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終業式

今日は一学期の終業式。

なので、全員集合の日だ。

当然、部室では無理。

でも使える教室はない、暑くって。

仕方なく、部室棟の陰に集まる。

暑いのは暑いけど、風がある分だけ室内よりましだ。


2年生の新部長と副部長がみんなの前に立っている。

「それでは、これから部会を始めます。」

副部長の司会の言葉で部会が始まる。

それまでしゃべっていた部員たちが一斉に前を向く。

「部長からお話があります。」

部長が話し始める。

そんなことに慣れていないんだろう、緊張で顔がこわばっている。

声も震えている。

それはそうだろう。

今まで自分が楽しむことしかしていなかったように思うから。

副部長なら部長を支えてあげて欲しかったな、なんて生意気なことを思う。

でも、過去のことを言ってもしかたがない。

新体制が始まったんだ。

俺たちも協力しないと。


「・・・ということで、活動は従来通りに皆さんの自主性にお任せしますが、部の展示の準備には全員で協力して取り組みましょう。また、部誌の発行もありますが、私たちの活動を知ってもらえる重要な機会です。みなさんが満足できて自信をもって届けられるものを作りましょう。まだまだ時間はあります。お互いに精一杯頑張りましょう。」

新部長の話が終わった。

何か感動してしまった。

前の部長は〇〇してくださいという丁寧だが命令口調がほとんどだったが、新部長は〇〇しましょうという言い方で一緒に頑張ろうという気もちが伝わってきた。

不器用だけど誠実な人みたいだ。

俺に何ができるかわからないが、できることをしてあげたいと思った。


その後、3人で由衣の家に帰る。

今日は活動をしてもいいが、ゆっくりと話がしたい気持ちだ。

終業式だし。

みんなも同じ気持ちのようだ。


由衣がコーヒーをいれてくれた。

みんなにトレーを回してカップを取ってもらいながら

「補習がはじまるまで一週間ほどあるね。」

嬉しそうだ。

「うん。だけど宿題、ハンパないよね。朝から晩までやらないと終わらないよ。」

真奈美が苦い顔をする。

「ほんと、そう。終わるやつの方が少ないよ。ズルでもしないと。」

「ズルって?」

由衣が反応する。

「数学が得意なやつは数学の宿題ばかりやって、英語の得意なやつは英語ばかりやる。で、お互いに交換して写す。」

「えー?それは確かに宿題は終わるけど、そんなのいいのかな?自分のためにならないよ。」

「由衣ちゃんは真面目だな。私はそれもありかなって思うよ。終わらなくて出せないよりマシじゃない?提出物を出さなかったらテストから点を引かれちゃうし。ちゃんとその後見て勉強するんだったらいいんじゃないかな。私はそんなことしないけど。」


「真ちゃんと真奈美ちゃん、夏休みにどこか出掛けないの?補習がない日とか、土日とか。」

「まだ何も決めてないよ。」

「真ちゃんって、休みの日の予定を立てる習慣がないんだよね。で、そのまま終わっちゃうパターンがほとんど。放っておいたらどこにも行けないよ。」

「そうね。ゴールデンウィークに入る前に予定を聞いたとき、全部空いてるって言われて笑っちゃったもん。」

やっぱり笑ってたのか。

それにはコメントしない。

「でも由衣ちゃんともどこかへ出掛けたいな。ダメかな?真ちゃんがいたらできないガールズトークしたいし。」

「それいいね。真ちゃんがいたらできないガールズトークしたい、私も。」

わざと由衣が繰り返す。

「俺がいたらできないって何だよ。どうせ俺の悪口くらいだろうけど。」

「何でよ。こんなとこが好きって話かもよ。それって真ちゃんがいたらできないでしょ。」

真奈美がわざと意味深な笑いを含んで言う。

そんなことを言われるとは。

真に受けちゃいけないとわかっているけどドキドキしてしまう。

「真ちゃん、顔が赤いよ。かわいい。」

由衣がからかう。

「うるさいな。いいかげんにしろよ。」

「真奈美ちゃん、真ちゃんのそういうところ、好きなんだろうな。」

まじまじと真奈美を見る。

「もう由衣ちゃん。」

耳まで真っ赤にして、真奈美はもう何も言えない。


終業式は午前中で終わっているので、俺たちの集まりもいい時間になった。

昼過ぎでお腹もすいてきた。

「じゃ、帰るね。」

と真奈美。

「由衣ちゃん、さっきのこと、考えといてね。」

「真ちゃん抜きのガールズトークのことよね。私はそのつもりだけど。」

また同じこと言った。

わざとだ。

「うん。」

「今週くらいどう?」

「うん、いいね。LINEして。」

「わかった。」

何か、俺は邪魔者みたいだな。

でも真奈美と由衣が仲よくしてくれるのは何よりも嬉しい。


結局、その間に真奈美と俺がデートすることはなかったが、真奈美と由衣は出掛けたらしい。

らしいというのは、はっきりとは教えてくれないから。

由衣のやつ、俺には何の遠慮もなく何でも聞いてくるくせに、自分のことは言わないなんて。

俺がそのことを聞けないのをいいことに、ほんとずるいな。

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