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 悪魔ってほんとになんなの?

 前回なんなかんやあり、あーだこーだして、その結果として、俺の意見とか関係なく、コンビニという名の玩具屋さんを手伝う事になった。

 これが何故かと問われれば、俺がプロデューサーだからだろう。プロデューサーとは、何でも屋的な意味だと思われているからだね。


 まあ、しかし、実際にやるとなればやるのが俺だ。

 可愛いミルクちゃんに頼まれたら、断るとかはないんで! 手伝ってと言われたら、手伝ってあげちゃうんで!


 で、ここからはコンビニの話になるが、取り扱う玩具は売れるだろう。つまらない世界に玩具が発売されば、子供はもちろん大人も買うだろう。

 ミルクちゃんの品物のチョイスもいい。

 世界感を損なわない木の玩具。木っていろいろ玩具になんのな。知らなかったわ……。


 俺はピタ◯ラスイッチみたいなやつが欲しいな。

 積み木で玉が転がるレールを好きに組み立てて、木製の玉を転がすやつだ。いっぱい繋げて超大作を作りたいなー。


 ……このように品物は問題ない。問題なのはやはり店自体だろう。なんでコンビニ? 悪魔はコンビニ好きなの? 悪魔なのに?

 ほぼ出来上がってしまっていては、今からデザイン変更は無理だろうし、太陽光発電もおかしいし、電気が必要なのかもよく分からないし。だし。


 だって絶対に夜営業する必要ないよねー。24時間営業の玩具屋さんて! そんなのいらん!

 いや……なにも品物を玩具にこだわる必要はないのか? 本当のコンビニのように様々なものを売っていいはず。むしろそっちの方がいいんじゃね?


 弁当と飲料系はないから省いて、そこに玩具。あとは、漫画とかお菓子とかあったら最高だな。

 でも、そうなると飲み物は欲しくなるな。アイスも食べたい。中華まんもおでんもほしい。


 ……それはもうコンビニじゃね?


 結局、コンビニになっていくだと。バカな、悪魔たちはそこまで考えてこのデザインなのか? だとしたら恐ろしい……。

 24時間営業はないにしても、内容はほぼコンビニが完成する。悪魔ぱないかもしれない。


「はい、確かに承りました。詳しいデザイン等はサイズを測るのを含めて、お城にお伺いしますので」


「うん、頼むわね」


「──はい!」


 楽しそうにお喋りしている女子たち。仲間に入れてはもらえず、ひとりぼっちと化していた俺。

 暇すぎてコンビニ内を見て回り、どうするのがいいのかを考えていたというわけだ。


「あんた、いつまで黙ってるの?」


 そんなひとりぼっちの俺に、お姫様が話しかけてきた。だが、『いつまで黙っているの?』だと!


「お前が、『少し黙ってなさい。今度は壁にツッコませるわよ?』って言ったんだけどね!?」


「あら、本気にしてたの? 珍しい」


「今日はかなりダメージ受けてるからね!」


「全部。自分のせいじゃない」


 そうなんだよ。考えなくても自分のせいなんだよ。

 異世界にテンション上がった代償というか、調子に乗った罰というか、今日のダメージは自分のせいなんだよ。


「ところで、プロデューサーさんは人間なんですよね?」


 俺とお姫様のやり取りを見ていたミルクちゃんが、すごいこと言ってきた。


「えっ──、何その質問。『お前、それで本当に人間なのかよ?』ってこと。ミルクちゃんはそんなこと言う子だったの?!」


「──ち、違います! そうじゃなくて、その……」


 やっぱり変態と思われている。あるいは強姦魔という可能性も……。

 あれが確かに如何わしかったのは事実だが、そこまで? 人間ですらないと言われるレベルなのか。


「ただの人間よ」


「──本物の!? あ、握手してください!」


 死ぬしかないかと思っていたら、握手を求められた。手を出すと両手で握手される。

 なんだろう、人間は珍しいものなのか? さっきも崇められたし。

 俺からしたら、ネコミミのキミの方が珍しいんだけど。


「──いるとは聞いていましたけど、本当にいらっしゃるとは思いませんでした! こうして実際にお会いできるなんて!」


「人間はUMAと同じ扱いなの?」


「わー、感激です。人間さんに会えるなんて」


 ミルクちゃんに握手したままで手を上下にブンブンされる。そんなふうに激しく動く、彼女の尻尾は左右に揺れている。あとメロンも揺れている。


「ミルク、やめなさい。人間でもそれはあまり良くない部類の人間よ。で、そこの変態の人。この店はどうなの?」


「──変態の人!? 目線がいってしまうのはサガというか、男としては普通のことであってだね。女の子に言っても伝わらないと思うけど」


「言い訳はいいからどうなのか答えなさいよ」


 どこを見ていたのかお姫様にバレ、変態の人という不名誉な呼び方をされた!

 尻尾も気になるが、メロンも気になるじゃん!


「このままでいいんじゃないか? 品数だけ増やせば。玩具だけではな」


「玩具だけじゃ足りないですか?」


「せっかくコンビニの建物なんだ。コンビニらしく、いろいろ置くべきだ」


「いろいろですか。それじゃあ、何のお店か分からなくなりませんか?」


「──それがコンビニです!」



 ※



 コンビニのオープンには、まだまだ時間が必要だ。側だけで内装は全然だし。商品も足りなくなった。

 そして、何よりマジで恐ろしいのは、悪魔の協力だろう。商品の玩具は悪魔の仕入れらしいよ?

 それは、まぁ良しとしよう。この際ね。


 ただ、この建物ね。夜な夜な悪魔の業者がやってきて作業してるらしいっす……。

 俺は絶対に見にこない。流石に怖すぎるよ。


 しかし、ミルクちゃんという異世界の知り合いが増えたのはありがたい。彼女はいろいろと顔がきくようなので、お友達になって正解です。

 バレンタインにもご助力いただけることになった。

 その代わりに、俺がコンビニの開店に手を貸すことになりました。持ちつ持たれつで、いくことになりました。


 お姫様はミルクちゃんに服を頼みにきたらしい。

 探していた服屋というのは、元のミルクちゃんの店だったらしい。お姫様は町娘的な服をご所望のようでした。これで城下町のあれこれは終わりだ。


 最後に、みんなの疑問に答えようと思う。


 どうしてミルクちゃんだけ、『ミルクちゃん』なのかでしょう?

 だって〜、可愛いし〜、女の子らしくて〜。

 そんな子をミルク。なんて呼び捨てはボクできないよ。お姫様と幼馴染大明神様には、決して言えませんけどね。


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