〝すき〟と〝好き〟
この物語の内容は私の考えをつらつらと列べていくだけの物語です。
過度な期待はしないでください。
また、画面からは15cmは離れて見てください。
『私はあなたのことが好きなの!』
分からない。
ベッドに横になり、読んでいたマンガを横に放り投げて私は目を閉じた。
好きってなに?
私にはそれがよく分からない。
好きの意味は分かる。
それに私も友達や家族のことは好きだ。
でも、恋人や伴侶に対する好き。
〝愛〟と言うことはさっぱり分からない。
「恋には下心、愛には中心。って言うけど……」
言いながら私は目を開け、近くにある猫の人形を抱き締める。
なんで人は付き合うのだろう?
なんで人は結婚するのだろう?
なんで?
そんな思いが私のなかに渦巻いていく。
例えば、私は家族が好きだ。
家族が大変な目に遭うのなら私自身が大変な目に遭った方がいい。
それで自分が死んでも守れたのなら充分だ。
例えば、私は友達が好きだ。
友達が傷ついて辛いのなら私がその痛みを取り除きたい。
それで自分が一番傷つくのも構わない。
だからと言ってこれは好きや愛とは違うだろう。
どちらかと言えばこれは私の自己満足だ。
もしも、もしも私が死ぬことによって傷つく人がいるかもしれないのに、そのことを私は考えられない。
なぜなら私は私があまり大切じゃないから。
仮に死ぬとしても意識がなくなるだけ。
それは寝ているのと何ら変わりはないからだ。
「……考えが反れたなぁ」
なんだっけ……?
ああ、そうだ。
〝好き〟と〝愛〟の違いだっけ。
なんのマンガだったか忘れてしまったが、こんなことを書いてあったなぁ。
『美味いもんを一緒に食いたいって思える相手。キレイな景色を一緒に見たいって思える相手。それが好きで愛してるってことじゃねぇかな』
いったいなんのマンガだったっけ?
確かギャグマンガなのにシリアスな場面もあって面白かったんだけど。
まぁ、そんなことは置いておこう。
美味いもんを一緒に食いたいって思える相手やキレイな景色を一緒に見たいって思える相手、か。
それで一番に浮かぶのはやっぱり家族の顔なんだよね。
だからやっぱりこの考えも私には合わないみたいだ。
「難しいなぁ……」
ポフッ、と人形を頭の上に乗せて私は呟く。
ホント、なんでこんなに難しいんだろ。
それに、恋人や伴侶がいても浮気する人っているよね。
あれって結局は恋人や伴侶のことを愛していなかったってことなのかな。
「……また反れた」
眉間にシワを寄せながら私は座る。
仮に、私が告白されたとしよう。
そうなると私はきっと断るはずだ。
なぜならいきなり告白されても混乱するはずだからだ。
それに私は付き合っても何をするのかが分からない。
何をしたら恋人なの?
手を繋ぐ?
デート?
キス?
それともエッチなこと?
この話は友達にも相談してみたが、友達には理解ができなかったらしく。
『そんなことを気にしているから恋人ができないのよ!』
なんて怒られてしまった。
でもこの考えを纏めない限り私は納得ができないし。
なんで私はこんなにも悩んでいるんだろう?
不意にドアをノックしてお兄ちゃんが入ってきた。
「竜姫、お風呂沸いたよ」
「分かった。今から入る」
「早めに入って出てくれよな」
そう言ってお兄ちゃんは自分の部屋に行ってしまった。
そう言えばお兄ちゃんも恋人いなかったなぁ……
そんなことを考えながら私はお風呂に向かうのだった。