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少女黙示録  作者: 狩川藍
04『他人に優しいということはそれだけ他人を見下しているということ』
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『栄の放何故崩無』

002

栄。

名古屋市中区栄一丁目から栄五丁目。

または栄交差点及び名古屋市営地下鉄栄駅を中心に久屋大通や矢場町交差点、名古屋鉄道瀬戸線栄町駅周辺。

そう定義されているらしい。Wikipedia参照。

まあ名古屋市を代表する。いや、日本を代表する一つの繁華街、ビジネス街といっても差し支えない。

そして、栄と矢場町は一緒にされる。

私だけかもしれないけど。

ヨドバシカメラの歌の歌詞に「栄と矢場町駅前のカメラはヨドバシカメラ」と聞いたものだからそう思ってしまったのだろうか。ヨドバシカメラが悪い訳ではない。

まぁ実際にはどちらの駅前にもなく、若干ながら矢場町駅の方が近い程度だ。けど、栄とつけたのはそりゃあ知名度の高さであろう。

その知名度の高い栄は文字通り栄えていたのだが、今は見る影も欠けら感じることはできない。

「円死光」によって綺麗さっぱりと、清々しいほどに壊滅的状況下である。

だが、驚くべきことにテレビ塔、名古屋のシンボル(そう言うことにしておこう)は無事であった。

テレビ塔の正式な名称は「中部電力MIRAI TOWER」なのだが、殆どというか全く使うことも通じることもないと思うので別に知らなくてもいい。その表記を見たのは案内の時くらいなものだ。

と言うか利医紗ちゃんが言っていた通りテレビ塔だけ何事もなかったかのような佇まいだ。

感心する。

『二分の一』の私が感心する。

まぁ予測はしていたのだが栄まで名駅から3キロメートルくらい歩いてきて(普段は何も考えず地下鉄で来ていたから遠く感じた)収穫がこれだけとは。テレビ塔が残っていただけだとは。いや、それでも十分だとは思うけども、利医紗ちゃんが言ったからもっと大きな意図があると思ったのだが…。それは違ったらしい。

利医紗ちゃんはただただ「見に行ってみる?」的なことしか言っていない。強引に意図を見出しただけなのだ。

期待はしていないが密かに期待はしていたようだ。

期待するだけ無駄なのだろうとは思っているのに。

まぁ。でも、それ一つでも収穫は収穫なのだ。

大豊作ではないにしろ、それはいいのだ。

いや、よくないかもしれない。考えることが多くなった。

予め聞いていたが、それでも半信半疑であった。けど、実物を見ると矢張り奇妙にも程がある点なのだ。

それは何故テレビ塔はこんなにも綺麗に残っているのか?だ。どう考えてもおかしなことだ。

周りは崩壊しているのにそれだけは崩壊していない。限りなく不自然なことだ。

疑問を抱くのは致し方ない。

では何故か?とここで熟考するのはやめておこう。それにしてはテレビ塔が見えにくいのだ。少し隠れている。

そりゃそうだ。

本来見える位置ではないのだ。

ただ歩いていたらテレビ塔が目に飛び込んできたので立ち止まったに過ぎないのだ

この錦通大津は。

しかし、この錦通大津という地名は覚えていないが、ここが元々テレビ塔なんて見えなかったことはわかった。周りの雰囲気でどこなのかは把握できた。

ドンキホーテ名古屋本店じゃなくて、栄本店だっけ?どうでもいいか。それとマクドナルドが入っているサンシャイン栄かな?ビルの名前は覚えられない。の観覧車とか奥に三越が見えたはず…。その交差点だ。多分。ここは何度も来たことがあるので想像はついた。

そして疑問が生まれるだろう。名古屋民には。

桜通りを下って行くと考えていたのに、一本下の…、まぁ4本ぐらい下の(大幹線道路のみならば一本下と言っても差し支えないだろうが)錦通の方にいるのか?だ。

答えは単純である。

単に通れなかった。通行不可。

「円死光」被害によって壊され、吹き飛ばされた瓦礫の山で埋まっていた。

でも、頑張ったら通れたかもしれない。

体力消費は物凄いだろうけど。

せっかちなら通っていただろうし、一刻をも争う状況とあれば強行突破を果たしていた。

だが、生憎そんなこともない。

栄へ向かう理由が四捨五入で無いと言う。

そうだけど向かうのは変わりない。だから、潔く迂回路に回った。しょうがなく。地下鉄桜通り線が地下を走っていた桜通りから地下鉄東山線が地下を走っていた錦通に。

まぁ。そうは言っても錦通も、その周辺の道路の瓦礫のつもりようは酷いものであったのだが、桜通りよりは幾らかはマシ程度であった。

マシと言っても矢張り瓦礫は大量に積もっているし、下手しなくても怪我しそうなくらいだ。

だから桜通りよりは難ありだが通れる。

あっ。今思えば地下鉄の線路を辿っていけばよかったかなぁ。んっ。いいや。少量の怪我しかしていないし、大丈夫だ。いや、地下鉄の線路なんかを辿っていたのなら気づかなかっただろうし、そのことに気づいたからイーブンとしよう。それは上に行くほど瓦礫の山が積もっていっていると言うことだ。上と言うのは岐阜とかは、流石に遠くて分からないか…。まぁあれだ。内陸に行けば行くほど瓦礫が積もっていたのだ。これも齟齬があると思うが…。

そして思うのだ。何故?「円死光」なのに?

円状にすべからず破壊の限りを尽くしているのにムラがあるのか?本当はランダムなのか?世界各国で起きた「円死光」もそうであったのか?

分からない。

そりゃそうだ。一般人に公開されている情報などたかが知れている。情報など歪曲されて伝わるものだ。情報の自由など十分に無いのでは無いだろうか。ちなみに日本は71位。 

まぁそれは置いといて、話が戻ってしまうが、テレビ塔はおかしいのだ。それ以外もこの状況を見るにおかしなことであるが。それがおかしなことだというのを加速させるかのようにテレビ塔の真後ろには確か桜通りが通っているのだ。

あの瓦礫で埋め尽くされた道路。

どうなっているのか見に行かない訳もない。下手の考え休むに似たりだ。こんな錦通大津の交差点で考えているのは良く無いのだ。

と、言うことで、150mもあるか無いか(本当は120mくらいかもしれないけど、まぁ目分量である)を進み、これが栄と言う場所に出た。

観光ブックに載っている地点であろう。

名古屋の観光ブック、るるぶとかかな?そんなもの読んだこともないけど。あっても北海道と京都くらいなものだ。

地元の観光ブックなんて読む人は余りいないだろう。

読まなくても名古屋の中心に来れるのだから。そして観光ではない。

あー。でも観光を思わせるものが残っている。

ほらここに。NAGOYAってある。@NAGOYAか。大阪の梅田に梅田って言うオブジェがあるのとおなじの。

要らない説明であろうが、NAとYAが白色でGOが黄色(なんか黄色って名古屋っぽい色よなぁ。なんでだろ。)でその文字は傾いていた。Gだけか。

まぁ傾いていたと過去形で言ったのだから今は違うのはお分かりだろう。現在はGOは完全に倒れて、ひび割れがひどい。ひび割れは他の文字も同じであり、欠けに欠けている。

嗚呼。今思い出したけどこのNAGOYAっていうオブジェ?かな。よくわかんないけど名古屋港というか名古屋港水族館の付近にもそれがあったはずだ。NAGOYAの子音だけが青い奴が。勿論ながらGは傾いている。Gを傾ける必要性は何だろう。考える意味もないか。

まあ。このNAGOYAって言うオブジェが一体幾つあるのかは分からないけど私の知っている二つのうち一つは駄目だと言うことはわかったのだ。名古屋港の方も無事ではないだろう。無事かどうかを知るのは名古屋を脱出してリモコンでTVをつけた時だろう。いや、そんなショボいニュースは無いか。スマホを見た時かな?今インターネットがないから見れないだけなのだけど。この大都会名古屋でインターネットが使えないのは何とも皮肉なことだ。

まぁNAGOYAのオブジェの話とか、いいこれはどうでもいいことだ。

とにかく、NAGOYAのオブジェ前に出たのはテレビ塔確認なのだ。正面からよく見るための。

でもここは正面じゃない。

通り過ごした。もっと手前の交差点。

でも戻る必要はない。この場は格段不都合はないはずだ。

通り過ごしたは間違いかな?栄に来たら、なんかNAGOYAのオブジェが見たくなってしまったのだ。そんだけ。

うん。これが時間の無駄だ。さっきからずっとそうだな。

もう名古屋脱出は明日になりそうだと明らかになって、脱出も昼飯も、もう諦めているからか?

それでもいいか。目的は果たさなくては。

ただ見るだけなのに。こんなに変なことで考えてるのだろうか。よし、その時間を取り戻すかのような濃密な時間にしよう。

テレビ塔を左から右、縦、横を観察する。

丁寧に。丁寧に。

そんなことしなくても明らかにおかしなことはある。

それでもちゃんと確認する。

両指で四角形を作るように。殆ど無意味であると言えるけど。

何故なら明らか…。傾いている。

見ればわかるご丁寧なくらい傾いている。

錦通大津で何故わからなかったかと言うとそっちとは逆向きに傾いていたからだ。見た感じ10度くらいかな?そして見た感じ4本の支えのうち1本が地盤沈下しただけのように見える。結構傾いてると思うが遠目からしたら誤差である。しかも逆方向なら分かりずらいだろう。でもバカでも正面切ってならわかる。ちょい強めの衝撃を与えたなら倒れそうで怖いくらいの傾きだと。

そして、私は普通でない。

普通ならば登らない。でも、登ると宣言はしていないが登ると決めていた。上から見てから計画を練るとか、おそらくは名古屋なんて一生来ないかもしれないから思い出として登っていこうとか呑気なこと考えてさ。10度も傾いた建物に入ろうとしている私。ここまでくると阿保とか馬鹿とか愚の骨頂とかでは片付けられないほどに常軌を逸しているだろう。

いや、でも昔私を虐めようとした奴ら(もうそれは虐めだったのだろう)がつけたあだ名「阿呆何故崩無」は全くの的外れではなく案外ど真ん中を突いてるのかもしれ無い。

そういえば私も感心していたんだった。

まぁいいさ。昔のこと。

適当に考えを終わらせて私はテレビ塔へと向かう。

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