耐えきれずに多くの民間企業は倒産したのだろうな。
そう推察したところで程缶さんが言ってくる。
「まぁー。でもさー。円死光は世界で取り組むべき人類の問題だーとか何年前だ?1、2、」
「5年前です」とフォローを入れる。
「そう。5年前からみんな言って、研究してるけど……。」
…………。
「けど……?」
「研究はなんっにも、全く進んでませーん!」
これは驚いた。(棒読み)
程缶さんは笑っているけど流石に笑い事ではない。
えっ……と何?なんっにも進んでないの?
「いやぁそれは言い過ぎなんじゃないですか?」
こんなはっきりと聞こえる声で聞き間違いとかあり得ないので言葉の綾なのかなと思ったのだ。
「ままま、それは言い過ぎかなー?全くじゃあなくて微笑と言い換える方が適切かなー」
変わった気がしない。些細中の些細だ。
「分かっていることは四つ。ほぼ見て分かることだけどねー。ネットとかテレビとかのメディアでも報道しているから知ってるかなー。まぁ5年前に言っていただけだけどねー。でも、改めて言うよー。一つ、破壊する災害は光である。しかし核爆弾、雷などの兵器や類似した災害ではない。二つ、爆心地を円状に広がっている。三つ、地下であろうがどこであろうが起こってしまったら必ず死に至ること。四つ、生物植物は含まない。であればなんであろうが全て灰になる。致死率100%。常識だねー」
あれ?こんなんだっけ?常識をしらないぞ?
矢張り読み流し聞き流しをしていたので記憶にない。
これほどにこの円死光に対して無知であるにもかかわらず生き残ってきたのだから凄いと自画自賛したくなるよ。悪運が強力だ。
「でもさー。こんだけの情報しかない。しかも、5年前以降これに匹敵するくらいの情報は一切なーい。それだけで一企業が食っていける訳がないでしょー。こう言う円死光研究分野に割く企業は別分野で稼ぐしないのだよー。研究したら赤字だからねー。あっちなみに中京円研は円死光研究によって偶然生まれた技術で特許とかとって会社を回している訳。その特許とかで利益は9割、いや、100%だねー。必然的にこの業界には倒産するか、大企業の窓際族で存続する以外にないんちゃうかなぁー。中京円研の本体が窓際って感じだけどまぁ一応は大丈夫じゃないかなー」
「そうですか」
しかもその窓際っぱい本体の課長なんでしょう?
頑張ってください(他人事)
「そうですよー。しかし、国営はさー赤字など気にせずに何億何兆って額で研究出来るんだよー?国民の命を救うとかなんとか言ってさー。それでも成果は5年前から変わらない。横領してなーい?税金払っている私らが可哀想に思えなーい?」
国営への罵詈雑言が激しい。
それをいい終わるとバックミラーを整える。
今更?
分からないがそんなことは気付かなくても良いものだ。
ともあれ、ここまで話をきいて、絶望的だ。
国やら企業やらが金と時間を割いて得たのが進歩がない。
もうこれは人類は絶滅危惧種認定されてもおかしくない。
えっと。単純な計算で、円死光によって10億人ほどが5年間で死去して、あと世界人口は70億弱ぐらいかな。まぁそれでいくと、えっと7で、5で、35か。あと35年も経たずに人類が滅亡する。この人類70億、元々80億弱か。そこまでの繁栄に至るまで20万年だから衰退するスピードは繁栄するスピードに対し、5714倍という意味不明なくらいの数字になる。このまま進めば。
人類20万年の歴史が瞬殺されている。圧倒的。
そして解決策もない。
だから、絶望的と表現する他に見当たらないのだった。
でもさーと、程缶さん。
「我ら民間企業、中京円研に降り注いだ。国民の血税空く、いや希望か。国民にとっても全人類にとっても。しかし、税金をその国営に注ぎ込んだことは意味薄かなー?」
また国営批判をした。独り言で。
まぁそこは置いといて、そこはおそらく関係ない。
希望?希望だと?何故……。いや、分かる。
「希望が降り注いだって何ですか」
そう日常会話の「今日の夕飯何?」くらいの気軽さで言った。
そんなノリで言う言葉じゃあない。
まあ私にはその程度だ。実に私らしい。
程缶さんは一つ間を開けてから。
「君だよ。君しかいないよー。」
そりゃそうですね。全てわかっています。
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