特別付録/戦闘機械傀儡のすべて・大型電動キット編
コミックゴロゴロ8月号の超絶付録! これでキミも恐竜愛狂家だ!
銀河の彼方にある、惑星地球。
そこでは、恐竜の怨念を機械の体に取り込んだ狂気の産物〈戦闘機械傀儡〉が闘争本能の赴くままに
果てしない戦いを繰り広げていた――。
・ことの始まり
20世紀半ば、恐竜愛狂家の左大千一郎はキ〇ガイ扱いされ、実家の座敷牢に幽閉されていた。
彼は先の大戦で軍の諜報予算を恐竜探索(南方のジャングルかどっかに生き残ってるんじゃね?)と化石収集のために横領。それを公にしないための幽閉であった。
退屈な幽閉生活は、時間だけはあった。
彼は筋トレをしながら、毎日色々なことを妄想していた。
たとえば――呪術的カラクリ人形に、恐竜の怨霊を憑依させたらどうなるのか。
人間や動物の霊魂を降霊する術式があるのだから、恐竜を呼べない道理はないだろう。
「霊魂にも寿命ガー」とか寝言をほざく輩もいるが、阿呆だと思う。
オバケは死なないし病気もないし、そもそもとっくに死んでるんだから死ぬわきゃねェだろうがボゲェッッッ!
後日――左大は座敷牢を発勁の応用技で破壊して脱出。
コレクションのティラノサウルスの頭部化石を媒介にして、降霊術を実行した。
丸一日、悪戦苦闘の果てに左大はティラノヘッドを引っ掴んで、頭突きをかました。
「出てこいッつってんだろウロコ野郎! 20世紀怖いのか? ゴリラとかクジラとか現代にビビってンのか? あ? 6600万年引きこもりかテメー? ビビってんだろ、おーーーっ!」
前代未聞の挑発による降霊は――果たして成功した。
こうしてティラノサウルスの怨念は重力の底の底、特異点の向こう側から引っ張り出されて、傀儡の中枢たる勾玉に収まったのである。
これより、数多の恐竜たちの怨念が呼び出され、かつての肉体から更に強化された機体を得た、注目の対妖魔戦闘メカ〈戦闘機械傀儡〉となっていった。
・大型戦闘機械傀儡一覧
退魔組織の装備関連の実権を握った左大千一郎の指揮で開発された、数々の戦闘機械傀儡を紹介しよう。
なお既に絶滅してしまった機種もあり、現在はどれもキットは入手困難だ。
1.ジゾライド
ティラノサウルス型。
直立二足歩行のパワーファイター。
戦闘機械傀儡の象徴的機種。
開発当時(1950年代)の技術的限界で稼働時間が短い以外は、ほぼ無敵だった。
(モーター駆動。当時価格3000円)
2.ケンザン
ステゴサウルス型。
主に輸送、砲撃に用いられた大型機。
性格は温厚で扱いやすいが、戦意を喪失し易い欠陥があった。
(モーター駆動。当時価格2800円)
3.クロキサ
マンモス型。
左大千一郎いわく「マンモス、サーベルタイガー、ディメトロドンは名誉恐竜である」
(モーター駆動。当時価格2800円)
4.カリュウゴウ
ランフォリンクス型。
ロケット弾を装備可能な戦闘爆撃機。
格闘戦では至近距離から火炎放射を浴びせかける。
(モーター駆動。当時価格2500円)
5.ムツノカミ
ウルトラサウルス型。
サルベージされた大戦中の戦艦・陸奥の主砲を搭載可能に設計された夢の超大型メカ。
しかし夢は夢でしかなかった。
実戦運用は非現実的と判断され、ペーパープランに終わる。
(モーター駆動。当時価格6000円)
6.ジゾライド改・局地戦限定型
ジゾライドの近代改修用プロトタイプモデル。
90mmライフル砲、ロケット弾ポッド、冷却材タンク、試作対妖魔四連衝撃砲などを追加装備。
しかし開発時の1960年代では過剰武装と判断され、正式化はされなかった。
(モーター駆動。限定販売。当時価格4500円)
7.セキリュウカク
スティラコサウルス型。
装甲、機動性、操縦性、火力、ペイロード、燃費、調達費、維持コスト、全てのバランスに優れた万能機。
極めて完成度が高い傑作機で、多くの派生型を生み出した。
(モーター駆動。当時価格2000円)
8.ジゾライド改・正式採用型
1990年代に全面改修されたジゾライド。
あらゆる面で大幅にパワーアップした無敵メカ。
155㎜榴弾砲、ロケット弾ポッド、チェインマグニーザー等を装備。
(モーター駆動。当時価格5000円。)
10.ケンザン改
近代改修で対妖魔電子戦機として生まれ変わったケンザン。
妖魔の霊体そのものをジャミングできる。
155mm榴弾砲も装備可能。
(モーター駆動。当時価格3800円)
10.カリュウゴウ・火星型
近代改修でジェット化されたカリュウゴウ。
大量の現代火器で武装した対地攻撃の鬼神。
155㎜榴弾砲も装備可能。
(モーター駆動。当時価格3500円)
11.センオウガ
サーベルタイガー型。
史上初の高速機動タイプ。
ハイスペックな一方で扱いが難しく、僅か3機しか製造されなかった。
(モーター駆動。当時価格2500円)
12.コクリュウカク
近代改修で性能を底上げされたセキリュウカク。
30mmガトリング砲を装備可能で、火力支援で絶大な戦果を上げた。
(モーター駆動。当時価格2500円)
13.シュンライ
アンキロサウルス型。
高出力電磁シールドを装備した防御特化型。
武装換装で電磁針装備の格闘戦仕様、ニードルストーム装備の近接防御仕様を選択可能。
(モーター駆動。当時価格2500円)
14.ゴウセンカク
トリケラトプス型。
全てを貫くドリルホーンと荷電粒子ビームすら防ぐ電磁シールドを装備した大型決戦機。
(モーター駆動。当時価格5000円)
15.大型傀儡用強化改造パーツセット1
(当時価格1500円)
16.大型傀儡用強化改造パーツセット2
(当時価格1500円)
17.戦闘機械傀儡最終決戦改造セット
(メッキバージョン。限定販売。当時価格3000円)
・その他
敵対勢力が戦闘機械傀儡を模倣した〈パチもの〉や、禍津神が対抗手段として生み出した大型妖魔についても記載する。
もし玩具が売っているのを見かけても、絶対に買ったらダメだぞ。
1.ウェンディゴ・アーキタイプ
ゴリラ型(と思われる)。
左大千一郎に憎しみを抱く東欧の錬金術師が、戦闘機械傀儡を超えるために生み出した〈テクノ・ゴーレム〉と呼称される呪術機動兵器。
鋼鉄の陣鐘の異名を持つ。
1960年代にジゾライドと互角の死闘を繰り広げたが、最後はお互いの実力を認め合い、ヨーロッパに帰っていった。
2.死慨竜
ゴルゴサウルス型(と思われる)。
近代改修された戦闘機械傀儡に対抗して、禍津神が生み出した恐竜絶滅の概念結晶体。
全ての恐竜に死と破滅をもたらすカウンター的な存在である。
体内の粒子加速器官と力場によって形成された集束リングで、重金属粒子を用いた指向性エネルギービームを撃ちだす。
これには電磁シールドを装備した戦闘機械傀儡以外は対抗できない……と思われたが、実戦ではジゾライドが気合(としか形容できない)で耐え切り、強引に格闘戦に持ち込んで勝利する場面が多く見られた。




