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ハガキ

作者: 廣風直

キセキが起きました。

本日、私の大好きなアーティストである高橋優のニューアルバムである「ハッピー」がリリースされました。


その中の一曲を聴いて私は泣いてしまいました。

タイトルは『キセキ』。

正しく言うならば、この曲を聴いて泣くことが出来た、と言った方が良いですね。

リビングに置いてあるアレクサーに曲をかけてもらったんですよ。

するとですね、自然と涙が私の頬をつたっていきました。


私は気付くことが出来なかったことに気付くことが出来たのです。これは先日、私が44の誕生日を迎え、今日に至るまで気付くことが出来なかったことなのです。


それは妻は私の事を大きな愛で支えてくれていたことでした。妻は私の最高の理解者であり、大きなブレーキだったのです。


私が加速し過ぎると危険なので、ブレーキをかけてくれていたのであって、私を蔑ろにしていた訳でも愛想を尽かしていた訳でもなかったのです。


私はそのことに気付くことが出来ずに、妻をたくさん傷つけてしまいました。


だけど、今はもう気付けた私が今ここにいます。だから、大丈夫です。これからたくさん恩返しをしたいと思っていますよ。


本当に私はバカでした。

44歳になるまで気付けなかったのだから。44年。この期間にたくさんの人と出会い、別れを繰り返してきました。私から離れた人もいますが、その逆も然りであります。私は恵まれています。こんなバカな私のことを見放さずに温かく見守ってくれる家族がいたり、慕ってくれる後輩がいたり、心配してるけれどそっとしておいてくれる優しい友人がいたり、さつまいもを送ってくれる教え子がいたり、先生は最高の先生でしたと言ってくれる教え子もいたり、数え上げればきりがありません。


そうです。そうなんです。

年賀状を出すのが何よりも好きだった私を思い出しました。それをやらなくなってしまった日から何年、月日が過ぎ去ってしまったことでしょう。


私はこれからの人生を楽しもうと思います。


その足掛かりに色々と準備をしています。まずはその一つ目です。


昨日髪を切りました。初めてツーブロックに挑戦してみました。ちょっとだけ冒険してみたくて、イメチェンしてみたくててですね。それで、姉に連絡したんですよ。

そう。そうなんですよ。

私の姉は美容師なんですよ。よくわかりましたね。ひょっとして、あなた、エスパーかなんかですか?

それとも何かの能力者ですか?

まあ、いいですよ。話がそれちゃうじゃないですか。

そうそう。続けますね。その姉に相談したんです。そしたら、画像を送ってくれまして、こんな風にして下さいって言うのもアリだよーっ、つって。

それで、クイックカットに行って来たんです。画像を見せて、こんな風にして下さいなーっ、つって。そしたら、担当してくれた美容師さんがですね、チョキチョキ、チョキチョキと心地よいリズムで十分ぐらいでとっても素敵な感じに仕上げてくれたんですよ。


えっ?何の話だ?って?

だから、私がこれからの人生を楽しむために、準備していることの話ですよ。まあ聞いて下さいよ。もう少しで終わりますからね。

えっと、それでですね、髪を切ってスッキリした後にですね、ね?聞いてます?大丈夫ですか?

その、あの、帰り道に郵便局があるんですよ。そこに寄ろうと思ったんです。何故かと言うと、今って一月じゃないですか、一月って寒中見舞い出す人もいるじゃないですか、ね?

だから、思ったんですよ。寒中見舞いを出せば良いんじゃないかって。

メールとかラインだと、ついつい長々と書いちゃったり、ポンポンとリズムに乗ってメッセージを送ってしまうじゃないですか。私だけなのかな?あはは。まぁいいですよ。私はそういう体質なんでね。


お世話になった人へのお礼や、一度離れてしまった距離を縮めるために葉書ってあるんじゃないかなって思ったんですよ。ただの思いつきなんですが、私にとっては、ひらめきみたいなもんなんですよね。だからですね、これから大好きな人達に向けて10枚の葉書を送ります。葉書なら、もらった方は困らないだろうし、そのもらった人が自由な選択をすれば良いだけですからね。

捨ててもいいし、返事を書いてもいいし、電話してもいいし、ラインしても良いしね。

だから私のこと、あまり深く考えずに笑い飛ばして良いからね。


それでは葉書が届くのを楽しみにしていて下さいね。その葉書が届いたら、ちょっとだけでもあなたにも小さな奇跡を見せてあげることが出来ると思うから。ね。


fin.



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