強くなるんです!
私とヒナはカイと出会い、冒険をすることにした。
そして只今、カイと修行中....
「くぅ〜っ」
カイは尻もちをつき声を上げている。
「最初は皆、上手く扱えないよ。ゆっくり覚えていこう?」
私が手をスッと差し出すとカイはその手を引っ張って私の体制を崩させる。
これ、弱い人がよくやるやつだ。どうせ、不意打ちってやつでしょ?
私は剣を後ろで振りかぶってるカイに蹴りを入れてやる。
「がふっ?!」
カイは悲痛な声をあげてバタリと倒れてた。
それを見ていたヒナが「ぷっ」と吹いていた。
「ナルさん、強すぎです....」
「いや〜、カイがちょっと弱すぎるんだと思うよ」
と言うとカイはショックを受け顔がハニワになった。
ごめん、デリカシーがなかった。
「ちょっと、休憩しよっか?」
私はハニワ状態のカイに声をかける。ピクリともしない。干からびた?
「ウォーターボール」
私はカイに水をぶっかける。
カイは「はっ!」と声をあげて元に戻った。
「いえ、もう少しだけ!」
カイは立ち上がり剣を構える。
構え方は悪くないんだよね。
「じゃあ、カイ。私に攻撃を当てるんじゃなくて私の剣を交わしてみて?」
「え?」
「いい?よく見て交わすんだよ?」
私は猛スピードでカイの前に現れる。
「はっや?!」
カイはそのまま後ろに反って私の右への一撃目を交わす。
「それじゃ、次!」
私はニ撃目を縦にを振る。
カイは左へ交わす。
「背を向けたら危険だよ?」
私は三撃目を左手に剣を持ち替えて左に振る。
「おお」
カイは剣で私の剣を受け止めた。
が私は構わずカイの剣を自分の剣で押し込み体制を崩させる。
「うっわ?!」
ビッと私は剣をカイの喉元に差し出す。
「カイの負け」
「相変わらずの剣捌きね」
ヒナが苦笑いする。
「カイ、よく見てとは言ったけど見すぎ。相手の動きをよく見てどこに来るか予測して交わすの!」
「それはナルにしかできない技よ」
ヒナは蹴りを入れてきたので受け止めた。
「カイ、次は魔法を覚えようか?」
「はいっ!」
「何魔法からがいい?」
「えと、風と炎は使えます」
ある程度の魔法は使えるんだ、そこは冒険者になっただけあるね。
「じゃあ、剣に付与できるのも知ってる?」
「あ、はい。上手くできなくて諦めましたけど」
「じゃあ、付与するとことからだね」
「はい!」
「風か炎、どっち付与する?」
カイはうーんと考えて
「じゃあ、炎ので!」
「おっけー!それじゃあ、まずお手本見せるね!」
「ちょっと待って」
ヒナが私を止める。
「どうしたの?」
「ナル、無詠唱でしょ?」
「そ、そういえば!僕にウォーターボール撃った時、無詠唱でした!」
「カイは無詠唱じゃないもの、だなら魔法は私に任せて」
「えー」
「文句言わない、カイの為よ」
「じゃあ、私、獲物狩ってくるね」
「分かりました!」「分かったわ」
今日は野宿にしようと思っている。街を出たばかりでそんなにお金を持っていない。親から貰ったお金があるけどこれはいざという時に使うことにしている。
「うーん、この辺。ラムットばかりだなぁ」
今日はラムットの肉焼きパーティかな?
私はラムットを狩るのに夢中で忍び寄る気配に気付くのが遅れた。
キンッと剣が交わる音が森に響く。
遅れたせいで私の頬にツーと血が流れる。
「ほう、これを止めるのか....」
現れたのは背の高い20代後半くらいの男性だ。
「........」
この人、間違いなく強い....
多分、お父さんよりも....
「あなたは?」
「俺か?」
男はフッと笑い私の剣と自分の剣を離した。
「俺は【リツ】だ。貴様は?」
「私は【ナル・ブライト】」
「ナルか、お前は家族が好きか?愛してるか?」
リツと名乗る男は質問を投げる。
「いきなり、何を?」
「家族が好きか?と聞いている。答えろ」
「勿論、好きよ」
「ははははっ!そうか、そうか!俺も好きだぞ?家族....」
そう語るリツの目は少し悲しそうだ。
「本当に?」
「ああ、本当さ。俺の俺のたった一人の....妹....」
「妹?親は?」
「親なぁ、親はなぁ!」
「っ!!」
もの凄い力で剣を私に叩き付ける。
「親父とおふくろは魔女に殺されたよ!俺と妹の【リナ】を庇って!」
「魔女は、もう完全に力を?」
私はリツの剣を弾き返し反撃を入れる。
「っ!魔女は完全に力を取り戻さなくても人の一人や二人、手にかけることができる!」
「......」
それは大変だ....
「あなた、私を襲っている目的は?」
私はリツに質問を投げる。
「目的?ああ、それはなぁ!」
キィィィィンと私の剣を宙に弾いたリツは私の喉元に剣先を向ける。
「俺の目的は"妹の平和"だ」
「へぇ」
「その為に冒険者を殺してる」
「どういうこと?」
「妹は冒険者になって魔女を討伐すると言って家を出て行った....だから俺は冒険者を殺して冒険者は危ないと妹に分からせる」
「でも、アナタは私を殺せない」
「そうだ....貴様、何をした?」
そう、リツの剣先は私の喉元にきている。だが、トドメは入れれない。
それは何故か?
私はラムットを狩るため罠を仕掛けていた。いちいちあちこち探すのは面倒だったから。
罠と言っても安易なものだ。
大地魔法というものがあり、地面からツルを生やすことができる。
それを踏むとツルに絡まれるのだ。
因みに作った本人には作動しません!
「なんだ、殺さないのか?」
「殺さないよ」
私とリツはジッとお互いを見つめる。
「今、ここで殺さないとまた襲われるぞ?」
「うん、そうかもね」
「何故、余裕そうなんだ?」
「ん?余裕そうに見えるの?」
「ああ、ムカつくほどにな」
「まあ、多分だけどリツ、本当に私を殺す気ある?」
「何?」
だって、剣には魔法が付与できるし、魔法も使えるはずだ。
あの距離から魔法を撃っていれば私を簡単に殺せた。
「リツ、本当はまだ、一人も殺してないでしょ?」
「....」
それは最初から分かっていた。
"お前は家族を愛しているか?"と聞いてきた。
リツは家族を奪われた身だ。
他人の家族の命を奪えるはずがない。
「まぁ、きっとまたどこかで会えるよ。私とアナタは遠くない内に....次は仲間として出迎えるからね!」
私はその場を後にして罠にかかっているラムットを持ち帰った。
「ただいま〜」
「おかえりなさい!ナルさん!」
「この子、かなり上達したわよ」
「へぇ、ご飯食べ終わったら一戦交えようか!」
「はい!」




