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少女黙示録  作者: 狩川藍
04『他人に優しいということはそれだけ他人を見下しているということ』
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『放何故崩無はテレビ塔に登る』

003

カツ…カツ…カツ…。と金属で出来た階段の踏み場と靴が接触する音を鳴らしながらテレビ塔を登っている最中だ。10度も傾いているテレビ塔を最も簡単に……って感じに見えるのかな?それに怖いもの知らずにも程度って言うのは存在するのだろうが私は知ら無い。

嗚呼、しかし、もうお昼時であるのにこのテレビ塔180メートル、415段だっけ?それを登るとなると気が遠くめく。今日はおそらくご飯が食べられないことが確定しているのに運動しているのは流石に馬鹿に思える。

と言うかそもそもこの名古屋から脱出したところでご飯はありつけるのだろうか。

微細ながら不安に思って足を止めた。

いや、それは大丈夫だ。念の為財布は持ってきたのだ。でもしかし、直近の食事は大丈夫だとして後がない。本当後がない。

足を動かしながら考える。

幸いに私は高校生、しかも三年である。いや、あったと言うべきか。あと4ヶ月ちょいで卒業であったのに学校が消滅してしまえば中退扱いか?年中無休に通学していた私の成果はどうなってるんだ?まぁでも私は今日で18歳になったのだった。いまはなんか終活回避をしているが就活ができる歳だ。最高だ。あー。そうだとしても賃金は低いだろう。非正規雇用かな。生活保護かな?それは本当の最終手段だ。もうあれだ。体売った方が早いのでは?悲観的に飛躍しすぎか?いや別にそうでもないか。生きるためなら身体を売ることも厭わない。私は顔面偏差値だけは高いらしいからいけるのではないか?(奴張子碧南、言言言言乃波情報。碧南は信用ならないが、言言言が言うなら間違いはない)えっと体売るとなると援助交際か?しかしあの定義は女子学生だ。そのために大学に行くなどあり得ない。そもそもあれは良くないはずだ。売春罪とかでしたっけか。

じゃあ。あれじゃん。ソープ。風俗嬢。

これで決まり。合法的な奴だ。なんかそれしか道がない気がするのだ。

なんか捻じ曲がっている気がする。こんなこと思ったらそういう業種の人たちに迷惑をかけてしまうからこれ以上話はやめよう。よく知らないから偏見になる。

と、こんなこと考えていたら屋内展望台まで来ていた。

あー。こりゃひどい。

思わず声も出しそうなくらい酷い有様だ。

これが大都市、日本三大都市にも数えられた栄光も栄華もない名古屋が広がっていた。死者はおそらく名古屋民全員だろう。この様子であれば。そうであるなら死者約230万人。

出る言葉もないことだろうね。私はこういう話をするとどこか、いや、他人事なのであろう。攻めようと思うのだが、いつも通りでもうどうでも良くなるのだ。

階段を登っている最中にも確認できたのだが、しっかりと展望台で見るのとは違う。地上で見るのとも全く違う。

完膚なきまでに人間文明が崩壊している。

こんなにも広範囲に破壊し尽くされているとは思わなかった。

本当になす術なく…。

嗚呼。前見た時はもっと美しかったと表現するのが適切なほどの景色であった。

あの時は無理矢理に放課後に「ひまぁ〜」とかただこねられて連れてこられたのだっけ。今は亡骸も残さずに消えた色んな人から顰蹙を買ったクラスメイト碧南に。

そいつのためにも、それ以外の人達のためにも形だけだが、(私の形だけは本当に形だけなのだが)哀悼でも捧げておこうか。

目を閉じる。

哀悼。

ーーーーー。

ーーーーー。

これくらいでいいだろう。

さてと目的通りとして確認しよう。

と思うて私はほぼない窓ガラス越しに外を眺める。

いや、眺めるではなくてもっと力強く、凝視すると言う感じだろうか。

一個、一個建物を確認するかのような勢いである。実際そんなこと出来ない。視力の良さは普通くらいなのだ。

だから、矢張り大雑把って感じではないだろうか。まぁそれでも良くやったものだ。

そして何分かたった。

ここの周辺は全滅と言っていいほど凄惨なものだったが、見つけた。

私の視力的には、大多数の人ではもう殆ど潰れて見える範囲に脱出場所を発見した。

えっと。あそこは……。まぁ推測によると多分一宮市だ。

あの感じは一宮市だ。多分一番近いところだと思う。

そこから予想できることはほんの一部も名古屋はなく、消滅し切ったということであろうと思う。

故郷の学校などが潰れたら何とも悲しくなってしまうものだが、私はそんなことは一切合切ありません。

まぁいいさ。一宮市は無事ということがわかったから名古屋脱出はそっち方面に向けて歩こう。

大体JRの新快速で行けば一駅間。距離でいえば20Km。印象が違う。あー。20Kmか。今日中に行けるかもしれなくもなくもない微妙の他いうことのない距離だ。でも、行けると形だけでもと確信しておこう。そうしないと諦めてしまって今夜は野宿になるからね。

ふー。寒い。鳥肌が立つ。

あー。いや、人生に絶望して悪寒がしている訳ではない。

さっきほぼない窓ガラス越しと言ったね。そして標高が高いと圧力が下がり、同時に気温が下がるという性質が空気にはあるだからだ。

まぁ。言っても若干である。コート着ているし大丈夫。万全の準備は越したことはない。

あーしかし、矢張りここは危険だと感じる。

こうやって思考を働かせている間にも何かの拍子で転落死しそうだ。可能性は高い。思わず下を向いてしまう。

嗚呼。少し身の危険を感じないといけなそうだから(いつも最悪のケースを考えて……。まぁ考えていたらここにはいないか)四つん這いになっておこう。何だか安定して心も安定する。いつもの安定し過ぎて怖いくらいだけど。それから下を見る。こう見るとダチョウ倶楽部のネタ「押すなよ!絶対に押すなよ!!」の構図に見えなくもないポーズである。いや、本当に推したら、本当の本当に洒落にならないよ?

落ちたらえーと。全体的にいえば180mだったと思うけど、展望台なら90m(これでも最悪だ)下に真っ逆さま。木っ端微塵なのは想像に容易い。

完全グロ画像である。そういう層にはウケるかもしれないけども(どういう層だよといいたくなるけど)何とも感じないとは言え嬉しくはない。そして、このテレビ塔が倒れたりするかもしれない。そうなったらひとたまりもないのはご存知の通り。

よし。もう見るのも考えるのもやめよう。ネガティブシンキングになる。人間はマイナス思考になるように出来ているがどんなものにも限度があるし。場所も変えよう。ここから得られるものは景色から脱出地点の発見だけである。勿論降りる訳ではなく屋外展望台へ行こうと思う。屋内だったので屋外に行く。得られることは同じかもだけど、ここまで来て見ないことはないだろう。そして、万が一ここで見たことで見逃していたことの確認にもなるから損はないはずだ。

まぁ。しかし、高さは数字上のイメージではあまり変わらないと思うけど、屋外と屋内の展望台の差分は10mである。

その差分を確かめに行こうと登ろうとした。

「登ろうとした」と表記しているぶんここで何かがあったのだなと判断できる。実際途轍もないことが起きた。

この行いを後悔したような……。

その話は多分、後でするとして不幸なことが起きた。私らしい不幸なこと。悲劇的なこと。

爆発音がした。

それだけでは大したことではないが、それはそれはけたたましい音だったことはあとは何かわかるよね?

本日2度である。

利医紗ちゃんと再会する直前に聞こえた爆発音である。でもそれとは決定的には違う。あれは小規模で、遠距離からであった。今回は逆である。大規模で、近距離。いや、ここだ。

テレビ塔だ。

鼓膜を通り越して耳が破れる程大音量を鳴らし、地震の比ではないくらい床が揺れる。

私が経験した地震(最大でも震度4程である)とは比べものにはならない。体験なんてできるわけがないくらいに、尋常じゃない。

周りのものがメキメキと音を立ててひび割れていく。

地が傾いていく。

元々10度は傾いていたけどそんなの関係ないくらいに。

そして、考えを放棄してしまいそうになるほどに絶望感が押し寄せる。ここで考えないなんて不可である。

嗚呼あれだ。もうあの状態だ。将棋で何打っても王を取られてしまう状況にいうセリフだ。

「詰んだ」

無意識のうちにそう口にしてしまっていた。



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