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魔法使いはヒモ男

作者: 28号

 私現実主義者なの。だから曖昧な物って大嫌い。

 特に夢とか希望とか奇跡とか、そう言う物は反吐が出るほど嫌い。

 なぜならそれを追い求めて、不幸になった人を側で見てきたから。

 私のパパは、作家になるとかいいながら、貧乏暮らしを続けてあっけなく死んだ。

 その後すぐママも病気になって死んだ。

 あのときはまだ幼くて、ママだけはつれていかないでって星に祈ったけど、奇跡なんて起きてくれなかった。

 だから私は夢とか希望とかそう言う曖昧なものが嫌い。あとパパが死ぬまで書いていた、魔法使いやら妖精やらが出てくる絵空事も嫌い。

 目的を叶えるために必要なのは血を吐くほどの努力。

 それの邪魔になる物、例えば友情とか愛とかそういう物も、ビジネスには利用できても私生活には持ち込まない。

 だって恋をしたって気持ちが乱れるだけだし、友情は拗れると面倒くさい。

 ……つまりこれは恋じゃない。あんたはただ寝るだけの相手。

 欲望のはけ口。体の相性だけ良い相手。

 その事実と私のことを理解してくれるなら、私はあんたを囲ってあげる。

 他にも寝るだけの相手は何人かいるけど、あんた以外は独占欲丸出しで面倒なの。

 自分も他に女がいるくせに、私が違うのと寝るとうるさいのよね。

 つまり面倒じゃなくて、後腐れのない一人を、そろそろ決めたいの。

 だからもし、私だけと寝るだけの男になってくれるなら、一生食べさせてあげる。



 彼女がベッドの中でそう言ったのは、たしか20回目に寝たときだった。

「それは、ヒモというやつ?」

「そう」

「つまり、仕事もせずにここに住んで良いってこと?」

「そう」

「その上好きな物は何でも買って良いの?」

「ブランド品でも、何でも」

「あとテレビとか、好きなときに見て良い?」

「DVDだって買ってあげる。ファンタジー映画以外なら」

「じゃあここにいる」

「交渉成立ね」

「ただしその、ひとつ問題がある」

「彼女でもいるの?」

「…ちがうよ。ただ僕は、君が大嫌いな曖昧な絵空事で出来てる」

「アニメ好きなのは知ってるわよ。私の目に入らなければ、まあそれくらい…」

「ちがう、僕自身が絵空事なんだ」

 そう言って、僕は二人が寄り添うベッドの上に薔薇の花びらを散らした。むろん魔法で。

「魔法使いなんだけど、それでもいい?」

 その次の瞬間、僕はベランダに出されていた。






【魔法使いはヒモ男】






 僕はしがないピザの配達人だった。

 正確にはピザの配達人の皮をかぶった魔法使いだったが、世の中の殆どの人はそれを知らないので、普通の配達人と言っても嘘にはならない。

 そして彼女は、週に3回もピザを頼んでくれるお得意さんだった。

 高級マンションの55階に住み、ピザばかり食べているのに全く太る気配がない彼女。宅配ピザが好きな癖に、その正体は有名なイタリアンレストランを経営するオーナーシェフだった。シェフと言うよりも、今は社長に近いらしいが。

 つまりピザ屋の皮をかぶった魔法使いとは住む世界が違う人。

 それが彼女だった。

 なのに半年前、ピザを届けた僕に彼女が言ったのだ。

「30分ですませるから私と寝て」

 明らかに泣いていたとわかる顔で、甘く迫られたら男は誰でも落ちる。

 30分と言ったが、結局朝まで僕は彼女の家にいた。

 仕事の方は、魔法で呼び出した精霊に代わりをさせたので首にならずに済んだ。

 お陰でピザを運ぶたびに僕と彼女はそう言う関係になり、2ヶ月後、彼女は僕に自分のヒモなるよう勧めた。そのとき僕は魔法使いであることをカミングアウトした。

 それを聞いてから彼女の僕に対する扱いは酷くぞんざいになったが、それでもまだ家に置いてくれている。

 でも室内で魔法を使うのは禁止。話題を出すのも禁止。欲しい物は揃っているから別に不自由はなかったけれど、もう何百年も魔法使いとして生きていた僕には、少々窮屈ではある。

 でも一番窮屈なのは、いつも一緒にいて、キスして、裸になってエッチしてるのに、好きだといえないことだ。

 その言葉を言った殴られるので、言いそうになるたびに彼女の名前を呼んで誤魔化している。

 彼女は気むずかしくて、人の上に立つ仕事をしているだけあって自己顕示欲が強くて傲慢だ。

 仕事だけ生き甲斐なので友達もいないし、休日すら家にいないことが多い。

 つまり彼女にするには最悪の人種だ。もう何百年も生きてきたが、こうも自分勝手に生きている女見たことがない。

 でも時々家に帰ってきて、甘えられるとどうしようもなく好きだと思ってしまうのは問題だ。

 実際友達にもやめろやめろと言われているが、恋する気持ちは止められない。

 その上ヒモ生活というのは、想像以上に素晴らしい。

 見てくれは20代だが、こう見えて中世の時代から魔法使いとして色々な主に使えてきた。

 しかしやはり、何百年も働いていると、そろそろ仕事をするのが嫌になってくる。

 魔法使いに比べるとピザの配達は楽だったが、やはり働かないで良いならその方が断然良い。

 そうこう思っているうちに別れるという選択肢はなくなり、僕はここで彼女のヒモをしていた。



◇◇◇       ◇◇◇




「ルイス=フロレンス=アルカディア=ユースミルド=エヴァンス=フォーン!」

 呼ばれたその名に、一瞬で反応できなかったのはもう50年くらいその名前を使っていないからである。

「すいません、随分前に鈴木太郎に改名したと思ったんですけど」

 僕の声に不満そうな顔をしたのは、魔法管理局東京支部にある、魔法免許更新窓口に立つおばちゃんである。

「名前が変えられるのは並の魔法使いだけなの。あんたみたいな有名人は無理よ無理」

 自分で言うのもアレだが、僕は割と有名な魔法使いだ。もう5回くらい世界の終わりからこの地球を救っているし、あの凶悪なブラックドラゴンを300頭も退治した。

「何とかなりませんか?」

「無理。…というわけではいこれ、新しい魔法使い免許」

 長ったらしい名前が書かれたその免許を、僕は忌々しくにらみつける。

「免許の更新じゃなくて失効するために来たんですけど」

「あんたのは永久に失効できない特別製なのよ」

「それを失効して欲しいんです」

「その免許、一体何人の魔法使いがほしがってるかわかってる?」

「僕はいらないんです!」

「じゃ捨てればいいよ。でもたぶんすぐに新しいの送られてくるから」

「じゃあせめてここ、ここ鈴木太郎にしてください!」

 仕方ないねぇと、おばちゃんは特別に名前を書いてくれる。

「太郎って顔じゃないのにねぇ」

 でもこの名前が気に入っているのだから放っておいて欲しい。




◇◇◇       ◇◇◇




 魔法管理局がある都庁の地下から地上に戻れば、彼女からメールが届いていた。

 一緒に食事をしようと言うので、僕は人気のないところでTシャツ短パンからスーツに着替えた。むろん魔法でである。

 待ち合わせに指定されたのは、彼女が営む六本木にあるレストランだ。

 店内にはいるとまだ準備中だったので、シェフや給仕長が出迎えてくれた。

 イタリア人ばかりだが、200年ほど前イタリアに住んでいたことがあるので会話に支障はない。

「オーナーに呼ばれたんだけど」

「彼女なら奥にいる。でも今日は機嫌が悪いよ」

 確かに食事をしようという日は大抵機嫌が悪いか生理前だ。

 彼女には愚痴を吐く相手がいないので、何かあるとすぐ僕を呼ぶ。

「早くなぐさめてあげて。最近太郎じゃないとオーナー元気にならないんだ」

 老年のシェフの言葉に浮き足だったが、彼女の執務室に入ったとたん僕は後悔した。

「あんた、今日勝手に出かけたでしょう」

 どうやら不機嫌なのは、僕が原因らしい。

「ちょっと用事が…」

「女?」

「いや、仕事的な」

「あんたヒモじゃない」

 渋々、僕は彼女の前に正座すると、おずおずと免許を差し出した。

「これを失効しようと思って魔法局まで言ったんだ。でも上手くいかなくて」

 その直後、彼女は免許を真っ二つに引きちぎる。だが次の瞬間、傷ひとつ無い新しい免許が彼女の手の上に現れた。

「ルイス=フロレンス=アルカディア=ユースミルド=エヴァンス=フォーン?」

 その上新しい免許には前の名前が書かれていた。彼女が嫌う、ファンタジーな名前である。

「なにこれ、何処までが名字でどこからが名前なわけ?」

「僕ももう良く覚えてない」

 そう返せば、彼女は手にした免許をゴミ箱に投げた。

 とりあえず焼却されるまでは戻ってこないだろう。

 だが問題は免許云々じゃなくて、彼女の地雷に足を乗せた事だ。

「勝手に出かけてごめんね」

「……」

「今度はちゃんと言うから。本当にごめんね」

 土下座をすること15分、彼女はようやく許してくれた。

 でも僕はすぐにたてず、夕飯の時間が遅れて彼女の機嫌はまた悪くなった。




◇◇◇       ◇◇◇




 本名がばれてから、どことなく距離を置かれるようになったのは気のせいではないらしい。

 事の最中でも彼女は僕の名前を呼ばなくなったし、既にぞんざいだった扱いが更にぞんざいになった。

 それでも出て行けと言われない限り、ここにいたいと思っていた。

 しかしある晩、非常に面倒くさいお客が、僕の幸せな生活に水を差しにやってきた。

「よお親友!」

 我が物顔で家に乗り込んできたこの男は、僕の古い友人だ。

 魔法使いがここに押しかけてこないように住所は伏せていたが、どうやら免許の更新の際に網を張られていたようだ。

「ヒモ生活してるってのは聞いてたけど、まさか本当だったとは」

「お茶だけ飲んだら帰ってよ。彼女魔法使いは嫌いなんだ」

「そんな奴と良く付き合えるな」

「好きだから…でもこれは秘密にしてよ」

 捨てられるからと念を押せば、友人は呆れ顔で俺の肩を抱く。

「お前は昔から女の趣味が悪い。決まって闇の魔女とか魔物にばっかり引っかかる」

「でも彼女は、少なくとも世界征服とかは企んでない」

「幸せになれなきゃ同じだ」

「幸せだよ」

「好きとも言えない女に振りまわされるのがか?」

 友人はそう言うと、魔法で僕の前に大量の見合い写真を出現させる。

「お前を幸せにしたい友人代表として、必死に集めた世界の美女達だ。顔も性格もお前好みなやつばかりだ」

「困るよ、こんなの見たら彼女が怒る」

「お前の幸せを願えない女と、一緒にいる意味があるか?」

「僕が願ってればいいだろう」

「ともかく目を通せ。全部確認して、5人以上候補を選ばないと消えない魔法をかけてあるからな」

「鬼!」

「みんな心配してるんだよ、お前のこと」

 その言葉に僕が弱いことをわかっているのだ。困り果てる僕を笑いながら、彼は来たとき同様唐突に帰って行った。

 仕方なく残された写真の山を開けば、さらに写真の山が5つほど、テーブルの上に出現した。

 これは明らかに彼女が帰って来るまでに処理しきれない。

 僕は深く絶望し、ソファーに倒れ込んだ。



◇◇◇       ◇◇◇




「で?」

 写真を見た彼女の言葉は、その一言だけだった。

 嘘をついても怒られるので、仕方なく素直に説明する。

 彼女は恐ろしいほど静かで、普段とは違って怒鳴られたりすることもなかった。

「…だからその、急いで片づけるから。っていっても、もちろん見合いはするつもり無いから!」

「なら、私に選ばせて」

「えっええぇえ!」

「どうせ誰でも良いんでしょ、この紙に名前書けばいいの?」

「うん、まあそう」

「じゃあ私がやって置くから、ピザでも頼んで」

 言うなり写真を開かれて、僕はもう為す術がなかった。

 そして翌朝、結局彼女は徹夜で全ての写真をチェックし5人の美女を選び出した。

「……本当に選んだんだ」

 ベッドに入ったが、昨日は結局一睡も出来なかった。

 彼女も寝ていないようで、機嫌は昨日より更に悪そうだった。

 しかし逃げ道はないので、僕は恐る恐る彼女の隣に座る。

「この5人ね」

「あ、うん、ありがとう?」

 そういって差し出された写真は、確かにどれも好みの女性ばかりである。顔は勿論胸の大きさまで、僕の好みをついている。正直彼女の観察力が恐ろしい。

「みんなお淑やか、旦那をたてるタイプばかりらしいわよ」

「う、うん」

「趣味も乗馬とかアーチェリーとかパイ作りとか、まさに絶滅危惧種って感じね」

「パイ作り……」

 そう言えば、最近アップルパイを食べていないな。

 なんてどうでも良いことを、こんな大事なときに思ってしまった所為だろう。

 唐突に、あまりに唐突に彼女が爆弾を落としてきた。

「見合いしなさいよ」

 我が耳を疑った。そして息をのんだ。

「こんな物件二度と揃わないわよ」

「もう、僕はいらないの?」

「いらないのはあんたでしょう」

 立ち上がった彼女の腕に思わず縋り付いたが、彼女はそれをいとも簡単に振り払う。

「…聞いてたの」

「なにを?」

「昨日の会話…。実はあんたの服に仕込んであるのよ、盗聴器とGPS」

「ごっごめんね。この家で、魔法使いは呼ばないって言ったのに!」

「別にもう良いの」

「やっぱり、僕のこと嫌いになったの?」

「……そうよ」

 言って彼女は僕を置いて、寝室に行ってしまう。

 残された僕は半ば唖然とし、それから彼女が選んでくれた写真を見た。

 どの子も凄く好みだ。彼女たちと乗馬をしたりパイを焼いたりしたらきっと凄く素敵だ。

 だけど僕は、今の暮らしだって好きなのだ。

 ヒモが楽だというのは勿論ある。でも本当はそれだけではない。

 意を決して立ち上がり、僕はこっそり寝室のドアを開ける。

 僅かなすき間から中を覗けば、彼女は毛布をかぶり、そして声を殺して泣いていた。

 どうしても彼女が良いと思ってしまうのは、そう言う弱い一面を知っているからだ。

 自分勝手で我が儘だけど、それはただ強がっているだけで。

 夢も希望もいらないと良いながら、店のシェフたちが語る夢や将来への希望を、彼女が馬鹿にしたことは一度もない。

 星に願うだけじゃ何も叶わないと言いながら、真夜中に、一人でこっそりと星を見上げているのだって知っている。

 そう言う弱くて、女の子らしいところが本当はたまらなく好きで。

 そしてそう言う面を隠して、必死に強がるところが放っておけないのだ。

「…見合いはしないよ」

 そう言ってベッドに腰掛けるが、彼女は背を向けるだけだった。

 彼女は決して甘えない。唯一泣きながら縋り付いてきたのは、ピザ屋のバイトを拐かしたあの一回目だけだった。

 あの日彼女は婚約までしていた男に捨てられたらしい。それを教えてくれたのは店のみんなで、彼女はそれを口にもしないのだ。同情されるのが何より嫌いだから。

「僕、もう少しここにいたい」

 そう言って彼女の横に寝ても、彼女は見向きもしない。

 でも蹴飛ばされないので、多分それはここにいても良いという事なのだろう。

 毛布を取られて少し肌寒かったが、僕はそのまま彼女の側で眠った。




◇◇◇       ◇◇◇




「ルイス=フロレンス=アルカディア=ユースミルド=エヴァンス=フォーン」

 お昼過ぎ、私を眠りから起こしたのは彼女の声だった。

「…僕もたまに間違えるのに、もう覚えてしまったの?」

「もうちょっと短くならないの?」

「好きな部分を呼べばいいよ。みんな、バラバラなんだ」

「ルイス」

 そう呼ばれて、なんだかとても胸の当たりが苦しくなった。

「他は魔法使いっぽくて嫌いだから」

「もう一度呼んでくれ」

「ルイス」

「…裸でもう一回」

 思わず身を乗り出せば、思い切りこづかれた。

「今はそんな気分じゃない」

「良いじゃないか、裸で君を抱くことが僕の唯一の存在意義なんだから」

 そう言って後ろから抱きしめれば、やっぱりまたこづかれた。

「…それが嫌なら、すこしくらいアレつかってもいいのよ」

「ゴム?」

「違う、魔法!」

 叩かれて、そして僕は思わず息をのんだ。

「嫌じゃないの?」

「嫌だと思ってた。現実的じゃないものって全部」

「なのにいいの?」

「よくよく考えたら、あんたみたいのをヒモにしている時点で、現実的とはほど遠い日常なのよね」

 済まないと頭を下げれば、彼女が僕に体に寄りかかる。

「でもそれに少しずつ慣れてたみたい。無くなるとわかったら、ちょっとだけ寂しかったの」

 ちょっとだけと繰り返す彼女があまりに可愛くて、私は思わずあの日のように薔薇の花束をベッドに散らせた。

「魔法使いも悪くないだろう」

「…掃除が大変なだけじゃない」

 やっぱり反応はイマイチだが、バルコニーに出される半年前よりは進歩していると思いたい。

「魔王はハンバーガーがお好き」の初期設定を流用した作品。

若干大人向けすぎたのでボツになりましたが、ネタに困ったので再利用。

~すぴばる内『先生、修行がしたいです』コミュニティーお題『魔』より作成~


※9/4誤字修正しました(ご指摘ありがとうございます)

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