表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君と始める異世界黙示録  作者: 樹希柳唯
第一章 終末の異世界
1/42

プロローグ.『誰かの夢』





 ――何も救えなかった。



 仲間も、大切な人も、未来も。



 当然だ。この世界は滅ぶために創られたのだから。

 何もかもを失うために創られたのだから。

 これが、神様の望んだ結末なのだろう。



 ――ふざけるな……。


 ――ふざけるな


 ――ふざけるなっ!!!



 到底諦められない!

 受け入れることなどできるはずがない!!


「それでも、俺じゃ届かなかったから……頼む。天使でも悪魔でも、何でもいい――この世界を救ってくれっ!」




『いい覚悟だ。あいつを思い出す』




「誰だ……?」


『誰でもいいだろ? すべきことがあるんじゃないのか?』


「そうだ。俺は諦めきれない。でも……」


『手を貸してやる』


「――!?」


『代わりに、お前は何を差し出せる?』


「俺の全てを差し出す!!」


『足りない』


「でも、俺には何もない。俺以外に払えるものなど何一つない。力は借り物で、心だって貰い物で、何かを成し遂げる知恵もない。何時だって足りない。何もかも足りない。そんな俺に払えるものは、俺自身しかない」


『その想いも、紛い物か?』


「違う。断じて違う! この想いだけは本物だ!! アンセスを、オルドゥークを、多くの仲間たちを想う気持ちは、アストリアを想うこの気持ちだけは本物だ!!!」


『そいつを貰うとしよう』


「この想いを手放すことは、すごく寂しくて、切なくて、苦しい……それでも、」



 ――俺のこのちっぽけな想いで、この世界を、あいつらの想いを、アストリアの夢を救ってくれるなら。



「この想い、持っていけ!」


『勘違いするなよ? 手を貸すだけだ。救うのは俺じゃない。俺は救わない』


「じゃあ、誰が?」




『次の、誰かだ』




 意識が遠のいていく。


 ――誰か……"誰か"、か。



「ハハッ!」



 何故だろう。

 ふと笑いがこみあげてくる。



 ――そうか、俺はここで終わりか……だけど、悪くない。



 願わくば次の勇者が――、






 "この世界に救いを"





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ