なんで知ってるのと思っていたら実はずっと目の前に居た!!
図書室に着くとすぐ俺は彼女に真剣な目で問いかけた。それは彼女が何者なのかを確認するのと、なぜ知っているのかを確認するためだ。
「えぇーと一条さん、なんで俺の書いた小説を知ってるの?」
「それはですね。私はあなたの作品のずーっとファンだからです。山崎君!!」
「すいません。やっぱり敬語は疲れるのでタメ口で話していいですか?」
この人めっちゃ正直な人だ。喋ってまだ数回なのに疲れたとか。しかも普通は口に出さないことをストレートに口に出すとか。
「ま、まぁいいですよ。」
「ありがとうございます。山崎君。それでは今からタメ口でいきますね。」
「山崎君あなたは陰キャになってるつもりでいるけど、実際陰キャにもなれてないし、陽キャにもなれてないわよ。」
え、陽キャにもなれてないだと・・・。じゃあ俺は何なんだ。「なぁ一条さん、俺は陰キャじゃなかったら一体なんなんだ?」
「その前に、ねえ私のことまだ気付いてくれないの?ずっと前からあなたと一緒に働いているのに」
この声誰かさんと似てるなぁ・・・もしや--- 「もしかして、、、担当編集か?」
すると一条ははぁとため息を吐き、少し恥ずかしそうになりながらもこう言った。
「いきなり仕事モードにならないでくれる?そうよあなたの担当編集の一条だけど。私はあなたの学校のボッチぶりには心底納得いかないわ。何年ともに仕事してきてると思うの?」
いやぁなんかものすごく攻められてるなぁ。今まで優しかった一条さんが一皮むけたらこんなのになるのか・・・・
恐ろしい。いやもしかして俺だけかな、、絶対そうだよな。
「なぁ、俺は今担当編集に怒られているのか?それとも呆れてんの?」
「どっちもよ。あなたねぇ普通のノーマルのキャラで学校生活送っていたら普通に女子たちにモテる筈なのよ。それなのにあのくそ陰キャぶりは許せないわ。」
いや、そんなはずはない。それなら俺はとっくの前にこんな陰キャとかボッチとか卒業していたはずだ。おかしい。
「でもなんで一条は俺のことをそんなに許せないんだ?別にそんな気にすることじゃないんじゃないか?」
すると一条は顔を少し俯かせ、手をもじもじさせながら「私はあなたの担当編集であり、昔からの大ファンであるのよ。だからあなたには常に堂々としてもらわないと私が…あなたのファンと堂々と言えないじゃない。」
俺は少し照れ臭くなった。それがたとえお世辞であるとしても俺のことをこんなにも気にかけてくれる人がいる、少し特別に思ってくれてる人がいる。それだけで心が熱くなり、俺の頬っぺたは赤くなっていた。
俺は決心し、担当編集こと同じクラスである一条にこう宣言するのであった。
「俺をボッチ、陰キャからまともな人間に変えてくれないか!!一条」
まるで告白をするときのように恥ずかしかった。
「いや、あなたは陰キャでも陽キャでもないわ。ボッチてのは合ってるけどね。あなたはただの村人Aよ、今のままじゃ。」
え…陰キャでもなかったのか。ずっと陰キャであり続けた俺の努力は一体なんだったんだ。てかボッチだけ肯定されたら余計悲しくなるだろ。
そんな悲しみが漂い始めてきた俺をみかねてか一条は---
「でもね、あなたが決心して前に進もうと努力をすると誓ったのはとても偉いわ。私がしっかりとあなたを変えさせてみせるから」
一条は俺にそう言うとにっこりと最高のスマイルで笑いかけまたクラスでよく見かける誰にでも好かれる彼女へと戻り、教室へ走って行った。