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少女黙示録  作者: 狩川藍
03『自分のことは他人がよく知っている。だって世間は君を表面でしか見ていなく、それが全てだからだ』
20/43

『比愛病は知っていた』

003

何故?そんな「また?」などと言われてしまったのは理由がある。理由がなければただただ嫌味のようである。

長いけれども語るとしよう。

さっきから比愛病先生は私のことを「烏有己ちゃん」と呼んでいるだろうが、それは字の汚い(要らない情報である)父親の旧姓であるのだ。婿入りだ。これから話すことでわかるが父は婿入り主義者だ。

私が比愛病先生のもとで治療をしてもらう時の名字は烏有己の時であった。

即ち父親その時には結婚をしていなかったのだ。

そして結婚した。それから一月後に結婚をした。今から数えると5ヶ月前だ。それで名字が「烏有己」から「放何故」に変わった。当然のことである。

ただそれだけのことであるが、「また?」なんて言われているから複数回あると仮定するのが必要だ。それは正解である。

父親は結婚を七度し、離婚を六度した。

それと同時に私は名字を七度と変えさせられた。いや、結婚をしていない期間は旧姓「烏有己」であったから七度どころではない。

比愛病先生と出会ったのが多分1、2年前とかよくわかんないけどもその間にはおそらく四、五回は変わっている。今回含めてプラス一回。だから「また?」といったのだ。ここで「また?」と言った理由は終わったのだが、まぁちょっと続くので聞いて欲しい。

そんな父親であるが私が生まれたのは高校3年のときらしい。

私が高校3年で今日が誕生日で…。私の前の母はその時に産んだのか。

…。

察しである。

大事件である。そりゃそうだ。

それで相手方が責任を取る形で卒業と共に結婚。所謂できちゃった婚。その関係は一年も持たなかったと言う。

その時の私の苗字は「病宮(やみや)」だそうだ。

病宮崩無として誕生したのだそうだ。

つい最近までは、知らなかったが、当時の記憶は当然にないのだからしかたない。

知らない方が幸せだったのかもしれ無い。自分の生まれてきた理由が望まれるべくして生まれた訳ではなかったのだから。

私は生まれた瞬間から不幸だったと言っても過言ではない。

しかし、そんな気も感じさせる感じもなく私の父親は私を懸命に育て上げた。

人生が絶望の淵に立たされようが、自殺しなかったのは母のお陰であろう。日々感謝している。とても、心の底からとは言いにくい限りであるが。

その次に名字が「始裂(はじさ)」。これが一年くらい?

そのまた次が「幅為(はばな)」。これが半月だったと思う。

あと数人はいるが割愛させていただく。

まぁ全ての人に言えることはどの人も続いて無い。

だから私の名字は烏有己が一番長い。と言うことは、父親の独身歴が長いと言うことだ。心中お察しします。

病宮さんと比べては理由が違うが、人と結婚する才能がないのではないか?そう思えてくる。

病宮さん以外の人達は性格の不一致。これだった。

いつも相手方から誘いがあったと見ているのだが、結局相手方からフラれている。失望されている。

みててそう思う。まるで人間との付き合い方を知らない人みたいだった。本音や正論が多すぎる。気を使うことを知らないのだろうか。

「親しき仲にも礼儀あり」の様に「愛する人にも建前で」だと思う。

母の事例から私はこの教訓を得た。一生使うことないと思う。

そして、話は長く、脱線したかもしれないけど本筋に。

比愛病先生は私の母が再婚を果たしたのを察して、「嗚呼そう言うことね」と一言いってから皮肉100%で、

「それにしても名字がよく変わるね。何回変わった?京セラドームくらい名前変わってんじゃない?烏有己ちゃんの父はそれほど女に恵まれなかったのかしら。それと同じ血を引く貴方も運がないのかしら。冗談よ。」

と言っていても冗談でもきつい言葉を放った。

これが比愛病先生の皮肉屋な性格なのだ。いや、皮肉屋というよりただ単に多方面にヤジを飛ばしているだけなのかも。でもまぁ。先生と付き合うならば致し方ない。

が、しかし、「運がない」それについては響いた。

そこを言われると本当かも知れないと思ってくる。  

でも、納得したら、したでただの極悪非道な奴である。

だから相槌も言及もしない。場を流す。これが比愛病先生と話す際には一番重要になってくるだろうな。と。

「まぁもう名字は変わらないですけどね。」

と大分遠回しに父が死んだことを伝えた。重くならないように。出来るだけジョークっぽく。

あまりにも自虐ネタが過ぎるか。

元々そういうことを言う自分なんだろうとは思っていたけれどなんの抵抗もなく親の死をネタにする爆弾発言ができる物だ。多分私しかできない。かい被り過ぎですねこれは。

でもこの爆弾発言をスルーする比愛病先生も大概だ。

そうする以外の選択肢はないも同然か。

「で、どんな名字なの?名字によってこれからも変わらず烏有己ちゃんと呼んじゃうかもだけど。」

それはそれでいいけどもそうじゃあないだろう。

「放何故です。放出の放に何故何の何故で放何故です。」

と快く返す。

「ほう。放何故かぁ。放何故崩無かぁ。なんだか野比のび太みたいに語呂が良くて貴方の名前にあった名字でいいんじゃない。」

皮肉なのかそうでないか分からない返答だ。

そう言う会話を繰り返していくうちに感覚が麻痺してきた。

まぁ周りから浮くぐらいの人だし、毛嫌いされるほど一言発せば皮肉しか飛ばない人だ。

でも己を隠したりはしない。比愛病先生はありのままなのだ。それに比べて私はこの無感情『二分の一』は隠さないと不気味で人間ではなく宇宙人とか未知の生命体だと思われる。それくらいのレベル。

これは小学生低学年の時に気づいた。そこで気づいてよかったと思う。

急だがその時私のクラスでいじめが巻き起こりそうであった。言っとくけど未遂だよ。そうだったと言ったからね。標的はまさに私、放何故崩無。

男子どもに弄られ、ある一人の男子に「阿呆何故」と言われたのだ。

その時の私の対応はどうだったと思う?これがまぁドン引きされた。だって「お前天才ですか?意外とユーモアあるね。」と割と本気で答えていたのだ。

変な奴だとは思われたが、私がいじめの対象になることは無くなったのだった。

で今。語呂が野比のび太みたいだね。野比のび太という人物はクズな奴。馬鹿な奴。でも心はいいやつ。で国民的に定着している。心はいい奴はあれとして、他はマイナス要素なのだ。

新手の悪口だと思った方がいい。イメージ的にはそうだ。

確かにそうだなとは思ったけれども。

その関心はして無いが、正直な感想はいや、感想がないからそんなどうでもいい言動が出てくるのかな。

まぁいいさ。

でも当たり障りのない今のことを隠蔽する

「覚えやすい名前でしょう」とやや徴発的に言ってみた。

続けて

「比愛病先生。烏有己から変わった時覚えてくれませんでした。この語呂の良さで覚えてください。」

比愛病先生を刺す言葉を言う。あくまで恐らく感情的に。

実際心にきてるようだ。

「あっはい。分かったよ。分かったさ。」

と瀕死のような露骨な演技で返答した。

「ではそんな比愛病先生に聞きます。」

素朴な質問。

「良いですよ。なんでも答えてあげましょう。」

「あの。前の名字覚えてますか?」

「ぐはっぁ。」

追い討ちをかけたようだ。心臓当たりを抑えて瀕死の演技をしている。若干ながら上手いと感じる。

さっきまでの威勢はどこなのだ。

んー。と唸りながら数十秒たって

「烏有己でしょう。」

あっ。言葉の穴を潜り抜けた。

今の名字「放何故」の前は確かに「烏有己」だ。

間違えを言っていない。

問題が悪かった。それでも出題者の意図くらいは汲み取れるだろうに。

だが、その答えが聞きたいのはそれではない。だから

「その前です。裏をつかないでくださいよ。」

そう忠告と修正をする。

ここで話を終わらせない。

終わると、私の名前を覚えていない人みたいだ。

よく名字が変わるからすべて覚えている人は少数である。

が、しかし全く話していない訳ではないし、寧ろ仲は良好であったのだから、覚えるのが当然だと世間的には思うのだ。

「はいはい。分かったよ。数十秒も時間を割いて考えた言葉の穴はもう通らないさ。えっと。烏有己の一つ前でしょう。えっと。うん。覚えているさ。あれでしょう…。」

雲行きが怪しくなってきた。

覚えてなさそーな雰囲気だ。予想通りではあるが。

「うん。覚えてる。あれっ…。読み方。読み方。読み方なんだったけ?幅…。はあってるだろう。嗚呼。「はばため」「はばため」だ。あってる?」

あーあ。以前と同じ間違いをしてくれる。

「はばためでなくてはばな。はばなと読みます。覚えてほしかったです。覚える必要もないけれども。」

苦笑いのふりをする。

「まぁでも元母の名字だもんね。覚えられていたでいたでなんか変な気分になるし、覚えていなかったら自己嫌悪に陥ってしまうもんね。結局どっちなんだろうか人間は。選択肢があるようで一つのルートに終結してるじゃないですか。これじゃあ面白くないですよねぇ。選択系RPGゲームの崩壊だ。」

妙な質問だ。

「さぁ。分からないけど結局私の名字です。ただ呼ばれる時にだけ言われる言葉。でももう使わないなら忘れるだけてます。」

率直な意見。

「じゃあね、話は少し変わるけど烏有己ちゃんは…。じゃなくて放何故ちゃんは両親のことどう思っていたのかな?」

「あー。ただの人ですね。あっ違う。」

咄嗟に口を手で隠す。

あれ?何故だろう何故今更本音で話してしまったんだ。

私の感情の作り方はトップクラスだと自負しているのに。

「はははははは。」急に笑い出す比愛病先生。

「…。????」訳が分からなくて混乱する演技をする私。

「いやぁ。やっと本音。本質で話してくれましたねえ。さっきまでは滑稽、滑稽で。笑うとこだったよう。」

涙を出して笑っている。人を馬鹿にする笑いだ。

それをやめると

「放何故ちゃんはそうやって世渡りをしてきたのかい?」

そう威圧をかけて聞いてくる。

「ん。」

疑問の声を出す。

「だから、そうやって無感情な放何故ちゃんを隠すために思わないこと言って、思わない表情作ってやっているのか?だよ。それを聞いているの。」

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