EX1.2「モ〇ハンじゃねぇ!」
「啖呵切ったは良いが……困ったな」
現状としては、ユミスとなんかいい感じだと思われてる俺VSユミスにフられまくりの炎と風の神『アドラヌス』
人間と神じゃ勝負にならないことなど、これまでの経験で分かっている。勝算と言えば、ヤツが俺の能力を知らないってことだけだ。
「おいお前」
「なんだチビ」
こうして話している間にもメラメラと燃え盛るアドラヌスの体と心は、小手先のトークじゃどうしようもないみたいだ。
「お前ユミスのどんなとこが好きだったんだよ」
俺の問いに得意気な顔を浮かべながら語る。鋭く突き出た肩からは興奮を表すように、あるいは、溢れ出る溶岩の如く炎が吹き出る。
「はぁーーー……それ俺様に聞いちゃう?」
なんか『俺の方がコイツのこと分かってます』感を出されて自分でも無意識に眉間に皺が寄る。
「ユミスたんはなァ!!!どうしようも無いやつにも手を差し伸べて、いや、それだけじゃない。この世の全てに慈愛を持って接してるんだよ!!!!それがお前に分かるってのか!?」
「んー、いや」
俺の言葉に勝ち誇ったような、それでいて少しの寂しさを感じるような表情を見せた。
「ほぉ〜ん?所詮お前はその程度だったってことだなァ?」
「いや、お前何度も振られてるっていうから、もっとユミスのこと知ってるのかと思ってたわ」
「ん?んんぅん?あァ?」
アドラヌスの体がまた一段と紅くなる。それに呼応するように飛竜の谷の竜巻が勢いを増した。
「なぁ、アドラヌス。俺は別にお前と争いたいわけじゃないんだ、ただ、お前ってユミスのこと勘違いしてんだなってさ」
熱い。近くにいるだけで、言葉を交わすだけで身体から汗は滴り、それが瞬く間に蒸発する。
「燈矢くんやめて!!」
ユミスの叫びに俺と炎神は同時にたじろぐ。
「そうか、ユミス、君はもう俺様には振り向いてくれないのだな」
アドラヌスはそう言うと、俺達に背を向けた。
「貴様らが来たのは飛竜の卵目当てだろう」
「あぁ……そうだ」
赤熱していた肌が蒼に変わる。一歩でも進んだなら、灰になる程の熱だ。俺はとことん思った。なんでこんなことになっているんだと、ほぼユミスがコイツフったのが悪いんじゃねぇかと。
「生きて帰られると思うな」
眼前に立ち昇る炎の柱が蒼色に染まる。
「こっちもタダじゃ帰れないんでね……!」
クッソ久しぶりです。スピンオフですが何卒。




