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2/22

結局何も変わらない

朝からずっと落ち着かない。

授業が今日から始まったが、ほとんど上の空。

今朝、由衣にあんなことを言ってしまったから。

これでよかったんだと思う一方で、言わなきゃよかったと思う自分がいる。

今までの俺たちの関係でよかったかも。

いや、もう高校生なんだから、付き合ってもいないのにあんな関係はダメだ。

けじめを付けないと。

でも、由衣、泣いてたな。

言っちゃダメだったかも。

いつまでも続く堂々巡り。

いっそ、付き合っちまうか。

でもそんなこと言ったら、また冗談ばっかりって由衣に大笑いされて終わるのがわかってる。

由衣にも選ぶ権利があるし。


昼休み。

「飯島君、消しゴムが落ちたよ。」

隣の席の本田亜香里が教えてくれた。

そんなことさえ気づかない今の俺。

「あ、ありがとう。」

消しゴムを拾う。

亜香里は俺と同じ中学の出身。

二年と三年で同じクラスだったからよく知ってる。

「どうしたの、今日は。何かあったの?」

「いや、別に。」

「由衣ちゃんにふられたとか。」

おもしろく言ったつもりなのだろうが、それはかなりキツい。

「そんなんじゃない。」

吐き捨てるように言ってしまった。

「冗談よ。そんなに怒らなくても。」

「ごめん。そんなつもりはないよ。ただ・・・。」

掃除の時間の予鈴が鳴る。

「じゃ。」

亜香里が出て行った。


部活、どうしようかな。

由衣はどうするのかな。

中学と同じバレー部に入るのかな。

まただ。

また由衣のこと考えてる。

由衣は由衣で自分の高校生活を送ってくれと今朝言ったばかりなのに。

矛盾のかたまりだ。


放課後。

部活なんてどうでもいい。

何もかもがどうでもよくなって、家に帰る。


授業初日だというのにいきなりたくさんの宿題が出されている。

これは普通科高校の生徒の宿命か。

やらないといけないのはわかっているが、手を付ける気になれない。

ベッドの上でまたもや堂々巡り。


インターホンが鳴る。

「はい」と答えて画面を見る。

由衣だ。

由衣が立ってる。

今朝言ったことがわかったなら、もう来ることはないはずなのに。

返事をしてしまった以上、居留守は使えない。

仕方なく扉を開ける。

由衣はしばらく何も言わずに俺を見つめた後、自分の家のように入ってくる。

そして二階の俺の部屋に向かう。

由衣の後をついて階段を昇る俺。

またもや、自分の部屋のように俺の部屋に入り、ベッドに座る由衣。

ついこの間まではありきたりの日常の一コマだったが、今はそのころが遠い昔のように感じてしまう。

由衣は何も言わない。


気まずい。

何か話さないと。

でも何を言ったらいいんだろう。

こんなに話すことを探すの初めてだ。

いつも、どうでもいいことをいつまでも話していたのに。


「部活、ないのか?」

なぜかそのことが自然に口から出た。

「入ってない。入らないかも。真ちゃんは?」

「俺もまだ入ってない。何かには入ろうと思ってるけど。今は・・・。」

「ふ~ん。」

また沈黙が流れる。

「今朝言ったこと、アレ、本気?」

やはりこれが本題か。

「ああ。」

「私のこと、ウザくなった?前から?」

「そうじゃない。」

「じゃ、何で?」

「いくら幼馴染でも、高校生になってまでいつも一緒に学校に行くなんておかしいだろ。こうやって俺の部屋に来るのも。」

「何で?」

「普通は、俺が言う前にお前の方からやめるんじゃない?お前、JKだろ。」

「そうよ。私女子だもん。だからJKよ。当り前のこと言わないでよ。」

「そうじゃねぇよ、俺の言ってること。普通の女子なら自然になくなっていくもんだろ、こんな関係。大きくなるにつれて距離を置くっていうか、普通、そうなっていくんじゃないのか?お前は女で俺も一応男だし。」

「そうしないといけない?」

「ああ。もう小さいころとは違うから。」

「何が?」

「全部が。」

「全部って?」

「わかるだろ、全部だよ。」

つい、由衣の胸の膨らみに目が行ってしまった。

こんなときに?

激しい自己嫌悪。

また長い沈黙が。


「帰る。」

由衣が立ち上がる。

「話の続きはまた明日。」

ニコッとして帰っていった。

この調子じゃ、きっと、明日の朝も迎えに来るんだろうな。

部活が決まるまで、毎日俺の部屋に来るかも。

結局何も変わらない。

まぁいっか。

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