残酷
私達の前でありえない出来事が起きた。
信じたくない、信じられない。
こんなのことって無いよ。
どうして、なんで、ヒナが....
「嘘、だよね?」
私はヒナだった人物に問いかける。
「嘘じゃないわ。アタシは正真正銘【破滅の魔女ルイナ】」
艷やかに笑う魔女は私を見据える。
「お父さんはこのこと....」
「ええ、知ってるわ」
「お父さんを殺したのは口封じのため?」
「それもあるし、向こうが対抗心バリバリだったのもあるわ」
「....」
「嘘ですよ、ありえないです!」
カイが剣を構えたまま震える。
息も荒い。
「ちっ、元仲間じゃやりにくいじゃねぇか」
リツも端切れが悪そうに顔を顰める。
この状況で冷静でいたのはリナだけだった。
「相手は誰であれ家族を殺したのには違い無いわ!」
リナは勢い良くルイナに振りかかる。
「甘い刃ね」
ルイナは人差し指と中指の間でリナの剣を受け止める。
「そんなんじゃ、私には到底及ばない!」
ルイナは綺麗な回し蹴りを披露し、リナを宙に浮かせる。
「がっはっ?!」
威力が強かったのかリナは宙で吐血する。
「さぁ、次は料理の時間よ!」
ルイナは剣を握った。
あの時と同じだ....10年前のあの時と、それはまるで殺意に満ちた握り....
「ふふっ!」
ルイナがリナの元へ急接近する。
「!!」
「ウィンドカッター!!」
私は間一髪で魔法を撃ち込み、ルイナの攻撃を阻止する。
「ちっ」
リナは地面に着地して態勢を整えるがダメージが大きいのか汗が尋常じゃない程出ている。
「カイ!」
私はカイにリナの援護に回ってもらう。
「リナさん、今、治療します!」
「ええ、ありがとう」
「自然よ我が呼び声にお答え下さい、ヒール!」
スゥとリナの傷が癒えていく。
「ふぅ....」
「立てますか?」
「ええ、なんとか....」
「おい、リナ、今は休め」
「兄さん....」
次はリツがルイナに斬りかかる。
「おい、魔女」
「何?」
「テメェだけは許せねぇよ。俺達も騙したってことだろ?ちとやり難いけどよ。お前を倒さなきゃなんねぇんだ!」
リツは勢い良く剣を振り、その後も連撃を繰り出す。
しかし、魔女の前では何も出来ない。リツの体力が消耗されるだけだ。
「力任せに振るっているようじゃ、私には届かないわ」
ルイナが魔法を撃つ。
あれは破滅の呪縛?!
「リツ、避けて!!!」
リツは咄嗟に体を反らすが剣を持っていた右手に直撃した。
「ぐぁぁぁぁぁぁっ!ああっぐぅぐっっ」
リツの右腕から指先まではもぎ取られていた。
「うっ」
カイが口を押さえている。
それほど酷なのだ。肩の骨がしっかりと見えているのだから。
「はぁっはぁっ」
リツはもう戦えない。魔法を使おうとすれば気絶するだろう。片腕が無いということは魔力も減ったも同然だ。
「くそっ!」
リツは左手で地面を叩く。
「使えない戦士はもう用済みね」
ルイナは炎の玉をリツに目がけて放つ。
「兄さん!」
それをリナが弾き、剣に魔法を付与し対抗するもルイナは払い再度魔法を放つ。
「リツ、リナ!」
二人を包む煙消えるとリツはリナを庇い倒れていた。
「リツ!」
私はリツに駆け寄る。
良かった、息はある。気絶してるだけだ。
「ねぇ、ナル」
ルイナは私の名前を呼ぶ。
「何?」
「本気で殺り合おうよ」
「でも」
「....」
もし、ヒナじゃ無ければ全力で殺しにかかってたのに....
私は紫のオーラを少し放つ。
「!」
カイがそれに気付き私に声をかける。
「ダメです!ナル、それは、暗黒の転生者は!」
分かってる。分かってるよカイ。
でも、この力に頼らなきゃヒナをルイナを倒せないんだ。
「ナル!やめて!」
リナも私に話しかけるが私は無視をしてそのままスキル発動に取り掛かる。
「ふふ、面白い」
ルイナは私を見て笑った。
「すみません、ナル!」
「ぶへぇ!?」
私は吹き飛んだ。
カイが私を思いっ切り殴った。
なんて、暴力解決。だが、少し遅かった。
「今のはいいよ、いい攻撃だよ!」
「遅かった....」
「さあ、もうなんでもいいから始めようよ。破滅の魔女さん」




