『放何故崩無は不自然にも生きている』
002
何が起きたかわからない。
彼女の状況を語るにはそれで十分であった。
突然も突然、本当にビルが倒壊というのも怪しいくらい倒壊し、光に包まれ全生物が消えた。
そら混乱する。感情が二分の一程度であるが。
本当にぶっ壊れている奴、狂者以外なら全員混乱する。
彼女も十分にぶっ壊れているし、狂者であるのだが、感情が二分の一以外は普通の女子高生。
その人間らしさの半分が全開放で叫んでいる。
半分混乱、半分冷静。そんな感じ。
なんてカオスで混沌であるんだ。
それでいてその場にうずくまって鬱になって涙を流し、自害をするなんて事はない。
天変地異があってもない。
残念ながらない。そんな人間はない事を事前に書いたのを徒労にする気か?執拗以上に言っているが。
混乱したのも束の間。大体10秒も経たないくらい。
最もそんなのは普通ではないのは承知済みとして、もっと混乱に混乱を重ねて泣き叫んだ方がよっぽどいい。気味が悪くない。
そう勧めるのも可笑しな話である。でもそう勧めないと、人目のある所、社会に出たら適合出来るなんて夢のまた夢になる。所謂社会不適合者という奴になる。
だが、今はそんなに気にする必要もない。社会を気にするよりも生き残る事が最優先される。そして、社会事態が周辺に存在しない。消滅した。
これは彼女にとって朗報になる。
何故かというと、彼女は学校でも、自宅でも、何処でも、いつでも自分を演じ続けなければいけない。正しく道化。
自分なんて曝け出した暁には社会から排除されかねない。いや、これはもうサイコパスと言われる存在だ。もっと酷いかもしれない。
と、そんな具合に自分が作り出す「良い人」と言う分からないものを演じる。
分からないものを演じているせいか負担も大きい。
それを毎日毎日一時も欠かさずやってきた。
だから急に街が破壊され、全生物が消滅したことはいたたまれないが(そんな事は一切思っていないが、まぁこう公言しとけば良いだろう)この道化を演じる事からの解放のせいで頬が緩んだ思いになっただろう?
声には出さないが歓喜だったことだろう。
でも、やっぱり感情が二分の一のせいで思えないのだ。
人目があったなら余計にそうは思えなかっただろう。
心の中なんて見られる筈もないのに引かれないように感情を極限まで殺す。こんな事考えないように抹消したであろう。
まぁ結局の所は元々あった自分の本心なのだろう。
この「自分が人目に出しても不自然のないように演じる事からの解放」と言うものは私個人の第二の願望であったのだが、(第一は不幸体質の脱却。これを解決すれば私の問題は殆ど解決できる。)もう叶ったことに気がついた。
周りの人間を消すことで。
産んでくれた両親に、完璧な言言言言乃波、屑でカスな奴張子碧南、特にいうことない教師、関わりもない有象無象の名古屋市民230万人。その全てを。
結局、願いの叶われ方も代償がデカ過ぎて不幸のままだ。
嫌なことに。
そんな嘆きもし無い不幸に浸る前に思い出した。
「あっ」と声を出すくらい重要なことを。
ふとだ。ふと思い出した。
何故こんなに重要も重要、超重要、人類皆、誰でも知っている情報。
テレビ、ラジオ、新聞、ネット、メディアの全てが半永久的に垂れ流している情報。
あの人類が究極的に恐れる災害。
「円死光」を。
なんで忘れていたのかというとあまり関心がなかったのだろう。テレビなどのメディアを見ているうちはそうで良かったのだが、一番最初に思い至っても可笑しくなかった。
思い至らなかったのは矢張り感情が二分の一であったからであろう。(もう、感情が二分の一とか表記するのが面倒なので『二分の一』で良いでしょうか。良いですよね。はい。有難う御座います。)一番最初は混乱していたので仕方ないにしても、冷静さの部分が混乱した行動をとったのを修正しようとしたのか?う〜ん。あんまり分からない。『二分の一』が原因である事はわかるのだが、理由がわからない。自分のことなのに。
まぁ考えても仕方ない。
まずはあれだ。「円死光」のことだ。
ニュースは右から左に流していたので余り記憶にないが、覚えている範囲でいこう。
えっと。円を描くように光を放ち、生物は消滅し、建造物は半壊するそうだ。殆ど文字通りなのは覚えている。そして余り有益な情報がない事も知っている。うる覚えながら。
それから、世界中に猛威を振るい世界人口の12%を削ったと。これは(他人事ながらも)少しは実感している。
被害にあったインドや中国などの街をテレビで視聴したことがある。それはそれは物凄かった。酷い有様だった。
本当…。今いる状況みたいだった。
状況が酷似している。
周りの建物なんか半壊しているのだ。
だからそうとしか言えない。戦争だとしたら全生物消滅などあり得ない。
円を描いているのかどうかというのは怪しいし、分かる術も今は持ち合わせていない。でもそんなのはどうでも良い。
円死光の光は一致をしているし、先程も語った建造物の半壊、全生物の消滅などの現象もそうだ。
という情報から「円死光」である事は判断できる。
判断できるのだが…。唯一無二の疑問点が一つある。
本当にさっぱり分からない。
どういうことかというと、何故、今、現在、私放何故崩無は生きているのか?
何故、何事もなかったように心臓を動かし、息を吸って吐いてという生命活動を続けていられるのか?
不思議というか事件である。
全生物が消滅するとニュースで公言されていたのに私は生きている?
政府や専門機関の発表では「円死光」から逃れ生存した生物は確認されていない。
ムシケラ一つ。
致死率100%。
それが今覆ってしまった。意味のわからない『二分の一』な少女に。
つまり致死率99.9999‥%になってしまったわけだ。
限りなく100%に近いがそうではない数字。
外部にとっては希望でしかない。
11億3,000万420人が死亡して1人、奇跡的に生き残ってくれたのだ。
人類的に関して言えば本当にあるかないか分からないぐらいの千載一遇の機械である。そして、崩無にしてみても、生き残ったという事実に関しては同様なことが言える。
だが、未来を据えて一言申し上げるのであればここで死んだほうが放何故崩無に関してはよかっただろう。その場合は大人しく人類は滅亡ルートを辿って貰うしかない。
今の世界ルートで行っても十分に泥沼展開は避けようがないものだ。
でも彼女は何も知らないのだし、何も分からない。ただ単に自分が生き残ったことを適当に、良い加減に、建前だけで感謝ぐらいしかできなかった。生き残れたことを幸せだろうと、そう勘違いした。
今、生きている時点で不幸ルートが確定した。もういつものことだ。
放何故崩無の人生は上手くいった試しがない。上手くいけば恐ろしいし、巨大な不幸の前触れだと思う。実際そうであったのだから…。
で、そろそろ自分に覆い被さっている瓦礫を退ける方が良いと思うが、ここまで気にしなかったと言うのは衝撃的である。
そして、瓦礫に覆われながらこうやって考え事をしていたというのだから大分滑稽である。
笑える。
まぁ状況的に笑える筈がないんだけれど。
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