「アキレス最後の戦い」
今日も性懲りもなく、マンションに籠って公営レースのネット投票に励む、我が飼い主様。
いつもいつでも、ネコ頼み。お稲荷様のお使いと、勝手に信じ込んで茶トラのオレにすがって3連単の一点張りで勝負するけど、連戦連敗。それでも軍資金が尽きないのは、生活費を田舎から仕送りしてもらっているから。いつのまにか除籍になった大学生の頃からずっとそうだ。
親が特に高収入というわけではない。
バブル期に採算度外視で建設された地方空港。その一つが、たまたま先祖代々伝わった雑木林にできたからだ。まるで宝くじが当たったみたいに、数千万が祖父の口座に振り込まれてきた。結果、その孫は、仕送りして働きもせずに競馬にボート、競輪、おまけにオートレースまでネットで張っている有様。税金から頂いたお金を、公営レースで負けて地方公共団体にふるさと納税みたいに納めてるってわけだ。
今日もパソコンの画面は四分割。競馬、競輪、ボート、オートのレースが展開されるのだ。
今日のBGMがオーディオから流れてきた。さっきからおんなじハードロックが繰り返し流れている。レッド・ツエッペリンの「アキレス最後の戦い」。やたら長い曲だ。なんとかいう勇気あるジャーナリストが中東で殺された。そのレクイエムだと、飼い主様はうそぶいている。真の男だって。あんたの生き様とは偉い違いだよ、まったく。
「余計なこと言うな!俺は俺で、博打打ちとして 日々男を磨いてるんだよ!」
おっと、この飼い主は人の心は読めないくせに、ネコの心の声は聞こえる特殊能力を持ってるのを忘れてたぜ・・。