陰キャの前に正体バレとか・・・・てか、君誰?
一話 陰キャの前に俺の仕事バレとか、てか君誰?
五月二十四日、六限目。ロングホームルーム、その日は六月二十日に行われる校外実習に向けての話が行われた。
いつもとなんら変わりなく授業はさくさくと進んでいき、残すは班決めとなった。周りのクラスメイトは一斉に騒ぎ出し、
それぞれが友達や好きなもの同士「一緒に班組もうぜ」と笑いながら話し合っている。俺はまぁ、放っとけばこの話はすぐ終わるだろうと窓際でぼーっとしていると、後ろから誰かに小突かれた。俺は何だと思い後ろを振り返ると、
そこにはクラスの誰からも好かれる一条香音がいた。彼女は俺ににっこりと微笑み「一緒に班組まない?」と問いかけた。
「うん?な、なんでですか?」俺はただ驚くことしかできず"うん?な、なんでですか?”という陰キャがいけてる人に話しかけられた時の第一声を発してしまった。
「ぷはははは、山崎君それはないよ。折角誘ってあげたのに。そんなにびっくりした?意外だった」
なんで一条香音がクラスで全く目立たない俺なんかを誘ってくれたんだ?正直クラスの人気者の一条さんに話しかけられたのは嬉しいけど、けどなんでだ?
俺は意を決して一条さんに尋ねてみることにした。もしこれが陰キャの行動でないとしてでも。
「なんで一条さんは俺に話しかけようと思ったの?」
一条さんに話しかけられるまで俺は家族以外学校では誰にも話しかけられなかぅた。寂しいと思われるだろうが、この学校には話す友達がいないだけだ。ちゃんと友達はいる。
すると彼女は何か企んだみたいな笑みをこちらに向け俺にこう言うのだった。
「君が解けないと思って用意したからくりは私は直ぐに解けた。仕掛けた人よりかも十倍、百倍仕掛けられた人は頭を動かしているんだ。なーんてね。私はあの小説大好きだったんだけどなぁ~。」
「そ、そうなんだ。俺は知らないから。」それは俺が書いた小説とは言えない。これだけは何が何でも黙っておかないと。
「ねぇ、山崎君・・・・あなた小説家なのでしょう?しかも一流小説家プエル先生なんでしょ?」
その目はとても力強く、確信に満ち溢れているようで逃がすまいという思いが込められているように感じ取れた。だから私は抵抗することなく、目の前にいる彼女にこう言った。
「ちよっと図書室で話し合おう。」
「うん。」
彼女は満面の笑みをよこし、やったぞという喜びの笑みをこちらに向け言い放つのだった。