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ポジティブシンキングの正しい使いかた

作者: 山藤 陽由

ポジティブシンキングの正しい使いかた


「前向きに考えた方がいい」とか、「考えたことを引き寄せるのだから、良いことだけを考えないといけない」と言われますよね。中には愚痴や他人の批判のような暗いことを言おうものなら、目くじらを立てて、「そういうこと言っちゃダメだよ」と、言う人までいます。でも、表面だけポジティブにしていても、ダメなんじゃないかなと思うんです。


ポジティブシンキングは、ポジティブな言葉を行った時に、自分の中に湧き出てくる感情を観察していくことに意味があるのではないかと思います。


例えば、嫌いな人がいるとして、本心ではないけれど、ポジティブな言葉を言わないといけないと思っているあまり「あの人は良い人だ」と、周りの人に話しているとします。その時に、心の中で、「そんなわけないでしょう。あの人は私に〇〇したんだから!」なんて思うのであれば、怒りがあるということですよね。それならば、その怒りが、どこから来るのか、更に自分の心を観察していけば、最終的に自分の内面の思い込みや、癒されていない部分があることが分かり、手放すことができるようになるでしょう。


また、年収一億で、素敵な伴侶を得て…と考えている時に、心の底から「無理、無理。できっこない」なんて声が聞こえたら、自分に自信がないことが分かります。そして、それをまた掘り下げて、どうして自信がないのか探ることで、自分はダメだという刷り込みや思い込みがあったことを発見して、それを手放すことができる。


そんな風に、ポジティブシンキングは、ただ表面だけポジティブにするのではなくて、自分の心にある『ポジティブな状態に反対する何か』を見つけるツールと考えるのが、正しい使い方だと思うのです。


だから、ポジティブに考えようとしても、ネガティブな思考がでてくる時こそチャンスで、間違えても、出てきたネガティブな思いを速攻で心の底に押し込まないことが大切だと思うのです。


心を見つめる作業の途中で、嫌な自分の感情が出て来て、不安になるかもしれない。「こんなに長時間、ネガティブなことを考えていたら、何か悪いことが起こるんじゃないだろうか」と、思うかもしれない。でも、表面に出てこないだけで、圧縮されたネガティブな感情があることに変わりはない。ネガティブな感情は要らなくなったゴミに似ている。最終的には捨てる予定のゴミを表に出すのは必要なことだと思う。引っ越ししたままの段ボールとか、小学生からの『思い出の品』と言う名のガラクタも、見えないように押入れにしまっても、無くなったわけではないのと一緒。もう、必要なくなったら、押入れから出してごみ袋にいれて、ゴミの日に出すしかない。


小学生の思い出の品のように、その当時はお世話になったものがあるように、ネガティブな感情だって必要だったのです。あまりにもショックなことがあったら、それを、そのまま肯定的に考えられない時もあると思うのです。怒りや悲しみのお陰で、立ち直ることもある。辛い時に、「明るく考えないといけない」と、言われれば言われるほど落ち込んだりする。感情の波動が離れすぎていると、一気に変えることは出来ないからではないだろうか。だから、ちょっとずつ明るくすればいいし、その過程で、要らなくなった感情は、感謝して手放せばいいと思う。


だから、ネガティブな気持ちがあっても、そんなネガティブな自分に落ち込む必要はないだろう。今は、いつかポジティブで愛と感謝の気持ちで日々過ごせるための途中の過程を楽しんでいるだけと考えればいいと思う。ネガティブな感情を経験していれば、ポジティブになった時、より一層、ポジティブな状態に感謝が湧くだろう。 また、もしも周りにネガティブな感情で苦しんでいる人がいても、共感してあげることができる。そう思うと、ネガティブな感情は、一瞬も持ってはいけないものではないと思う。


だから、ポジティブシンキングは一つの自分の心を知るツールとして使うといいのかもしれない。嫌な感情の元は、必ず自分の中に存在している。相手の嫌だと感じる部分は、自分の嫌な部分である。相手の罰したい部分は自分の罰したい部分である。自分の中に元があるから反応してしまうのだ。だから、誰かに同じことをされても、反応する人と反応しない人がいるのだ。そして、自分の嫌いな部分も、罰したい部分も、嫌うべき何かや、罰すべき何かがあると思い込んでいるだけなのだ。宇宙を創造した大元は「愛」なのだから、私たちが「愛」以外の何かであることは不可能だ。宇宙とか「愛」とか分かりにくいとしても、個性というのは裏表があり、欠点だと思うことが長所でもある。例えば、焦ってばかりいる人は、効率的に行動したかったり、自分や相手の時間を大切にしたいと考えていたりすることの裏返しだったりする。逆に愚図な人は、ゆっくり落ち着いて丁寧にやろうとしている人なのだろう。それを欠点だと思い込んでしまっているだけで、嫌うことも罰することもないことが分かれば、自分も相手も許すことができるだろう。自分の心の奥底にある思い込みの部分に到達するのは、言葉で言うほど簡単ではないかもしれない。しかし、根気よく探っていけば、必ず見つけられるはずです。


ポジティブでいなければいけないという気持があると、ありのままの思考や感情に気づきにくくなる。それよりも、ありのままの自分を見つめて、ネガティブな感情に気づくことが大切だし、ネガティブな感情で苦しんでいるのなら、それを掘り下げて、元の原因を探して除去すれば、もっと楽になると思うのです。


一度ゴミを全て捨てたからと言って、二度とゴミが出ないことはないでしょう。埃も溜まるし、不要な物を、もらったり買ったりして、またゴミを出す必要が出てくるでしょう。それと同じで思考や感情も一度全て手放せば、二度と手放す必要がないということはないでしょう。でも、掃除された部屋ではゴミが目立つように、クリアな思考や感情であれば、ネガティブな感情に気づきやすくなるでしょう。そうすれば、ネガティブな感情が湧いた時に、手放しやすくなるのではないだろうか。



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