始まり
昨日、奇妙な夢を見た。
少年が一人、私の部屋の窓際で語る。
「お伽の国の修復者になってくれないかな」
「なぜ、私なの」
「君一人とは言っていない。仲間はいるから、大丈夫。運命に、身を任せて…」
目覚めたら、いつもの朝。曇り空の隙間から、黄色い日差し。私はただの夢など気にすることなくいつも通りパンとカフェオレの朝食。ブラウスにスカート、ブレザーに袖を通し、ヘアアイロンを起動。温まるまでにメールチェック。
あ、中森くんからメール来てる。
『今日、一緒に学校行こう
相談がある』
メールは見たら即レス至上主義。
『うちらだけ?それとも時崎も?』
中森くんからまた返信。流行りのラブソングが流れる。
『時崎も、のつもり。』
『りょーかい』
ヘアアイロンから電子音。優等生っぽいさらさらのストレートに整える。スタイリングのミストからのフローラルの香りが女子力を上げている…はず。
「いってきます」
返事は、ないけれど。
鍵をかけるのは、三回確認。バス停まで走るので、ローファーはかかとが減りやすい。
そして、バスを降りれば。
「おはよう、新城」
「おはよっ、中森」
ほら、君の声がする。姿が見える。
会いたかったよ。
「…おい、俺もいるぞ」
「時崎さん、どうも」
「あ、時崎、おはよ。泉さんは?」
「あ、もうバス乗ったぜ。行き違いじゃないか?」
そうすか。残念。セーラー服が見たいのに。
「で、二人を呼んだのは、昨日妙な夢を見たからなんですけど」
………………………………
「あ、その夢俺も見た」
あまりに偶然だ。彼が言うように、仲間は用意されていた。お伽の国の修復者は他にもいたのだ。
「…偶然。私も見たの。」
「それに、泉も見たって言うしなぁ」
もう運命が動いていたことなんか、私達は知る由もない。