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意地

ハルは魔女と戦う為に町を出た。いつ、どこに現れるかは分からない。だからこそ町を転々と旅するのだ。


今、受けているクエストは"魔女の討伐"。


「しかし、驚いたな」


ハルなナルとの戦いを思い返していた。勇敢なる転生者ブレイブレナトゥス


これは、転生者のみが稀に発動するスキル。まさか自分の娘が転生者だったなんて夢にも思わなかっただろう。


暫く歩き続けると日は沈み辺りが暗くなってきた。


「今夜はここで野宿か....」


この辺で野宿しても死んだりはしない。低級モンスターのスライムやラムットしか出てこない。


しかし、日が沈み切ると不穏な風がハルの頬を撫でた。


これは、殺気....


ギンッと剣の弾く音が鳴り響く。


ハルは何者かの剣を受け止めた。


「随分と早いお出ましだね。破滅の魔女、ルイナ」


ハルの目の前にはマゼンタレッドの瞳にバイオレットの髪を靡かせた人物がいた。


「あら、アタシのことを知ってるのね」


「勿論さ」


艷やかな笑みを浮かべるルイナの瞳は笑っていなかった。


「一つ聞いてもいいかい?」


「ええ」


「ルイナ、キミの目的はなんだ?」


「アタシ?」


ふふっと手を口に当て小さく笑う。


「世界の破滅よ」


「なるほど」


「あなたは?」


「僕?僕は」


ハルは剣を強く握り攻撃を仕掛ける。


「お前の討伐だ!!」


ブンッと剣を振るう。


「いい剣ね、あなたならアタシを少し楽しませてくれそうね」


「殺し合いを楽しむなんてイカれているな」


ルイナは微笑み、ハルは激怒する。


「そういえば大会はどうなったのかしら?」


「大会?冒険者大会のことか!」


「そうよ、ミズキっていう参加者が死んだ筈よ?」


「お前がっ、殺したのか!!」


怒りの一撃をルイナに当てる。

しかし、ルイナは顔色変えずそれを受けた。


「そうよ、弱かったわ」 


ルイナは魔法を放つ。

それをハルが交わす。


「くっ」


あの魔法をもろに喰らえば致命傷どころでは無い。


「ねぇ、いいこと教えてあげる」


ハルは警戒の眼差しを送りつつルイナの言葉を待つ。


「アタシ、三つのスキルを持っているの」


ステータスカードを取り出しハルに見せる。


「なんで、お前が....」


ステータスカードとは冒険者を示すパスポートのようなものだ。それを何故、魔女である彼女が持っているのか?


答えは簡単だ....彼女は冒険者として何処かに潜んでいる。


「スキルの欄をよく見て」


そう言ってルイナはハルにステータスカードを投げる。


「!!」


ハルは目を疑った。


スキル:変身ビレッタ破滅の呪縛(ルイン・カース)複製コピー


破滅の呪縛....これをかけられるとどうなるのか....考えたダケでも悍しい....


「そうらアナタがさっき交わしたのは破滅の呪縛」


「っ!」


ハルは無言でステータスカードを投げ返す。


「でも、思ったの。まだ呪縛をかけるには早すぎるってね」


「僕は簡単に殺られない!」


剣を構え走り出す。


「単調ね」


しかし、ルイナの前からフッと姿を消した。


「へぇ、面白いじゃない」


ハルのスキルは....

空間移動スパティウム・ムーヴ


「火山よ我が呼び声に応えよ!フレイムボール!」


突如上から放たれる火の玉。

それをルイナは容易く弾く。


「空間移動には驚いたわ」


何もない空間にルイナの声が響く。

「はぁ」と溜息をつく。


「かくれんぼは面倒よ?」


ブンッとルイナは剣を薙ぎ払う。

どこからか「ぐああああっ」と悲痛な声が聞こえた。


傷が所々にきざまれたハルが姿を表す。


「致命傷を避けたのね」


「そうかんに殺られないと言っただろう?」


「言ったわね、だから嬉しいわ」


「僕は最悪だけどね」


「何があなたをそこまで奮い立たせるの?」


「ちょっとした意地だよ」


ハルは少し鼻で笑ってみせる。


「ふーん、意地ねぇ」


「僕には娘がいる、【ナル】って言ってな」


「知ってるわ」


ハルは構わず話を続ける。


「ナルはな、僕より優秀でね。無詠唱だし特別だ。けど、少し頑固な所がある」


「人は頑固なものよ」


「お前が人を語るな」


「....」


「それにナルは15歳だ、ワガママも言いたい年頃だ。正直冒険者になりたいって言った時は迷ったけどアイツがなりたいなら僕はナルを応援するよ」


「もう長話は終わったかしら?」


「ああ、破滅の魔女のクセに長話によく付き合ってくれたな」


「ちょっと、理由があってね」


ルイナは少し儚げな表情を浮かべる。


「そうか、聞いてもいいか?」


「ちゃんと墓まで持って行って貰うわ」


ルイナは口を開いた。


「私は....」


少し長い話だった。

ハルは目を丸くした。


「でも、だからと言って手加減はしない!」


傷だらけの体でハルは剣を振り、魔法を解き放った。


ルイナもハルの剣を受け流し魔法を交わした。


「最終兵器だ」 


ハルは姿を消す。

ルイナは剣を薙ぎ払う。しかし、ハルの姿は現れなかった。


「?」


「神よ....私の呼び声にお答え下さい....」


どこからかハルの声が響く。


「これはっ」


ここで初めてルイナの顔色が変わる。


「そして光の加護を私にお授け下さい」


「どこに?どこにいるの?」


ハルが詠唱を唱え終わるのとルイナがハルを見つけるのはほぼ同時だった。


ポタポタと血が滴り落ちる。


「ゲホッ」


一人の人物からは血が吐き出される。意識は朦朧としていて剣を握る手には力が一切入らない。


「楽しかった....」


ポツリ呟きその人物から離れ一人残った人物は倒れる。


血の海が周りに広がりやがて何も聴こえなくなり人物の瞳からは光が消えた。


光が消える前、最後に人物は渇き切った声で「ナル....」と呟いた。

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