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今夜は竜を食べられるのね


 昼食を食べ、ゆっくりしてから午後の鍛錬。風呂に入って再びログインだ。天幕を出ると既にリフレ達がいた。


「お疲れ様」


「お疲れ様です」


「今夜は竜を食べられるのね」


「ネスティフさん、その前にカイザーコケッコーですわよ」


 みんなで喋りながら第5の街に転移して、まずは情報収集で狩猟ギルドに行く。昨日と同じ受付のお姉さんがいたので早速聞いてみた。


「すみません、カイザーコケッコーって討伐されました?」


「いえ、まだですね。結構みんな襲われてます」


「そうですか、東の森ですよね。ありがとうございます」


 受付のお姉さんに礼を言ってみんなに合流する。


「カイザーコケッコーまだ討伐されてないみたいだ。結構襲われてるらしい」


「じゃあ狩りに行きましょう!」


 俺の言葉にリフレが嬉しそうに言ってそのまま皆で東門から出て一時間ほど、東の森に到着する。そこから奥へと進んでいくが、野生動物の気配はしても魔獣の気配はしないな、この森。


「この森は大人しいですわね」


「そうね、普通の住人の狩人が狩猟場にするくらいには大人しい森よ」


 フタバの疑問にネスが答える。なるほど、そんなに大人しい森なのか。ドゥヴァリエみたいにブラックドッグが襲ってくるような森じゃないんだな。そんな事を思いつつ結構奥まで足を踏み入れると、俺の気配察知の端っこにそれを捉えた。しかしこれは。


「多分いた。いたんだが……」


「どうかしたの?」


「これ、そんなに強くないぞ?」


 ネスの問いに正直に答える。俺の捉えた気配は今までで一番大きい。しかしこれ、本当に普通の動物だ。スリープシープの方が気配は強い。これ、強くないぞ。どういう事だ?


「とりあえず行ってみましょう」


「そうですわね」


 リフレとフタバの言葉に頷いて気配の元へと進む。茂みをかき分け進んで見えたのは、確かに2メートルくらいの大きさの、間違いなく鶏だ。そいつが木漏れ日で日向ぼっこをしている。そしてその姿を目の前にしても、全く驚異を感じない。


「これ、本当に強いの?」


「そうですわね、明らかに強くはありませんわ」


 ネスとフタバも俺と同じ意見だ。やはりこいつは強くない。しかし事実、来訪者が倒されている。一体どういう事だ?まぁいいか。


「よし、じゃあ一斉に仕掛けよう」


「はい!」


「いくぞ!」


 そう言って全員で一斉に飛び出す。そのまま最高速で突っ込むと鶏は瞬時にこちらに顔を向け、その場に高く跳躍した。意外と速い!しかし捉えられない速度じゃない!


「おりゃぁっ!」


 瞬時に俺も跳躍して拳を振るう。しかしこの鶏はさらにもう一段上にジャンプした。二段ジャンプだと!?


「せぇっ!」


 そんな俺の背後からネスが精霊魔法で二段ジャンプを行い最速の斬撃を放つ。だが鶏は、さらに上に!三段ジャンプ!?


「はぁっ!?」


「ちょっとどういう事よっ!!」


 思わず俺とネスで絶叫を上げてしまう。三段ジャンプとかそんなんアリかよ!?そうして前に降下していく俺達に向かい、鶏は確かに笑った。


「コケーッコッコッコ」


「なにコイツ!ムカつくわ!!」


 まるであざ笑ってくるように鳴く鶏に怒りをぶつけるネス。それは俺も同じ感情だ。そうして地面に降り立った俺達の前で、フタバとリフレが鶏の落下を待ち構えていた。まぁいい、2人の射程範囲に入ればあの鶏はおしまいだ。そう思ったが、鶏はなんとその場で翼を広げホバリングを始める。


「えっ!?」


「降りてきませんわ!!」


 ホバリングを始めた鶏に動揺する2人だが、さらに鶏は驚く行動に出た。


「コケッコーッ!!」


 大きな声で鶏がそう鳴くと、突然なんの前触れもなく、視界いっぱい全方向から大量に普通の大きさの鶏が出現し、俺達目掛けて突っ込んでくる。なんだこれは!?


「ちょ、どこから来た!?」


「気配なんて無かったわよ!!」


「わたくしもわかりませんわ!」


「とにかく皆さん対処です!!」


 みんなで一斉に全方向から襲いかかってくる鶏に対処する。俺はとにかく前方から突っ込んでくる鶏に蹴りを放つ。だが鶏は蹴りが当たるとその姿をかき消し、俺の足は大きく空振る。


「消えたっ!?」


「こいつら幻覚よ!」


「じゃあ何ともないんですか!?」


 ネスがその正体を突き止めリフレが問いかけるが、その問いに意外な方向から解答が来た。


「痛いっ!攻撃が当たりますわ!?」


 鶏に足を啄まれたフタバが悲鳴をあげる。幻覚なのに相手からの攻撃が当たる!?どういう事だ!?そう思っていると俺の眼前に鶏が飛んでくる。


「どわっ!」


 咄嗟に手で払いのけるとその姿がかき消えるが、それと同時に下半身に衝撃!ズムッと効果音がしそうなほどの突撃に思わず前かがみになる。この野郎、股間にくちばしから突っ込んできやがった!武術をやる者にとって股間を守るのは基本だ。だがそれでも痛いものは痛いんだ!そうして少し前屈みになると今度は尻にくちばし!


「ぐおっ!」


 今度は股間を前に出してその衝撃を逃がすと今度は股間!こ、この野郎ふざけんな!!


「痛い痛い痛い痛い!!」


「キャーッ!お尻がつつかれます!!」


「ちょっとなによこの鶏お尻ばっかり狙ってくる!!」


 女性3人も一斉にお尻を押さえて逃げ回り、俺も股間を押さえて逃げ惑う。そうして一分ほど逃げ惑っているとフッと一斉に鶏が消えた。その事に安堵し前を見ると、あのでかい鶏が地面に立ってゆっくりしていた。


「こ、この野郎……!!」


「絶対許さないわこの鶏!!」


「今仕留めます!!」


「《エクスプロージョン》!!」


 前触れ無くリフレが魔法をぶっ放す。しかし鶏はあっさりと飛んで爆発範囲から逃げた。しかし今度こそ仕留める!再び宙に浮いた鶏に飛び蹴りをかますが、今度は鶏は身を捩り避ける。こいつ意外と機敏すぎるぞ!!しかしそこへフタバが横薙ぎに太刀を振るうと、今度は空中でジャンプ。だが今だ!


「くらえっ!」


 ネスがクナイを一閃、再び鶏はジャンプ!だがそのパターンは読んでいた。ネスは懐から呪符を取り出して鶏に投げつけると魔法を発動。


「爆!」


 ドカンという音と共に爆発。さすがにこれは巻き込まれたようで吹き飛ばされたが、まだ狩りきれていない!?俺達の滞空時間も終わり着地するが、鶏もクルクルと回転しながら着地した。そして再び飛び上がり奴は鳴く。


「コケッコーッ!!」


 そうして現れる全方位視界いっぱいの鶏たち。俺達に一斉に突撃してくる奴らに、俺達は股間とお尻を押さえて逃げ惑うしかなかった。


「こっ、こんなの戦いじゃねーっ!!」


「キャーッ!もうイヤーッ!!」


「ふっざけんじゃないわよーっ!!」


「お尻はもうやめてーっ!!」


 必死で全員股間とお尻を守りながり3分程逃げ回り、やはりフッと鶏が消える。再び奴は、地面でゆっくり休憩していた。


「くっそやろうぶっ殺してやる!!」


「ぐぎぎぎぎ!!」


「許さない!許さないんだ!!」


「この鶏絶対ぶち殺す!!」


 ネスは激しく歯を鳴らしリフレは許さない決意に溢れ、フタバまで久々のマジギレモードで言葉遣いが荒くなる。そうして再び突貫。今度はリフレが槍で思い切り前に出る。


「仕留めるっ!」


 リフレが槍を突き込むも鶏はひらりと宙に舞う。だがもうその手は通用しない!


「ネス!俺の掌に!」


「えぇ!」


 俺が砲丸投げのような構えのまま走るとその掌の上にネスがジャンプし片足を飛び乗る。それを確認してから思い切り掌を突き上げた!


「おおおおっ!」


 ブオンという風切り音と共にネスが勢い良く空に飛び鶏の頭上を取る!


「フタバッ!!」


 そのままネスが鶏を下に蹴り落とすと、大上段に構えたフタバが思い切り太刀を振るった。


「死ねえぇっ!!」


 荒々しく吼えたフタバがザン、と正中線から鶏を断ち切り、見事鶏は真っ二つになって地面へと落下、これで決着だ。


「……あー、この死体ミンチにしてぇ」


「少し切り刻みたいわよね、ソウ」


「ちょっと槍で突いちゃダメですか」


「少しはしたない所をお見せしましたわ、反省です」


 ドクドクと血を地面に撒き散らす死体を見て、俺達は好き勝手な事を言っていた。ともかくこれで、終わりだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 戦闘シーンがコミカルになってしまったwwwwww
[一言] わざとらしい感じが凄い、大丈夫?
[一言] 心を乱され過ぎじゃないかと思ったけど 鳴声にそういうデバフもあったのかな 幻覚or召喚といい、動物とはいったい・・・
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