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はじまり、はじまり
リィン、と。
鈴の音一つ、鳴り響く。
「さあさ、お茶会を始めましょう」
リィン、と。
鈴の音二つ、鳴り響く。
「ケーキにクッキー、スコーン、あら彩りが寂しいわ。フルーツタルトはどこかしら。チョコレート。あの子はキャンディも好きだった?」
リィン、と。
鈴の音三つ、鳴り響く。
「いい香り。やっぱり紅茶はディンブラに限るわ。ミルクと砂糖。あの子は意外とお子様で、ストレートだと嫌な顔するのよ。可愛い子!」
リィン、と。
鈴の音四つ、鳴り響く。
「ねぇ、あなたもそう思わない?」
リィン、と。
鈴の音五つ、鳴り響く。
「ああ楽しみ。あの子もはやくこないかな」
うっそり微笑む声に、六つ目の鈴が重なった。