『始まりとは終わりの始まりでもある』
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問1貴方の身の回りの生活環境、モノ、人、街全てが失われたらどうしますか?
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ビルが崩壊した。
前触れもなく崩壊した。
もし、人間が壊すとなると爆弾で強引に壊すか、人を集めて順にビルを解体するかぐらいがすぐに思い当たる。それ以外は正直言って思い当たらないといってもいい。
実際どちらが多く行われているのかと言うと後者であると言える。
爆破解体なんて日本国内で最後に行われたのは、1992年の滋賀県大津市に存在した木の岡レイクサイドビルであると言う。通称幽霊ビルとも呼ばれており結構名のある心霊スッポトだったらしい。
それ以来日本で30年も行われてはいない。
そりゃあ爆破解体は安く済むかもしれないが、安全性には欠けてしまう。この平和な日本で安全性に欠ける解体があるのならインターネット上で総叩きにあうのは目に見える。
だから解体するほうが多い。当たり前である。
でも今、現在は違う。
ビルは崩壊したのだ。地震のような災害が起こった訳でも9.11事件(アメリカ同時多発テロ)の時のようなテロ攻撃にあった訳でもないだろう。
断言できる。あり得ない話だが爆破解体なんてものは行われてはいない。
何故そんなことが言えるかというと、何かがビルを倒す際に発生する音がなかった。
地震なら初期微動とかがあるし、テロリストなら警察沙汰になっていなけば可笑しいし、爆破解体の爆破音すらも聞こえなかった。本当に突拍子もなくビルが崩壊した。
その後の出来事は早かった。
ビルが倒壊し瓦礫が地面に落下したことを皮切りに、ビル一階の中央部が輝き出した。
それはそれは見るからに神々しく強烈な光が街を襲う。
この街の全機能が復旧不可能なまでに半壊してしまった。
ビルが倒壊してから街が半壊するまでに掛かった時間は僅か18.2秒程でしかない。
この驚異的なまでの短時間で街を地獄へと引きずり落とした災害。
考えるだけで恐ろしくなる。
だがしかしこれは現地での観測である。
この災害の被災地の外。ここでは外部とよぼうか。
その外部から被災地下とこしたところ、「ただただ強烈に眩しい光が観測出来たが、我々が気が付いた時には街とは連絡が途絶えた。」くらいしか分かっていない。
被災地にあった防犯カメラや通信モニターは瞬時に機能が停止され、その上外部から撮影されたカメラなどにもなにも見当たらなかったという。光さえも。
その光が放たれた瞬間、全ての光と言えるものを捉えていたであろう機械には真っ白な一枚の写真になっていたのだ。
それは光の白にも、白と呼称される色の絵具を塗りに塗たっくた白にも見え、それが光のものであったのかはわからず、お手上げ状態なのだ。
そしてここからが重要である。
肝心な被災者が存在しないのだ。
でも、街に居合わせた全員が被害者ではあるのは間違ってはいない。
ではどういうことか。
ビルが倒壊した地点から半径およそ12キロ圏内にも及ぶ範囲にいた人間、虫、猫、魚、生物であるなら隈なく全てが被災者となり、死に絶えた。
灰になって消えた。本来の造形もわからぬ程に無茶苦茶に。
だから情報が一切外部には入らない。
入ってしまったら最後死に絶えるしかない。
そんな状況。
そんな状況が約5年も経つと言うのに外部には情報がたったの4つしかないのだ。
4つもあれば上出来かもしれないが、まぁ読んでから判断を下してくれ。
一つ災害は光であり破壊力は核兵器何発分もある。
二つ爆心地を中心に円状。大きいもので半径100キロ。小さいもので半径5.2キロ。
三つ地下であっても起きてしまったならば死を待つのみ。
四つ生物(植物は対象外)は灰になってその後灰も残さずに消えてしまう。致死率100%。
とこんな感じである。
この災害に世界が総力を挙げて挑んでもこの現状。何の対策も採れない情報しかない。
見るからに諦めてくださいと言っていてもおかしくない。
だから、迅速に新たな情報を手に入れないと人類的に、いや生物的にまずい状態になるのは明らかである。最悪地球上には植物くらいしかいない状態になる。
そんな一大事が世界各地で起こっており、皆いつ死んでもおかしくないのだ。
残念ながらに。
その残念なことが起こってしまった都市を挙げるとすると、2017年に最初の被災地アメリカシカゴで約270万人が死に絶え地図から消えた。しかし、シカゴだけでは収まらず今に至るまで7000万人もの死者を出した。そして世界ではドイツフランクフルト他死者1370万人。インドネシア、ジャカルタなど2100万人以上が死亡。韓国ソウル都市圏900万人。ロシア2300万人。中国上海と他5都市合計1.6億人。インド1.8億人。あとの詳細は膨大であるため省略する。
人類合計で驚異で脅威のおよそ11億人である。ここ5年で中国一つ分消滅したことになる。
現在の世界人口は68億981万9580人でその災害が起こる5年前の79億3982万人より12%もの人口減少が起こっているのだ。
本当にこの人類は成す術もなく絶滅ルートだ。このままのルートだと35年くらいで絶滅するだろう。
それもこれも原因不明の光のせいである。
呼称なんてどうでもいいかもしれないが、英語圏では「デーモンフラッシュ」とか言われて、あるものは「神の裁き」だとか言って神格化した宗教団体まである。日本では何のひねりもなく円状に光が襲い死に至らせるということで、「円死光」と名づけられた。
で、現状では円死光に対応できる力はない。
だがしかし、この最悪の状態に、ある少女、救世主様登場で人類に一刺しの希望が見えることになる。
それは幸か不幸かは分かりかねるが着実に前に進むことになる。
でもまぁ一人の少女に人類規模の救世主とは聊か凄い重荷でただただ不幸な出来事に過ぎないのかもしれない。
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