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朝起きたら妹が魔王になってました  作者: 猫撫こえ
第2章「運命と存在」
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第20話「結婚報告!?」

「起きてー! 朝だよ! すっごい朝!」


「んあ…?」


 耳元でユミスが元気に騒いでいる。どうやら完全回復したみたいでひとまず安心。


「おはよう、ユミス。体はもう大丈夫なの?」


「この通り! もう大丈夫だよ、ありがとね」


 窓から外を見ると、そこには元の美しいリージュの景色が広がっていた。


 ドンドンドンドン!


 突然、玄関がけたたましい音を立てる。


「お兄ちゃん、もう大丈夫なのーっ?」


 騒音の正体は妹だった。


「鍵乃か…びっくりさせんなよ…」


「もう家に入っても大丈夫?」


「おう、全部解決したぞ。オールグリーンだ」


「そっか、良かったね」


「鍵乃、家に入る前にしてもらいたいことがある」


「なに?」


 これを手伝ってもらわないと計画が狂う。もう一回、お祭りをするんだ。


「ミクと手分けして、村の人をユミス像の前に集めてくれ、お前はあまり遠くに行くなよ」


「突然どうしたの?」


「後で分かるさ、だからお願い!」


「分かった。お兄ちゃんはどうするの?」


「俺はユミスに伝えることがあるから後で向かうよ」


「ユミス…か、ふーん」


「なんだよ…」


「お兄ちゃんの女たらし」


「はぁ!?」


 そう言うと鍵乃は駆け足で向かってしまった。三百メートル以内にいないと困るのだが。まぁ、ミクもいるし、そこは大丈夫だろう。


「ユミス、入るよ…ってうおぉぉ!?」


 そこにはお着替え真っ最中のユミスがいた。この世界に来てからというもの、ラッキースケベの神からの加護がヤバい。


「燈矢!? ちょ、ちょっと待っ、っとと…うわぁっ!」


 よろめき、足を滑らせ思いっきり転ぶユミス。正直痛そう。


「大丈夫か!?」


「こっち見るなぁ!」


 高速で繰り出された鉄拳が鼻頭にめり込む。


「いったぁぁぁああっ!!」


「わああっ! ごめん燈矢!」


ーーーーーーー


「まぁ、なんというか、いきなり入ってすまなかった」


「私の方こそ突然殴ったりしてごめんなさい」


 めり込んだ顔面をユミスに修復されながら、謝り合う空間は、なんとも言えないシュールさを醸し出していた。


「あっ、そうだった。今日、復活祭やるぞ」


「うぇぇ!? 今日だったの!?」


「あれ? 昨日も言わなかったっけ」


「言ってたような、言ってなかったような…」


 ユミスの復活祭を行うために、村人を集めようとしていたのだ。


「ありがたい事だけど…もう祭りの準備は…」


「いや、やる。誰がなんと言おうとやる。たとえ、隕石が落ちてきても、龍が襲ってきてもやる。」


「どうしてそこまで…」


「ユミスはお祭りしたくて頑張ったんだから、その頑張りが報われないのはおかしいだろ」


「でも…」


「いいから、ほら行くぞ」


 俺はユミスの手を取り、家を飛び出した。


「ちょっ、燈矢! どこに行くの?」


「お前の銅像の前まで」


 ユミス像の前には、すでに村人がわらわらと集まっていた。


「ユミス様だ! お体は大丈夫なのですか?」


 村人からのユミスに対する声が飛び交う。


「ごほん、静かに! 静粛に! ビークワイエット!」


 突然の英語に戸惑う村人。この世界の共通言語が日本語ってやっぱりおかしいよな。シャスティに聞いとけばよかった。


「えー、今日集まってもらったのは他でもない。ユミス様の復活祭をするためだ」


 村人がざわつく。


 すると突然、ユミスに後ろから服を引っ張られる。


「ん? どうかした?」


「ユミスって呼んでくれないの?」


 おいおい、この神様、昨日からずいぶん甘えんぼになってる気がするぞ。


「これには、時と場合ってのがあってだな…」


「そっか、燈矢にとって私はその程度の存在なんだ…たった一日面倒見てもらっただけだもんね…はぁ…」


 めんっどくさぁ…こいつ超めんどくさい。てか重い。でも、正直こういう所は俺的にポイント高い。


「ごほん、うおっほん。えっと…村で準備してた祭りの道具とかはどこにあるんだ?」


「すぐ使えるように物置にしまっておいてるよ。何があるか分からないからねぇ」


「ありがとう、じゃあそれをそのままもう一回飾り付けよう。祭りが明日になったっていい、ユミスを喜ばせるんだ」


 この言葉に再び村人がざわつく。もしかしてなんかいけない事言っちゃった?


「おいお前! なんでユミス様のことを呼び捨てにしてるんだ!」


「そうだそうだ!」


 あー、地雷踏んだ。こうなるかもしれないから呼びたくなかったのに。


「黙りなさい、あなた達」


 ユミスが一声で群衆の罵声を黙らせた。神様ってすげぇ。


「こ、こにょ…んんっ…ごほんっ。この人は、わ、私の…旦那さんになる人だから良いのです!」




「は?」



「「えええええっ!?」」

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