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第3章 母とのふれあい

 クミは小学校を卒業すると、只一人だけ隣町の女学校に入学した。

 小柄で華奢なクミにとって、女学校までの長い道のりを歩いて通うのは骨が折れたが、勉学に意欲のあるクミには、そのことは左程苦にはならなかった。


 矢絣柄の着物に、海老茶色の袴をはき、布のかばんを斜めにかけて通学した。初めて袴をはいた時、自分は女学生になったという自負を新たにしたものだ。

 

 朝起きる早々、クミの長い髪を三つ編みにしてリボンで結ぶのは花江の楽しみの一つだった。

「髪が伸びたのう。こっち向いてみ。可愛らしいのう」

 毎日のことなのに、花江は娘と鏡を通して向き合えるその瞬間がうれしいひとときだった。

 

 クミの顔立ちは母親そっくりの瓜実顔、少し釣り気味の眼だけは父寅三似だ。

「クミの吊り眼、おっかさんは好きよ……。もちょっと背があったら、着物の着せ甲斐があるにのう」

 花江はクミの着物を作る度にそう言ったものだ。花江ははた織り機で絣を織り、子供達の日常着を手で縫っていた。

 子供の頃クミも白黒の絣の着物を、腰の位置で縫い上げして着せられていた。すぐ上の姉さまと背が同じになるまで、お下がりはクミに流れていった。女学生になってからは、仕立て屋に注文した矢絣の着物を着せてもらえたのがクミには何よりうれしかった。




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