冒険者とは何か?
今日、学園では"冒険者"について勉強するらしい。
私のお父さんが先生だ。
「おはよう、ヒナ」
私は前を歩いていたヒナを見つけ挨拶をする。
「おはよう、ナル。今日は冒険者についての授業ね」
「そうだね、私のお父さんが先生なんだ〜」
「へぇ、ナルのパパね」
私とヒナは話をしながら学園へ向かった。学園についたらお父さんはもう既に居た。
「あ、お父さん」
「よぉ。ナル!」
お父さんが笑顔で手を振ってきたので私も振り返す。
「よぉし、みんな!集まったな!おはよう!」
お父さんが挨拶をすると生徒も「おはようございます!」と元気に挨拶をする。
「僕は今日、先生をする。【ハル・ブライト】です!冒険者について皆に話をするよ」
お父さんは持ってきていたカバンから資料を取り出し私達に配った。
「と言っても、冒険者以外にもお金やモンスターについても話すよ」
お父さんは一枚目の資料を手に取って説明を始める。
「まず、君たち生徒は15歳までメーティス学園に滞在するね。その後はどうするか知っているかい?」
「はい!」と私の後ろの席の男の子が手を挙げる。
「冒険者になるか普通に店で働くかを決めます!」
「うん、よく分かってるね。どちらを選ぶかは君たちの自由だよ。ただ、冒険者には二つ種類があってね」
「え、クエスト受けるだけじゃないんですか?」
「うん、主にそちらを選ぶ冒険者が多いね。でも、実は冒険者には"クエスト"を受けてお金を稼ぐか"旅"をしていろんな町へ行ってお金を稼いで宿に泊まってまた旅に出るかの二つなんだ」
へぇ、そうなんだ初めて知った。
「僕は妻も娘もいるからクエストの方だけどね」
お父さんは「あはは」と言って苦笑を漏らす。
「ただね」
お父さんは真面目な声と顔で説明を続けた。
「冒険者は"死"と隣り合わせだ。特に旅の方は確率がより上がる。それは何故か?」
「モンスターがいるから」
ヒナが質問に答える。
「そうだ、森の奥や町に行く途中の道にはモンスターが沢山いる。最も注意しなくちゃいけないのは上級モンスターの"ドラン"」
ドラン....ドランには様々な属性がいる。本でしか見たことがないけど、見た目は凄く怖そうだった。
「ドランとは翼が生えていて爪は人なんてすぐに八つ裂きにしてしまうぐらい長い。このモンスターに対面して命を落とした冒険者も沢山いる」
「....」
私達は黙り込んでしまう。
考えたくはないけれど、私のお父さんもいつかモンスターに殺られてしまうのだろうか?
「だから、冒険者になるかはよく考えることだよ」
お父さんはニッコリと笑って一枚目の資料を捲って二枚目に目を落とす。
「次はお金についてだ」
お父さんはカバンから数枚のお金を出す。
「このお金は一枚いくらか知っているかい?」
「2リーブラ!」
2リーブラはパンが一枚買えるぐらいの価値がある。えーっと、確かこの世界のパンは全店舗一緒だから200円かな?
「そう、一枚2リーブラだね、僕が説明できるのはこれくらいかな?」
説明を終えたお父さんは資料をカバンに仕舞い帰り支度をしていると....
「おじさんって強いの?」
一人の男の子がお父さんに質問をした。
「一応、冒険者だからね。それなりには強いと思うよ?」
「ホント?」
「うん、ホントだ」
男の子は疑いの目でお父さんを見つめる。
「じゃあさ、おじさんの娘と戦ってよ!」
男の子は私を指差して戦えと言った。
え。
「ナルと?」
つい、こないだ負けた所なんだけどなぁ。お父さん強いんだよね。
「ナル、戦える?」
「前、負けた所なんだけど?」
「"前"だろ?修行して少しは強くなったかもしれないよ?」
「そう言うんなら....」
私は席を立ってお父さんと外へ出る。
「相手から一本取った方の勝ちね」
「おーけー!」
「ヒナ、審判お願いできる?」
「うん、分かった」
私とお父さんは剣を構える。
「いつもの感じでよろしく」
ヒナの合図で私とお父さんの戦いが始まる。
「フレイムボール!!」
ゴォっと炎の球がお父さんを襲う。
続けて私は攻撃を入れ込む。
「っ!」
お父さんは私の攻撃を見切り右へヒラリと交わし私の剣を握っている右腕を握る。
引くか?回すか?
私はお父さんが引くと判断し右手から剣を離し左手で剣を掴む。
「はぁ?!」
お父さんは私が剣を持ち替えた時には私の腕を引っ張っていた。
「ふっ!」
私は剣を振りかぶる。
「っ!!」
お父さんはしゃがんで私の剣を交わす。すかさず私は空いた右手でお父さんを目掛け魔法を撃ち込む。
「ウォーターボール!」
お父さんはしゃがんだまま地面を蹴って後退する。
「いやぁ、前戦った時より強くなったなぁ」
「ありがとう」
違う、お父さんはまだ、手加減をしている。強くなったという言葉が本当でもお父さんはまだ、本気じゃない。私はこの人に勝ちたい!
「はぁっ!」
私は剣をお父さん目掛けて思いっ切り投げる。
「ん?勝負放棄か?」
お父さんは剣を左手で受け止める。
「!」
前を向くと娘の姿は無い。
「消えた?」
お父さんは辺りを見渡す。が、娘の姿は無い。
「....いや、上か!」
私はお父さんから離れた上空で両手を構えた。
「両手なら威力は二倍!ウィンド....」
「考えたね。けど、空よ我が呼び声に応えよ!」
「こ、これは!」
何かに気付いたヒナはシールド魔法を使った。
「カッター!!」「ウォーターレイン!」
雨が降り、強風が吹く。
私とお父さん以外の人はヒナのシールドで守られている。
「ふぅ....」
雨と風の音が鳴り響く中、勝負は着いた。
「お疲れ様、よく頑張ったよ。ナル」
お父さんは気絶した私を抱えて笑う。
この後、お父さんは先生に勝手なことをするなと怒られたらしい。
私はお父さんにまた負けたことを引きずっていた。
「全然、勝てないよー」
「ナルも凄かったわ」
よしよしと私を慰めるヒナはまるでお母さんのようだった




